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水辺とゴミ拾いから街と市民の関係を捉え直すーーミズベリング、グリーンバード、ピリカが登壇した海ゼロキックオフイベント

2015年07月30日 23時36分 JST | 更新 2016年07月28日 18時12分 JST

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今年で20回目を迎えるという7月20日「海の日」に合わせて、「マチノコト」はNPO法人グリーンバードと協同して、参加型クリーンキャンペーン「海の日ごみゼロアクション2015」を実施します。

7月15日に神田にあるシェアプレイスThe Cで「海の日ごみゼロアクション2015」のキックオフイベントを開催しました。キックオフイベント内では、NPO法人グリーンバード代表理事の横尾俊成、ミズベリング事務局の真田武幸さん、ピリカ代表取締役の小嶌不二夫さんが登場し、トークセッションも実施しました。

ゴミ拾いを通じて知るマチのコト

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NPO法人グリーンバード代表理事、NPO法人スタンバイ代表理事の横尾俊成

まずは、NPO法人グリーンバード代表理事で、マチノコトを運営するNPO法人スタンバイの代表理事でもある横尾俊成から、「海の日ごみゼロアクション2015」の中心であるグリーンバードのこれまでの活動について紹介。

横尾「グリーンバードは、2002年に表参道の青年部が中心となって立ち上がった活動です。立ち上げた当初は、毎回45リットルのゴミ袋が20袋一杯になってしまうほどのゴミが落ちていました。拾っても拾っても次の日も同じ量が落ちているという状態で、すごいイタチごっこ。

ゴミは拾ってもキリがない。そこで、僕達はポイ捨てしない人を増やそうというアプローチをし始めました。ゴミ拾いしている人たちが目立って、街の風景のようになっている状態を作る。ゴミを捨てにくい環境をつくろうと考えました。あとは、とにかく多くの人にゴミ拾いに参加してもらうこと。ゴミ拾いに参加したことがある人はゴミを捨てませんからね。」

こうしてはじまったグリーンバードの活動は、今では世界66箇所に広がり、海外でも人気の活動となっています。

横尾「たとえば、パリの街はゴミだらけだったりします。ゴミはポイ捨てする文化になっていて、業者が拾うものという状態。そこには多額の税金が活用されていたところに、グリーンバードがボランティアでゴミを拾うようになった。そうすると、税金使わなくてもいいので、グリーンバードは市長に表彰されたりするほどでした。」

グリーンバードでは、ゴミを拾う人が2割、全く関心のない人が2割。あとの6割は関心はあって機会があれば参加したい人、と捉えているそうです。

横尾「一度でもグリーンバードの活動に参加してもられば、もうゴミをポイ捨てしなくなります。中間層である6割の人にいかにしてゴミ拾いに参加してもらうかが重要です。そこで、グリーンバードでは、ゴミ拾い活動には毎回一定数新しい人を呼ぶようにしていきながら、新陳代謝とできるだけゴミ拾い経験者を増やすことを大事にしています。」

グリーンバードが掲げているのは、ゴミゼロの街。ゴミ拾い活動から初めて、街に深く関わる人が増えてきているんだとか。耕作放棄地で有機栽培をするようになったり、一度関わり始めた人は、どんどん動き出していくそうです。

横尾「今回、「海の日ごみゼロアクション2015」で目指すのは、海辺のコミュニティづくり。このキャンペーンでは10万人の参加者が集まるようにしたいと考えています。」

ミズベリングを通じたマチの新たな可能性

続いてプレゼンを実施したのは、水辺とまちが一体になったまちづくりを未来へ創造する活動「ミズベリング・プロジェクト」の制作チーフディレクターを担当している真田武幸さん。

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ミズベリングの真田武幸さん

真田さん「「ミズベリング・プロジェクト」は、水辺の想像力を高めるプロジェクト。2014年3月に立ち上がり、1年ちょっと活動しています。「水辺+輪(リング)」の造語でありつつ、現在進行形の「ing」という意味ももたせていて、水辺とまちが一体となった美しい景観を作っていこうという活動です。」

こうした水辺をうまく活用し、市民の憩いの場となる動きは、世界の都市ではいろいろな事例が登場しています。

真田さん「水辺空間は、他の空間には他にない潤いを人にもたらします。水辺だからできる商業開発の可能性があります。フランスのパリでは、川岸がまるでビーチのようになっている「パリ・プラージュ」という場所もあって、人々がくつろいでいます。」

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翻って、日本では河川の周囲にはビルが建っていて、ビルは背中を川のほうに向けていて、河川からはビルの背中しか見えない状態。これが日本の都市河川の実情です、と真田さんはコメント。

真田さん「水辺は市民の自己責任感覚が成長することで、これまではできなかったことができるようになる余地があります。「シビックプライド」という住んでいる街にどれだけ誇りをもち、街を活用するチャンスを作れることができるかが大切です。また、水辺は文化が生まれる場所。水辺をうまく活用することで、都市の空白を上手く作ることができます。水辺空間を使った都市全体の価値創造にも、ミズベリングは挑戦しています。」

日本は土地柄、洪水など水害に悩まされてきました。洪水に悩まされてきた土地の性質上、水辺は危険なものであるという認識で法律が制定されてきました。しかし、2011年に河川敷地法が変わり、河川占用等の許認可が得やすくなりました。これによって、少しずつ市民が河川を利用しやすい状況へと変わってきたのです。

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真田さん「先日の2015年3月には「ミズベリングインスパイア・フォーラム2015」というイベントを開催し、ポートランドから人を呼び、事例を共有してもらいました。

そのイベント内では、どんな水辺がいいか、水辺に関する想像力を広めてもらいました。橋にホテルがあったらいいんじゃないか、川にプールがあったらいいんじゃないか、というアドバイスを出してもらいました。」

ミズベリング地域会議は全国各地に広まっていて、企業や団体との連携も始まっています。「誰のものでもないから使えない、ではなくて、『みんなのものだから、みんなで素敵な使い方を考えよう』と考え方が変わっていくといいですよね」と真田さんは語りました。

PIRIKAを通じて感じたゴミとマチの関係

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ピリカ代表の小嶌不二夫さん

最近、マチノコトでもインタビューさせていただいたPIRIKAの小嶌不二夫さんもトークセッションに登壇。

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小嶌さん「小さいころから、大きな課題が自分をヒーローにしてくれると考えていて、一番大きな課題が環境問題だと思い、環境問題を解決するために研究者になろうと考えるようになりました。ただ、机の前にじっとしてられず、研究者の道ではない違った道を模索しようとしました。その後、世界18カ国を旅してまわって、先進国からアマゾンの奥地まで、ありとあらゆるところにゴミが捨てられていたんです。つまり、ポイ捨てゴミは世界共通の深刻な問題だとわかったんです。」

捨てられたゴミは少しずつ分解されるものの、決してなくなってしまうわけではなく、細かく分解されたゴミは油に近い毒物やホルモンを吸着してしまいます。それをプランクトンと間違えて魚が食べてしまい、巡り巡って私たち人間の身体にも大きな影響を及ぼすものになってきます。まさにゴミ問題は私たちの身近な生活にも紐付いた問題なのです。

小嶌さん「ポイ捨てをいかになくすか。そのためには、どれくらいの量のゴミが捨てられているか、反対に、どれくらいのゴミが回収されているかを知ることが大事ですが、それらのゴミの数は現在ではいまだ可視化されていません。世界からゴミ問題を無くす勝利の方程式は、『回収されるゴミ>捨てられるゴミ』。この方程式を軸に事業を進めています。そこで、僕たちがまずやったのは、ゴミを拾っている人たちの活動を可視化すること。ゴミ拾いアプリ「PIRIKA」を通じて世界中でゴミ拾い活動が可視化され、今では累計で1800万個のゴミが拾われています。世界74カ国で利用され、福井県にも導入されるなど活動はさまざまに広がっています」

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また、ピリカでは、ゴミ拾いアプリの他に、ゴミがどれだけ捨てられているのかを把握するための調査手法を開発。各地でゴミがどれだけ捨てられているのかという調査を実施し、その結果を公開しています。

小嶌さん「どれだけゴミが拾われても、それ以上に捨てられていては意味がありません。なので、ゴミが捨てられている量も可視化する必要がありました。また、これまでは様々なゴミを減らすためのアクションが行われてきましたが、その努力は目に見えない状態になっていた。それを可視化していきたいと考えました」

調査の結果、ポイ捨てされやすい場所とそうでない場所などがわかるなどのデータが集まったとのこと。それらのデータをもとに条例や都市デザインなど、どういった施策がゴミを減らすのに効いているのかがわかるそうです。これまでブラックボックスになってしまっていたことを表面化していく。これがPIRIKAが目指していること。

ゴミ拾いアプリ「PIRIKA」を利用して拾ったゴミの写真を投稿すると、今回の「海の日ごみゼロアクション2015」特設サイト上に拾ったゴミが可視化されます。ゴミ拾いというこれまで可視化が難しかった活動が、全国規模で可視化されることで、大きなムーブメントになる可能性があるのではないでしょうか。

キックオフイベントはトークセッションを終えた後、懇親会を開催。街や水辺、ゴミ拾いに関して歓談が行われました。

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7月20日から、「海の日ごみゼロアクション2015」は本格的にスタートします。各地のグリーンバードに参加したり、個人で近所の川辺を掃除してみたりと、参加方法はいろいろあり、特設サイト上で紹介されています。水辺の近くに住んでいる人、よく行かれる方は参加方法をチェックして、ぜひムーブメントに参加してみてください。また、質問やご連絡、問い合わせや企画の連携などのご相談などは、マチノコト事務局にまでご連絡ください。

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(2015年7月17日の「マチノコト」より転載)

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