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北朝鮮制裁のループホール、朝鮮総連科学者を阻止すべき

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=====北朝鮮制裁をより強力なものにするため

北朝鮮による4回目の核実験(2016年1月6日)に対する国連の制裁決議案「第2270号」が3月に採択され現在施行中であるが、9月9日に再び5回目の核実験を強行した北朝鮮に対するさらなる制裁を求める声もある。

中でも決議案第2270号の「ループホール(loophole)」として指摘されてきた

①北朝鮮と取り引きをする第3国の全ての企業・銀行等に対する制裁、いわゆる「セカンダリー・ボイコット(Secondary Boycott)」の施行
②海外に派遣されて外貨稼ぎに搾取されている北朝鮮労働者に関する制裁が取り上げられている。

特に、依然として北朝鮮と取り引きする企業が多数存在し、最も多くの北朝鮮労働者を雇用している中国がよく指摘される。

9月には中国丹東地域の「鴻祥グループ」が、他でもなく核兵器とミサイル開発関連の資材を北朝鮮と取り引きしたことが明らかになり、中国企業が国連決議案第2270号の徹底した履行に穴となっていることを示唆した(関連記事「鴻祥グループ、張成沢処刑後さらに成長...北朝鮮の太い綱」)。

そこで、北朝鮮と取り引きする企業であれば、自国の企業のみならず第3国の企業も合法・不法を問わずに制裁できるようにする「セカンダリー・ボイコット」への要求が盛り上がった。そうなれば、国連決議案を誠実に履行しない中国企業を、中国政府はもちろん他の国も制裁することができ、北朝鮮制裁が実質的な効果を発揮するということである。

=====日本には「朝鮮総連」というループホールが...

10月25日に、日本政府が北朝鮮と取り引きする中国を含む第3国の企業を制裁する独自制裁を検討中である事実が報道された。アメリカさえセカンダリー・ボイコットの必要性を常に主張しているものの大胆に踏み切れていない中、このような日本政府の決断はかなり励みになるだろう。

しかし、日本においては第3国まで行かなくても身近に巨大なループホールがあることを思い出してほしい。朝鮮総連である。

朝鮮総連の組織員は、朝鮮籍または日本籍・韓国籍で日本に居住しながら日本政府が保障する自由の中で財界・学界など様々な分野で活動をしている。ところで、朝鮮総連が長年の間北朝鮮の資金源であった事実は日本内に広く知られているが、北朝鮮に核開発と関連した研究結果や産業機密を提供する温床であることは、その弊害に比べて深刻性が過小評価されているようだ。

代表的な例として、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への独自制裁の一環で、日本政府が総連幹部や総連傘下の「在日本朝鮮人科学技術協会(科協)」のメンバーを対象に実施した「北朝鮮渡航後の再入国禁止措置」リストに、京都大学原子炉実験所の准教授の卞氏が含まれている(関連記事「京大准教授に対北制裁 核研究で総連系から奨励金受け取る 再入国禁止措置の対象に」)。

周知のように、京都大学は日本の税金で運営される一流の国立大学であり、卞教授は核技術分野の「ブレイン」と知られるほど活発に活動をしているそうだ。

この卞教授が北朝鮮の科学技術開発を支援する総連系の団体「金万有科学振興会」からかつて研究奨励金を受けるなど、朝鮮総連との関係があることが分かった。

特に、卞教授が所属している科協は「科学には国境がないが、科学者には祖国がある」といったスローガンを掲げており、日本の国立大学などで活動をしながら北朝鮮に先端の軍事技術を大量に提供してきた組織である。

また最近、もう一つの総連系科学者関連の記事が報道された。

日本の人権団体「アジア調査機構」の代表・加藤氏は、朝鮮総連系の「在日朝鮮青年同盟」出身の科学者がシンガポールの科学技術開発庁傘下の材料工学研究所で、航空機用新物質など表面工学と単一分子電子工学を研究しながら北朝鮮のミサイル技術の開発に助力した可能性を提起した。

なお「日本内の朝鮮総連所属の科学者らが北朝鮮にコンピューター数値制御措置などの技術を提供した」とし、国連は医療技術支援を除いて全ての分野における北朝鮮への技術支援を制裁すべきだと強調した。

=====現行の制裁でも朝鮮総連科学者を阻止できるのでは

前述のように、朝鮮総連の多くの組織員が「日本」籍を取得しており、さらには「大韓民国」籍の人もいる。もし、核・ミサイル技術を北朝鮮に提供している総連組織員が日本籍である場合、現行の規制を厳しく適用すれば制裁が可能になる。

それに、日本政府は北朝鮮の4回目の核実験を機に独自制裁を発表し、朝鮮総連関連の中核幹部とともに「外国人」の核・ミサイル技術者に対しても北朝鮮渡航後の日本再入国を禁止することにしたため、「朝鮮」および「韓国」籍の科学者への制裁も可能になるわけでではないか。

このような現行の制裁を細かく整備してその対象も拡大していけば、朝鮮総連のスパイ活動を防げる。今後、主要人物に関する広範な調査と制裁対象を追加する作業が引き続き進まなければならない。

もちろん、核技術科学者が北朝鮮に情報を提供する行為は、現行制裁で禁止している貿易取り引きや送金、人的往来とは異なって目に見えにくい上に、流出手段が様々であるせいで追跡と確認が容易ではない。その分、制裁方法や分野に関して綿密に考えなければならない難題でもあろう。

=====絶対に北朝鮮に入っていけない情報の流入を防ぐべき

北朝鮮体制の変化を導くためにアメリカを筆頭に様々な主体が北朝鮮への情報流入に努力を注いでいる。しかし、北朝鮮に核開発関連の技術情報だけは絶対に入っていけないということは明らかである。北朝鮮に入るべき情報と入っていけない情報を分別し、北朝鮮の核暴走を強める高級情報が入ることは徹底的に防ぐべきである。

国際社会が北朝鮮を全方位から強く圧迫するために、北朝鮮制裁のループホールを洗い出して穴を埋めることに総力を傾けている。第3国制裁などで圧迫のレベルを引き上げている今、日本政府はこの勢いを維持し朝鮮総連への制裁の緊張を緩めないでほしい。

イ・エラン 韓国・自由統一文化院 院長、1997年脱北