DIYでマンションにキャットウォークを作ってみた

壁に傷をつけずに「DIYでキャットウォークを作ろう」という企画を立ち上げ、DIYアドバイザーの山田芳照先生にご協力いただいた。

「壁に穴を開けずにマンションにキャットウォークをつくりたい!!」

マンションで猫を飼っている方の中には、そう思ったことがある人が多いのではないだろうか。

しかし、いざつくろうとしても、ただでさえマンションは間仕切り壁や隣と接する戸境壁がコンクリートのため、管理規約上、勝手に造作できないケースが多々ある。「壁を有効活用したいけど、手が出せない」と、あきらめている人も多いくらいなのだ。

そこでマンション・ラボ編集部は、このような希望を叶えるために、壁に傷をつけずに「DIYでキャットウォークを作ろう」という企画を立ち上げ、DIYアドバイザーの山田芳照先生にご協力いただいた。

キャットウォークの設計図

えっ?こんな金額でできるの?驚きの安さ!

今回は、都内のマンションに家族三人+ネコ一匹で暮らす奥村氏に協力をいただけることとなった。壁に傷をつけずにキャットウォークを設置するというミッション。少しのミスも許されないなか、一同に緊張が走る。今回用意したキャットウォークの材料は次のとおり。

左)ディアウォール(若井産業)1セット1512円×5セット=7560円 、右)ディアウォール専用棚受け(若井産業)1セット525円×7セット=3675円

2×4材(高2440㎜×幅89㎜×厚38㎜)1本399円×5本=1995円

1×8材(高910㎜×幅185㎜×厚19㎜)1本275円×7本=1925円

ビス(3.5×20)1袋165円

材料費:合計1万5320円(や、安い!)

続いて、今回用意した工具がこれだ。

【工具一式】

・ドライバードリル(プラスドライバーでも可)

・ノコギリ

・メジャー

・紙やすり

・紙テープ

材料をすべて準備し終え、いざ取材に協力いただく奥村邸へ。ご家族に挨拶を済ませ、今回設置するリビングに案内してもらった。

今回設置するリビングの壁面。天井高は約2450㎜。壁の横幅は約2700㎜。左下はこの家のネコ「雷大 オス 2歳半」が大のお気に入りのキャットタワー。ここを始点として設置することになった。

いよいよキャットウォークの設置作業が開始された!

今回は、家主の奥村氏が、多少DIYの経験をお持ちということで、みずから制作することに!そして、いよいよキャットウォークの設置作業が開始された。

ここからは、具体的な工程を、写真を中心にご覧いただこう。

(1) 柱を立てる場所の天井高を正確に計測すべし

まずは、柱を立てる天井高を計測しよう。 建築物の天井高は、施工上の問題ない範囲で多少の誤差があるもの。そのため、柱を立てる場所ごとに正確に計測していくのが大切だ。

慎重に測ることことが、のちの作業を成功させる基礎になる。妥協は禁物。

(2) 柱をノコギリで切るべし

柱は、上下に「ディアウォール(柱を天井と床面に固定するためのグッズ)」を取り付けることを考え、天井高から45㎜短い長さにカットする。

「DIYは、たまにやりますよ~」と言う奥村氏。なかなかの腕前。山田先生も思わず顔がほころぶ。

(3) 柱の断面のバリを紙やすりで取り除くべし

次は切断した柱の断面を丁寧にヤスリがけする。余分なバリは、ディアウォール装着時に強度を低減させる原因になるので、面倒くさがらずに丁寧に取っておこう。

(4) 柱にディアウォールを取り付け左右両端から立てる

寸法の長さに柱を切断したら、次はディアウォールを柱の両端に取り付け、いよいよ壁面に固定していく。

ディアウォールを装着。

柱を立てて、壁面に固定していく。長いので天井や壁に傷をつけないよう、二人で作業。

ディアウォールが壁面に固定された様子。内蔵されたバネのある方を天井側に装着するのがポイント。

ディアウォールの内部。このバネによって強度を確保し、ある程度の誤差を吸収するのだ

まさか!柱の長さが足りない!というハプニングで強度が不足してしまう場合は、付属のスペーサーを入れて対応しよう。

柱を立てたら、手で押しても引いてもズレないことを確認する。物件によっては天井が凹むことがあるので、事前に確認すること。ちなみに今回は複数の柱を立てる設計だが、その場合は、左右両端の柱から立てるのがポイント。

(5) 柱を立てる間隔を決める

左右両端の柱を立てたら、その間に立てる柱の位置を決めていこう。各柱の間隔が均等になるようメジャーで測り、紙テープで目印をつけていく。間隔が不均等でも強度には影響はないが、見た目的には等間隔の方が美しい。

慎重にテープを貼る奥村氏。この地道な作業が美しさを決める。

(6) 柱を垂直に立てる

柱を等間隔に立てたら、それぞれの柱が床に対して垂直になるよう調整していこう。垂直に立てることで、適正な強度が発揮されるので、ここも手を抜かずにいこう。

メジャーで柱が垂直かをチェック。なんだか難しそうだ。

(!ここでポイント!)

垂直に、といっても見た目だけで調整するのはちょっと難しい。そこで今回おススメしたいのが、 iPhoneにあるアプリ「iHandy Carpenter」。このアプリを起動して、確認したい場所にiPhoneをおく、または当てるだけで垂直、水平の度合いがわかるという優れもの。 iPhoneをお持ちのかたはぜひ使ってみてほしい。

調整にはスマートフォンのアプリを利用すると便利だ

(7) 最初の棚板を取り付ける

柱を立てたら、いよいよネコが飛び乗る棚板の装着だ。今回はキャットタワーの場所が決まっていたので、そこから飛び移りやすい位置に最初の棚板を取りつけることに。

設置の方法は、向かい合った柱の側面に、棚受けをビスで固定し、その柱の間のサイズにカットした棚板を乗せ、棚受けとビスで固定する。この方法の耐荷重は5㎏。ビックサイズのネコでなければ、まずは大丈夫だろう。

棚板のカット。のこぎりを入れる時が一番緊張します、と奥村氏。

柱に棚受けをビス止めしていく。こういう作業には、電動式のドライバーが威力を発揮する。

棚受けを固定して、棚板を乗せてみた。結構いい感じに仕上がっている。ちなみに棚受けには長さ25㎜のビスが付属しているがこちらは厚さ38㎜の板用。今回使用する板は厚さ19㎜なので別途購入した短い20㎜のビスを使用

(8)すべての棚板の位置を決め、取り付ける

最初の棚板を取り付けたら、そこからネコが飛び移りやすい場所を検討し、すべての棚板を取り付ける位置を決定していこう。あとは棚板をカットし、(7)のとおり次々と設置していくだけだ。

ネコが飛び移りやすい場所を検討する。ここが意外と難しい。ネコの気持ちになって、ネコになりきって決めるのがコツ、と語る奥村氏。

ネコの気持ちになるとこうなる。ちなみに奥村氏は家族のために本棚にもなるよう調整。さすがだ。

(9) ついに完成!

作業開始からおよそ4時間で、ついに完成! 奥村氏は、なかなかの出来にご満悦な様子。この場にいたスタッフも、正直ここまできれいなものができるとは想像していなかったのでびっくり。

みよ!これが、This is キャットウォークだ!

ちなみにもとあったAVボードを元の位置に戻してみる。

同じ木目同士で、しっくり馴染んでいる

「こんなに簡単に、しかも見た目もよくできるとは思いませんでしたね。しかも費用はたったの1万5000円。プロにお願いしたら何倍もかかりますよね。とっても満足です」とは奥村氏の談。

その後、肝心のネコはどうなったのか?

最初はネコもあまりの出来栄えに恐れを抱いたのか、あまり積極的に歩こうとしなかったものの、時間がたつにつれて歩き始めたのだとか。今ではお気に入りのスポットとして、使ってもらえているようだ。