デザイナーやライターの集団が、埼玉の老舗店舗を地域の交流拠点へと再生させる

埼玉県エリアにおけるプロジェクトが掲載される「FAAVO埼玉」で興味深いプロジェクトが実施されています。

先日、共助社会づくりのために協定を結んだ埼玉県と地域クラウドファンディングサイト「FAAVO」。埼玉県エリアにおけるプロジェクトが掲載される「FAAVO埼玉」で興味深いプロジェクトが実施されています。

それは「空き店舗の再生」と「リアルな交流の場と情報発信の拠点づくり」を目的としたプロジェクト

大都市近郊の街が抱える課題

「埼玉都民」なんて言葉が生まれるほど、埼玉県民は都内に買い物や遊びに出かけてお金を消費し、埼玉の商店にはあまりお金が落ちない状態。僕の出身は岐阜県なのですが、名古屋という大都市が近郊にあり、規模の違いはあれど、似たような構図となっています。

都市圏にお客さんをとられ、お店を経営するのが厳しくなった店舗のオーナーは、お店の土地を貸し出し、そこにチェーン店などが入るという状態となっています。そうなると、昔はそこに住みながらお店をやっていた人たちが、離れて暮らすようになり、昔から存在していた町並みは変化してしまいます。

暮らしと商いの距離、人と人の距離が近かった町から、商い中心の、人との距離が少し離れた町へと。

街暮らしを楽しむために、まず街を知る

こうした課題の解決に乗り出したのが、near design(ニアデザイン)というNPO法人です。

「街暮らしを楽しむには、まず街を知ることが大事!」と考えるデザイナーやライターの集団である彼らは、これまでにも「人と人をつなぐ活動」を実施してきており、以前にもFAAVO埼玉で地域情報紙「かいわい」の制作費を募るプロジェクトを実施していました。

彼らは活動を続ける中で、埼玉には人が交流する活動拠点が強く求められていることを感じたそうです。どこかに拠点が必要、そう考えていた彼らは1軒のお店と出会います。

大正8年に創業したお惣菜屋

埼玉県浦和駅西口前のあさひ通り商店街にある「お惣菜小松屋」というお店は、なんと大正8年に創業したお店なんだとか。

創業当時の写真

3代目の代で、体調を崩してしまい、53年間続いたお店を閉めなければならなくなってしまった「お惣菜小松屋」。店舗と住居が一体化した建物の老朽化のため、改装する必要もあり、自分たちの力だけでは厳しいと感じているところ、ニアデザインの人々と巡り合い、今回のプロジェクトがスタートしました。

歴史、味、そして人の交流拠点

このプロジェクトのテーマは、「地域に根付いた歴史ある店と味の復活と交流拠点づくり」。歴史あるものと新しいものをミックスして、地域の歴史を活かしたお惣菜屋をコンテンポラリーなものへと復活させると同時に地域の課題も解決していく。

単にお惣菜屋さんを復活させるだけではなく、子育て中のお母さんの支援や高齢者の就労支援など、交流の場の提供と情報発信の拠点づくりを行うことを目的としているそうです。

歴史あるものをいかに現代に合わせて再生させるか、商店街という人が離れつつあるエリアをいかに改善するか。不足している交流の場をどう生み出すか。様々な視点から注目のこのプロジェクト。

目標金額は100万円。残りの募集日数は10日ほどとなっています。埼玉県にゆかりのある方、こうした活動に関心のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

(2015年2月13日の「マチノコト」より一部修正して転載)