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上昌広 Headshot

「どうやって勉強すればいいのか?」 若者に伝える、スマホを使ったシンプルな方法

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大学が春休みに入った。私たちの研究室には、大勢の若者が訪れる。

彼らから聞かれる質問でもっとも多いのは、「どうやって勉強すればいいでしょうか」だ。みな、向学心はあるが、具体的にどうやればいいかがわからない。

彼らに助言するのは、情報のインプットを増やすことだ。ありとあらゆる媒体をフォローするように勧めている

私の場合、医学誌ではNew England Journal of Medicine (NEJM)(米)、Lancet(英)、科学誌ではNature(英)、Science(米)をフォローしている。

さらに、新聞(全国紙5紙と東京新聞、福島民友)、海外メディア(Wall Street JournalやGuardianなど)、医療業界誌(医療タイムス)、週刊誌(週刊現代、週刊ポスト、週刊文春、週刊新潮、週刊朝日、サンデー毎日、ニューズウィーク日本版、AERA、フライデーなど)、オピニオン誌(選択、FACTA、クーリエ・ジャポン)、科学誌(日経サイエンス)などに目を通している。
また、ウェブ媒体としてハフィントンポスト、JBプレス、フォーサイト、ビジネスジャーナルなども購読している。
ほとんどは見出しをみるだけで、チェックに要する時間は5-10分程度だ。

ただ、それでも効果は絶大だ。見出しを見るだけでも、世の中の流れが分かるからだ。

例えば、現在、海外メディアでは移民の記事が溢れている。そこでの議論は、国内のメディア報道とは随分違う。
日本では、トランプ大統領と米国の既存メディアの軋轢や、フランスやドイツでの右派勢力の躍進が注目を集めているが、NatureやScienceを読むと、移民の生産性や科学界における役割について冷静に議論されていることが分かる。我々が思うより、もっと前向きに議論している。それは、移民を受け入れなければ、彼らは衰退するしかないからだろう。

全ての先進国の出生率は2を切っている。フランスは1.98, アメリカは1.86、イギリスは1.81だ。日本の1.42よりは高いが、人口を維持できる数字ではない(出生率は何れも2014年度)。
ところが、2050年までにフランスは11%、イギリスは16%、アメリカは21%、人口が増加する。15%も減少する日本とは対照的だ。この差は移民の受け入れによるものだ。

少子高齢化が進み、グローバル化した世界で、どうやって社会が活力を維持していくか、世界で試行錯誤が続いている。そして、海外メディアは、その様子を丁寧に報じている。我々にとっても有用な情報だ。

話を戻そう。記事の中には、全文を読むものがある。それは選択、FACTAと、NEJM, Lancet, Nature, Scienceの前半だ(つまり原著論文以外)。
前者はマスコミが書かないテーマを独自の視点で分析しているし、後者は世界のオピニオンをリードする媒体の編集部の考え方が推察できるからだ。

ただ、オフィスでは様々な雑用が待っている。長い文章をじっくりと読む時間がない。情報のインプットは隙間時間にやってしまいたい。
そこで私が活用しているのはEvernoteだ。前出の媒体はオンラインでも読める。それをEvernoteにクリップして、移動中にスマホで「聴き読み」しているのだ。

iPhoneの場合、二本指で記事を上端から下になぞると、スマホが記事を読み上げてくれる。電車の中や歩きながらも、記事を「聴く」ことができる。
スマホの読み上げを聞きながら、記事を読むと理解が深まる。人類が黙読と言うスキルを身につけるまで、長い間、口伝で情報を伝えてきた名残かもしれない。聞きながら読むと言うのは、スマホ時代に初めてできた読み方だ。

嬉しいニュースがあった。グーグルの自動翻訳の精度が飛躍的に向上したのだ。昨年11月に、ニューラルネット機械翻訳が日本語版にも適用されたためだ。和訳、英訳、何れも実用に問題のないレベルになった。

これ以降、私はNEJMやNatureなどのオンラインの記事を自動翻訳して、Evernoteにクリップするようになった。
NEJMの総説のような長い文章でも10分程度で「聴き読み」することができる。こなれない表現もあるが、広く浅く情報をインプットするという目的には、これで十分だ。この技術が開発されるまでは、英語のままクリップして、「聴き読み」していた。英語の聞き取りの訓練にはなるが、情報のインプットの効率は悪かった。

自動翻訳の進歩は日進月歩だ。やがて、英語だけでなく、すべての言語が日本語に翻訳されるようになるだろう。中国語やハングル、さらにマイナーな言語で書かれた記事も読めるようになる。

ICT技術と人工知能の発達で、世界のグローバル化は加速しつつある。どうやってキャッチアップするか、我々も変わらねばならない。