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ドナルド・トランプ氏の13歳少女レイプ訴訟を、なぜ大手メディアは無視するのか

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MIKE SEGAR / REUTERS
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本名を明かさず「ジェーン・ドウ」(身元や姓名不明の女性に用いる名前)と名乗る女性が、アメリカ大統領選で共和党の候補指名を確実にした実業家のドナルド・トランプ氏に1994年、13歳のときにレイプされたと訴えた。大手メディアはこの件について報道していない。

コメディアンのビル・コスビーが40人以上をレイプした疑惑から学べることがある。知名度のある男性のレイプ事件を無視するべきではない。真面目なジャーナリストたちは、信憑性のある訴えにもかかわらず、10年以上原告に対して見て見ぬふりをしてきたことを公式に謝罪している。そして同じことが今も繰り返されている。

報道しないことについて、大手メディアは罪の意識を感じていない。トランプ氏が起訴されたニュースを報じるだけで、記事内に起訴内容を載せていればいい方だ。根拠のない申し立てはそんなものだ(トランプ氏の弁護士は容疑について「決して真実ではなく、完全にでっちあげの政治的な策略だ」と語っている)。立証は法廷でされることになる。しかしどんな裁判になっても11月の選挙はうまくいくだろう。トランプ氏は無実だと思われているが、私たちには事件が本当に起きたのか判断することが許されている。というよりも、判断しなければいけない。

当事者以外には、この新しいレイプ訴訟でトランプ氏が無実かどうかは分からない。しかし今までの彼の言動を見て、裁判所へ提出された書類を分析し、申し立ての内容を真剣に聞き、調査するだけの信憑性があるかどうかを判断することはできる。同時にトランプ氏が否認していること、新たに出てくる事実の報道を念頭に置く必要がある。

私は以下のことを調べた。そしてはっきり「そうだ」と分かった。この申し立てには信憑性がある。無視するべきではない。大手メディアのみなさん、私は見ていますよ。


1. 背景を考える――トランプ氏はあからさまに女性を蔑視している。それどころか、誇りにさえ思っている

今回のレイプ事件は、現在進行形で長年報道されているトランプ氏の女性蔑視から考えなければならない。女性をモノとみなすタイプの男性は、性暴力の加害者になる傾向が強い。長年人種差別的な発言をする人がヘイトクライムを犯す確率が高いのと同じだ。

トランプ氏は女性を「」、「薄汚い」、「豚」と面白がって呼んだ。また無謀にもトランプ氏に自分の発言に責任を持つように要求した女性ジャーナリストのメーガン・ケリー氏に対し、ネット上で執拗に攻撃したり嘲笑したりした。トランプ氏は女性には月経があることを批判し、攻撃的で、彼女のプロ意識に傷を付けようとするような、世界一女性を毛嫌いする人物だと分かる。また共和党で指名候補を争った女性候補者(カーリー・フィオリーナ氏)や候補者の妻(テッド・クルーズ夫人のハイディ・クルーズ氏)の容姿を平気でバカにする。トランプ氏の陣営はどんな女性も副大統領にはふさわしくないと公に認めているほどだ。

トランプ氏は長年、日ごろから度を越して共に働く女性を見下してきた。生まれつき女性をモノとして見ることを楽しんでいて、こんな発言もしている。「女性はクソみたいに扱わなければならない」。

これは無視できない。しかし、数十年にわたって女性に汚い言葉を発しているからといって、彼をレイプ犯と決めつけることはできない。それでも、トランプ氏がどんな人間なのかはよく分かる。彼は無神経で卑劣な女性嫌いで、人の娘と2人っきりになる良識のない人間だ。マヤ・アンジェロウ博士が言う通りだ。「自分がどんな人間なのかを誰かが示したときは、それを信じなさい」


2. 詳しい背景――2件の性的暴行でトランプ氏に対し裁判所へ申し立て

しかしトランプ氏は女性蔑視的な発言だけで批判されているわけではない。以前2人の女性がトランプ氏を強姦または強姦未遂で告訴している(トランプ氏はすべての訴えを否認している)。

イヴァナ・トランプさんは暴力的にレイプされたとしてトランプ氏を訴えた。

一人目はトランプ氏の最初の妻イヴァナ・トランプさん。1989年の宣誓供述で、イヴァナさんは夫から激しい暴力を振るわれ、 髪の毛をむしられ、同意なしに力ずくで強姦されたと述べた。ニュースサイト「デイリー・ビースト」によると、トランプ氏は「地肌の露出部分を減らす」(禿げた部分を隠す)のを失敗して頭皮に痛みがあったという。そこでイヴァナさんが美容外科医を紹介したところ、トランプ氏が怒り狂ったという。その報復として彼女の髪をむしった。当時トランプ氏は、元妻が「レイプ」のように「暴力をふるわれた」と感じただけだと述べている。

数年後に2人の離婚は成立し、トランプ氏は元妻が「文字通り、犯罪的な」意味合いで「レイプ」という言葉を使ったわけではなかったと主張した。

注記:実質的に元配偶者などに慰謝料などを支払う著名人の事件の解決には、慰謝料などを受けとる人に書面で非難や秘密保持について合意してもらう必要がある。わかりやすく言うと、金銭を払った側のことを喋らない、また一切悪く言わないとする約束を交わす。これが、私が長年にわたって数百件扱ってきた和解契約だ。トランプ元夫人は、ほぼ間違いなく書類にサインをしているため、契約上トランプ氏に対してネガティブな発言を一切できなかった。また以前の否定的な発言を「修正」しようとすることもよくある。たとえば私は文字通りの意味で言ったわけではない、などだ(文字通りの意味で力ずくで強姦されたわけじゃないと?)。

仕事関係者もセクハラと「強姦未遂」でトランプ氏を訴えている。

1997年、2人目の女性がドナルド・トランプ氏を性的暴行で訴えた。ガーディアン紙によると、当時34歳だったジル・ハース氏はトランプさんから「肉体的、精神的な保全」侵害があったと連邦裁判所に訴えた。夫がトランプ氏と事業を始めてから、同意もなくトランプ氏が密接に触れてくるようになり、「精神的にボロボロになり取り乱す」ようになった。裁判所は一連の行為を「強姦未遂」と見なしたが、その後すぐに彼女は自ら訴訟を取り下げた。同じ時期に夫がトランプ氏に対して起こした訴訟が和解したためだ。2016年、ガーディアン紙がこの女性に、性的暴行を受けたのは間違いないかと尋ねると、彼女は「はい」と答えた。

記事によると、裁判所に提出した書類の中でハース夫人はこう主張した。自分と夫はトランプ氏と美人コンテスト関係の事業をしようと考えていたが、彼は何度も自分と関係を持つように、また体を触らせるよう迫り、その結果今回申し立てられた恐ろしい事件に発展した

トランプ氏はフロリダ州マー・アー・ラゴの邸宅で(ハースさんを)強引にパブリックスペースから娘のイヴァンカさんの寝室へ連れ込み、そこで無理矢理キスや愛撫をし、嫌がって抵抗する彼女を押さえつけて逃げられないようにした。裁判所の書類によると、トランプ氏は自身を「今までで最高の愛人だろう」と得意げに言ったという。

ドナルド・トランプ氏は最近の声明の中で、ニューヨークタイムズ紙に掲載されたハース夫人の訴訟を含め、女性たちが訴えるセクハラ行為について 「でっちあげ」だとした。

落ち目のニューヨーク・タイムズは、私の女性関係について完全にでっち上げの話を掲載するなんて本当に恥ずかしい。

ジル・ハースさんはこれに激怒し、Twitterにこう投稿した。

私の語ったことは真実です。作り話はしていません。あなたは相変わらずビッグマウスですね。

つまり、彼女の主張は一貫している。


3. トランプ氏に対する新たな匿名少女「ジェーン・ドウ」のレイプ訴訟では、トランプ氏と友人のジェフリー・エプスタイン氏について、立証できる事実があり、強力な証人陳述書もある。

3人目の女性が最近になってトランプ氏をレイプで訴えた。デイリーメール紙によると、ある女性が2016年4月に訴訟を起こし、13歳のときにトランプ氏と友人のジェフリー・エプスタイン氏の性奴隷にされたと訴えた。また事件を目撃した「ティファニー・ドウ」という証人がいるという。彼女は「in pro per」、つまり弁護士を付けずに訴訟を起こしたという。

この訴訟は事務的なミスによって却下された。彼女はその後弁護士を雇い、トランプ氏とエプスタイン氏に対する訴訟はニューヨークの連邦裁判所に修正申告された

私は連邦裁判所への訴状を入念に見直した。現在は彼女が一人で申告したときのものより、ずっと強力なものになっている。自分で代理人を務め訴訟当事者としての経験があるので意味を理解できる。ジェーン・ドウは13歳のときジェフリー・エプスタイン氏の自宅パーティに誘われ、モデルの仕事でお金をもらえるという約束をした。エプスタイン氏は「小児性愛者の億万長者」として悪評が高く、成人前の少女と不適切な関係を持って有罪判決を受け、現在はレベル3の性犯罪者で「市民の安全を脅かす」最も危険な人物とされている。

ジェーン・ドウの話では、トランプ氏は1994年に4回彼女に「性的関係の手ほどきをした」という。当時彼女は13歳だったため、同意の有無は関係ない。もしトランプ氏が1994年に少女と何らかの性的関係を持っていたとしたら、罪を犯したことになる。

4回目に、トランプ氏にベッドに縛り付けられて力ずくで強姦され、「容赦のない性的暴行」を受けた彼女はやめてと懇願した。するとトランプ氏は荒々しく彼女の顔を殴った。その後、もしこのことを話したら、彼女とその家族が「死なないまでも肉体的に危険にさらされる」と脅した。彼女はそれからずっと不安を感じているという。

ニューヨーク州の公訴時効期間は5年で、この訴訟はすでに時効だ。しかしジェーン・ドウの弁護人であるトーマス・ミーガー氏は裁判所への申告を求めている。彼女はずっと脅迫を受けて、トランプ氏を恐れていた。そのため彼女が告訴できるように猶予期間を与えるべきだと主張した。法律用語でこのことを 「tolling」といい、時効期間を中断して告訴する時間が与えられる。結果として訴状を提出でき、ジェーン・ドウは「これより前に起訴する自由意志」を持っていなかったことが認められた。彼は時効期間を中断したニューヨークの事例2件を引き合いに出している。

非公式文書が2枚、事実を証明する宣誓陳述書がジェーン・ドウの訴状に加えられた。1枚目はジェーン・ドウ本人が体験したこと、ジェフリー・エプスタイン氏からもレイプされ、脅迫を受けて黙っていたこと、そして以下の衝撃的な内容を語ったものだ。

エプスタイン被告は後に、トランプ被告ではなく自分が処女を奪うべきだったと怒って怒鳴りつけ、私の頭を拳で殴ろうとした。

あともう1枚。

トランプ被告が、3件目の被害に遭った12歳のマリアのように消えるのが嫌なら何も言うな、3件目以降おまえは何も見なかった、おまえの家族を全員殺すことができるんだと言った。

2枚目の宣誓陳述書は驚くべきことに、1991年から2000年までのエプスタイン氏の「パーティを企画した人物」である「ティファニー・ドウ」の署名がある。ティファニー・ドウによると、自分の役割は「魅力的な若い女性(法律的には未成年の少女たち)をパーティに参加させること」だった。

ティファニー・ドウは、ニューヨーク州のポート・オーソリティというバス停でジェーン・ドウに声を掛けてエプスタイン氏のパーティへ誘い、実際にジェーン・ドウが性的暴行を受けているところを目撃したという。

私は個人的に、原告がドナルド・J・トランプとエプスタイン氏からさまざまな性行為を強要されるのを見ました。2人とも彼女が13歳だということは知っていました。

性的暴行事件の被害者に証人がいるのはきわめて珍しい。だがティファニー・ドウはこう語る。

個人的に4件の性行為を目撃した。原告はトランプ氏に強引に性的関係を持たされ、4回目は彼女がやめてほしいと頼んだにも関わらずトランプ氏は彼女を強姦した。

ティファニー・ドウは ジェーン・ドウの訴状のほとんどすべての部分に関して個人的にこう分析している。12歳のマリアはトランプ氏から性行為を受けた。トランプ氏はジェーン・ドウに、もし起きたことを誰かに話せば命が危ない、マリアのように「消される」と脅した。

ティファニー・ドウ本人はこの日までずっと命の危険を感じ、トランプ氏を恐れていたと語る。

私は自分が目撃したトランプ氏とエプスタイン氏による未成年女性への肉体的、性的暴力について真実を語ることを誓います・・・私自身と私の家族には深刻な命の危険が迫っていることもよく理解していますが、虚偽の場合には偽証罪に問われることを承知の上で事実だと誓います。

これらすべてを考慮に入れ、これまでの記録を照らし合わせると、ジェーン・ドウの訴えは信憑性がありそうだ。エプスタイン氏自身が犯した性犯罪や未成年の少女たちとのパーティには十分な証拠書類がある。同じく20年前からニューヨーク市でトランプ氏とエプスタイン氏の交流についても証拠がある。トランプ氏は数年前記者にこう語った。「ジェフとは15年前からの知り合いだ。素晴らしいやつだよ。一緒にいるととても楽しいんだ。私よりも彼の方がずっときれいな女性のことが好きなんだ。若い女性がね。間違いなく、ジェフリーは社会生活を楽しんでいるよ」

ジェーン・ドウの訴えをすべてを証明でき、自分自身が深刻な危険にさらされても証言をしてくれる目撃者がいるのは力強い。 なぜなら少なくともエプスタイン氏は彼女の素性を知っているからだ。

ジェーン・ドウはこれまでどの取材にも応じていないため、彼女やティファニー・ドウの経歴、彼女たちの話の詳細は分からない。この事件の真実を解明するためにはもっと多くの情報が必要だ。もしかしたら反対尋問で信ぴょう性が低下するかもしれない。もしかしたら彼女たちは訴えを取り下げるかもしれない。しかし、ある方向で考えるなら、別の方向からも同様に考えるべきだ。もしかしたらジェーン・ドウや弁護人は主張を裏付ける証拠や証人を他にも用意しているかもしれない。もしかしたらエプスタイン氏の評判の悪いパーティの証人が証言するかもしれない。今の段階では私たちには何もわからない。

しかし今わかっていることから考えると、ジェーン・ドウの主張は女性嫌いのトランプ氏の長年にわたる醜い経歴にぴたっとはまり、以前の性的な不品行に対する申し立てと一致し、目撃者からの裏付けもあるので、真剣に受け止めるべきだ。彼女の主張は深く考え、調べる価値がある。

私たちが暮らしている世界は、富や権力のある男性が女性や少女をモノのように扱ったり乱暴するような場所なのだ。申し立ての内容にはショックを受けるかもしれないが、日ごろ性的暴行の被害女性の代理する弁護士として言えるのは、悲しいことだが原告が匿名を希望し、恐怖を感じながら名乗り出るのが普通なのだ。

自由な世界を求めている男性に対する性的暴行の申し立てを、見ようとさえしない国家とは何だろう?

レイプ文化。

女性たちの声を無視すると後悔することになる。

ハフポストUS版より翻訳しました。