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金正男さんはアジアを愛していたのではないだろうか

2017年02月16日 22時45分 JST | 更新 2017年02月16日 22時45分 JST

金正男さんは北朝鮮のイメージを変える力を持っていたという点で画期的な人物だった。日本に住む私たちにとって北朝鮮は閉鎖的で時代遅れな国。ところが正男さんの経歴をみるとむしろ真逆でコスモポリタンな人生を送っていたことに気づかされる。

普通の日本人や韓国人よりも国際感覚に優れた人物だったのではないか。マカオに住み、シンガポールで日本食を楽しむ姿も報じられた。ディズニーランドに行きたくて日本に遊びに来たことも記憶に新しい。最後はクアラルンプールで暗殺された。

北朝鮮、つまり東北アジアの一国の重要人物が東南アジアに亡命していたという構図がここに見えてくる。寒い北朝鮮で生まれ、暖かいマレーシアで亡くなった。

亡命先としてヨーロッパやアメリカを選ばなかったことは注目に値する。北朝鮮のそばに居たかったのか、アジアを愛していたのか。クアラルンプールと平壌の間には直航便が飛んでいる。時差も30分しかない。

自由で豊かな日本人の目線からみれば、アジア内の他国に亡命という選択肢はピンとこないかもしれない。北朝鮮から見ればアジアにはまだまだ自由がある、ということを正男さんの人生は物語っている。暗殺にベトナム人女性が関わっていると報じられるなど、正男さんは最期までアジアの多様性を体現するキーパーソンだった。そういう意味でも日本に住む私たちに大きなインパクトを与え続けた。

これを機に北朝鮮へのより多様な関心が広まれば世界は良い方向に変わっていくのではないか。義理の弟にあたる金正恩さんの母が大阪出身だとか、そういうことも広く知られていくとアジアはもっと面白くなるだろう。