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「一億総...」連想ゲーム

2015年10月08日 22時38分 JST | 更新 2016年10月07日 18時12分 JST

「1億総活躍社会を目指します」

昨日、第三次安倍改造内閣の閣僚が発表されました。

今回の改造内閣において安倍総理が掲げるキーワードの一つが、「1億総活躍社会」です。

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このために省庁が新設され、「1億総活躍社会担当相」に官房副長官だった加藤勝信氏が任命されました。

間違いなく、今回の目玉政策の一つです。

さて、「1億総活躍社会」という言葉を聞いて、皆さん最初に何を思いましたか。

語呂の良さや覚えやすさもあって、何となく頭に入りやすいキーワード。

女性の活躍や幅広い年齢層の雇用促進を連想された方も多いかもしれません。

しかし、私の頭にはまず「一億総白痴化」という言葉が浮かびました。

社会評論家の大宅壮一氏が1957年に初めて述べ、流行語にもなったこの言葉。

「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を低下させてしまう」といった意味合いがあります。

一方ネットを見てみると、いろいろな情報の中に「一億総懺悔」というワードが目に入りました。

こちらの方が古いワードです。

第二次世界大戦の敗戦直後、皇族の一員であった東久邇宮稔彦王の内閣が、

天皇への戦争責任問責を避けるため国民に呼びかけた言葉、これが「一億総懺悔」でした。

国民は軍部の責任追及に回ったわけですが、GHQはプレスコードや自由制限の撤廃などを出し、その衝撃で東久邇内閣は「総辞職」することになります。

いずれにしても、随分ネガティブな影をもった言葉という印象を受けるのですが、でも周りを見てもこんな見方はそう一般的ではありません。

私はジャーナリズムを専攻する学生なので、授業中に聞いた「一億総白痴化」が浮かびました。

ネット上で歴史に関心の高い人は「一億総懺悔」を連想されたのでしょう。

考えてみれば、マイナスイメージが染みついた言葉を政策のキーワードに選ぶはずがありません。

実際、「一億総活躍社会」という言葉自体をネガティブな印象で受け取った、などという論調は、ほとんど目にしませんね。

広辞苑をのぞいてみたら、「一億」が頭につく言葉は、日本の人口を約1億人とするところから「全国民」という意味があるそうです。

でも「一億総懺悔」やら「一億総白痴化」が流通している時代には、良い意味で機能させるのは難しいはずですよね。

そういった面で、今回の首相のワーディングは時代に合った、効果的なものだったと言えると思います。

私は間抜けにも、みんなが「一億総白痴化」を連想しているのだとばかり思っていたものですから、周囲の意見やネット上の様子を見て、ああそうなのかと気づかされた点が多くありました。

これこそ言葉の面白さ、流行語の醍醐味と言えるのかもしれません。

それにしても、戦後内閣が「総懺悔」を掲げ、その末に提示されたプレスコードに基づいて発展したテレビが「総白痴化」とこき下ろされ、今はそのテレビを通じ内閣が「総活躍社会」実現が呼びかけられているのは、やっぱり面白いと思います。