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Manfred Stelz Headshot

【スペイン・サンティアゴ巡礼】 風邪も吹っ飛ぶ"キューバ風ライス"

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世界でもっとも有名な巡礼地のひとつである、スペイン北西部のキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ。

日本人女性と結婚し、ハネムーン代わりにそのサンティアゴを目指して巡礼路を歩くことにした、ドイツ人のマンフレッド・シュテルツ氏の手記をお届けしています。

全行程の約4分の1に差しかかったころ、今度は妻の体調に異変が......。

9th day 〈Navarrete → Azofra, 21.8km〉

起床→パッキング→さあ今日も出発だ! 

朝食をとれる場所を探しながら歩いていると、1軒のバルが空いていて、旅人たちが列を作っているのが見えた。

バルの店員はなにやら相当イライラしているようだ。彼は英語が話せないのに、フランス人のカップルが懸命に英語でオーダーしようとしている。店員はなにか食べるかというジェスチャーをする。するとカップルの男性がこう答える。「No food for me」。しかし彼女のほうはどうやらパンにバターを塗ったものを食べたいようで、それを店員に伝えようとしている。だが店員は「一体何がほしいんだ?食べるの?食べないの?」とまったくコミュニケーションが取れていない。あああ、勘弁してよ。

やっと順番が来ると、僕たちはコーヒーとオレンジジュース、そしてカウンターの上に置いてあったチョコパンを指差した。これで十分だ。さあ、再び出発だ。

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ベントサ(Ventosa)の町を通り過ぎたあたりで、雨が降り出した。レインコートを着込んで、先を急ぐ。

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12kmの雨の行軍のあと、今度はナヘラ(Najera)という町にようやく到着し、バルに駆け込んで温かいコーヒーとお茶、美味しいボカディーリョ*を食べてようやくひと息をついた(ここの店員はとても親切だった。よかった!)。しかし妻はどうやら風邪をひいてしまったようで、具合悪そうにしている。僕の風邪を彼女にうつしてしまったに違いない。ごめん!
*スペイン風のサンドイッチ

僕の風邪はよくなっていたけれどまだ鼻がぐすぐすいっていた。妻と僕は、鼻をすすりながら歩いた。すんすん、すんすん、すんすんすーーーん。僕らはまるで壊れた蒸気機関車みたいだ。

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雨はいつしか上がり、上り坂を6kmほどもいくと、目的地のアソフラ(Azofra)だ。

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最初に見つけた大型のアルベルゲ*に入ると、2人用の部屋が30もあるという。なかなかよさそうだ。
*サンティアゴ巡礼者専用の宿

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妻は風邪に加えて、重いバックパックを背負って歩き続けているために肩を痛めてしまったようだ。僕はいつも「ちょっと持とうか?」と声をかけるのだが、彼女はかたくなに拒否する。わかってる、彼女は誰かの助けなしにゴールしたいんだ。でも僕は彼女の夫なのに!

僕がシャワーを浴びている間に、妻はすぐにベッドに潜り込んで眠ってしまっていた。

僕もひと眠りした後、ひとりで夕食をとりに外へ出た。1軒のレストランに入り、ライスに卵とトマトソースが添えられたもの、フライドポテト添えのチキン、デザートを食べた。全部で10€で、味もなかなかだった。とくにライスはすごく美味しかった。メニューには「Arroz a la cubana」とあり、つまりは「キューバ風ライス」ということみたいだけど、なんで突然キューバなんだ?

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食べ終わったあと、僕はすぐに妻のところに戻って、ライスの写真を見せた。彼女はなによりライスが好きで、もう長い間食べていなかったから。写真を見た彼女はがばりと起き上がった。

同じレストランに彼女を連れて行き、ライスを注文した。久しぶりのライスに彼女はちょっとハッピーになったようだった。ああよかった!

ガイドブックによると、今日までにほぼ200kmを歩ききったようだ。僕たちは、サンディアゴ・デ・コンポステーラを越えたさらに約100km先、"地の果て"と呼ばれる大西洋を望むフィステーラ(Fisterra)まで行きたいと考えている。こんな調子で果たして行きつけるだろうか......?

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※この手記は、妻で編集者の溝口シュテルツ真帆が翻訳したものです。妻の手記はnoteで公開しています。