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参院選が盛り上がらなかった理由

2013年07月21日 22時30分 JST | 更新 2013年09月20日 18時12分 JST

自民・公明の与党が圧勝した。事前にマスコミが予想した通りの結果である。他方、民主党は結党以来、最少の獲得議席に落ち込む。これにより「ねじれ現象」は解消される。(正確には各党候補者の得票数を踏まえた分析が必要だが)安倍政権は信任を得たと評してよかろう。

それにしても、盛り上がりに欠けた選挙となった。一部の注目選挙区を除けば、選挙中から国民の関心は政界再編を含めた選挙後の動きに移っていた。実際、複数の与党代表の去就が、選挙中から取りざたされた。

とくに比例代表の選挙戦が低調だった。主要な与野党とも、支持団体などの組織票を見込める候補者を擁立した。なかには公示日時点で当選が約束されたに等しい候補者もいた(事実、開票速報で直ちに当確が出た)。

他方、有権者も、投票用紙に政党名または個人名を記載できる。これでは、候補者同士による議論が起こりにくい。今度とも現状の比例代表を維持すべか、一票の格差是正で導入が議論されたブロック制への移行も含め、改めて検討すべきではないだろうか。

今回は投票率も低かった。国民の関心の低さをあらわした数字と言えよう。他方、期日前投票は過去最高の12%超となった。たとえば公示日直後に期日前投票した有権者にとって、公示期間の選挙戦は意味を持たない。今度とも期日前投票が増加するなら、選挙戦のあり方自体が問われよう。

マスコミ報道も課題を残した。地上波のテレビ局はいずれも、各党の代表をスタジオに招いた番組を企画したが、短い時間に各党代表が同じ主張を繰り返すだけで、実質的な議論やディベートは見られなかった。正直、テレビ報道はあきられたのではないか。

今回はじめて「ネット選挙」が解禁となったが、残念ながら、インターネットを通じた選挙戦も、マスコミ報道を補完する役割を果たしたとは言えない。たしかに多くの候補者が、TwitterやFacebookを利用した選挙活動を展開した。しかし、与野党問わず、実質的にネットを有効活用した候補者は少ない。多くが、街頭演説の予定その他を告知するだけの「ネット選挙」に終始した。これでは、政党名と候補者名を連呼する選挙宣伝カーと大差がない。ネット上で具体的な政策を詳しく説明した候補者が何人いただろうか。候補者同士による、ネット上の論争もほとんど見られなかった。

先日、私は「与野党は正面から憲法を争点にすべし」と題して、ハフポストに寄稿した。選挙の終盤、安倍総理は9条改正に言及した。率直に評価したい。今後、憲法改正に向けた動きが進む可能性が現実のものとなった。おそらく3年後の参院選が山場となろう。

だとすれば、なおさら、今回の教訓を無駄にしてはなるまい。次回は衆参のダブル選挙となる可能性もある。そのとき再び、低投票率となるなら、それは議会制民主主義そのものの衰退を意味する。

日本は投票用紙の配布ミスが大きなニュースになるくらい、公正な選挙で国会議員を選出できる、幸せな成熟した民主主義国である。棄権した有権者に、その自覚はなさそうだ。自由と民主主義の価値は、失われて、はじめて実感される。だが、そうなってからでは遅い。