ドナルド・トランプを確実に落選させる5つの方法

ご存じの通り、俺たちには他に選択肢はないからだ。
CARLO ALLEGRI / REUTERS

最近、多くの世論調査で全国的にヒラリー・クリントンがドナルド・トランプを2桁リードしているという結果が出ている。ミシガン(10%)、ペンシルベニア(11%)などのブルーカラーの多い州でもそうだ。もし君がクリントンの支持者でこの数字に安心してほっと肩をなで下ろしているなら、そしてもし君が他のアメリカ人たちがナルシストで女性を憎んでいる男に投票するわけがないと君の頭のなかで再確認して喜んでいるなら、君はこの問題の当事者だ。君は11月8日のドナルド・トランプ勝利に加担することになる。

この選挙は決着済みだとか解決済みだとか、そんなことは思わないでほしい。まだ時間はたっぷりある。トランプが自滅すればいい、「トランプを負かすのはトランプ」だ、自分たちはそれを笑いながら座って眺めていればいいとか思っているならそれは危険だ。君は現実逃避する方法を探している。この選挙はヒラリーに賛成する人間とトランプに賛成する人間のどちらが多いかを問う選挙じゃないってことを明らかに忘れている。もちろんヒラリーに賛成する人のほうが多い! 選挙当日まで世論調査ではヒラリーがリードし続けるだろう。

そんなことは問題じゃないんだ。

なんでかって言うと、これは選挙で決まる人気コンテストじゃないからだ (今年の選挙でいえば、嫌いだけれどマシな人間を選ぶコンテストだ)。俺が言っているように、Xboxやリモコンを使ってソファに座ったまま投票できるならヒラリー大勝利だ。でもこの選挙で問題なのは、誰が11月8日に選挙ブースへ行くかってことだけだ(または期限前投票とか不在者投票とか)。今年の投票日はいつものように11月の第1火曜じゃない。第2週だ。だからもし君が合衆国の北半分に住んでいたら、雪やみぞれが降る可能性が大いにある。そうなれば投票率は下がる。投票率が下がればトランプに有利になる。

この選挙で問われているのは、誰が誰に投票所へ足を運ばせるか、誰が一番熱狂的な支持者を獲得したかということだけだ。壁を造る必要があるんだと言って、投票日の朝5時にベッドから出て投票所に行く気にさせる候補者!イスラム教徒が俺たちを殺してる!女たちに支配される!アメリカ!アメリカ!俺のペニスを再び偉大に!ヒラリーは悪魔だ!アメリカが第一!胎児が第一!投票所の列の先頭に並べ!

だから最近の世論調査の結果を見て気分をよくしたり(ところで最新の世論調査のうち「投票に行くと思われる人」を対象にしているのは1つだけで、その調査ではヒラリーのリードはわずか4ポイントだ)、トランプのイカれ具合を見て喜んだりするんじゃなくて(イカれたことにトランプは先月8200万ドルの資金を集めた。そのほとんどが10ドルから20ドルの寄付金だった。バーニー・サンダースだって"草の根"でそんな大金が寄せられた月はなかったから、クリントン陣営はびっくりだ)、俺は別の反応を提案したい。ヒラリー支持者は、祝賀パーティーを11月9日未明まで我慢してほしい。今はこんなことをすべき時じゃないってことには同意してもらえると思う。

早い段階でのお祝いや、トランプにとって不運だった週に満足感を覚えるのはやめよう。早すぎるエンドゾーンダンスはなしだ。君がこの選挙を真剣に考えているなら、君がドナルド・トランプの脅威を真剣に受け止めるだけの知性があるなら、やるべきことが5つある。4つはみんながすべきこと、1つはヒラリーがすべきことだ。

1. 君には50人の人間を11月8日の投票に行かせる責任がある。

リスト作りを今すぐ始めてくれ。君が11月8日の選挙に必ず行かせる人たちのリストをスマートフォンで作成すること。彼らのアドレスと電話番号を入力しよう。これを"11月8日プロジェクト"と呼ぶんだ。その数が50になるまで、11月8日まで毎日そのリストに名前を加えよう。50人だ。投票に行かない人たちに焦点を合わせること。そして11月7日と8日には電話かテキストメッセージかEメール、またはその全部で全員に投票へ行くように促そう。車は出すと申し出よう。ランチをごちそうすると言おう。ベビーシッターを買って出よう。家の芝刈りをやってやると言おう。投票後には誰でも参加できる集会やパーティーを計画しよう。投票を促す必要なんてないと思う人にも、促さなきゃいけない。この選挙は君が投票するかどうかが問題なんじゃない。君が他の50人に投票させるかどうかが問題なんだ。

2. 今日から11月8日まで君はフランスのレジスタンスの一員だ。

ドイツがフランスを侵略したときフランス地下組織の一員でいるのはどんな感じか想像するんだ。ナチを倒して勝利する唯一の方法は、不屈の、24時間ぶっ通しで献身的に活動することだった。3時間かけてフレンチのディナーを食べる時間なんてなかった。彼らは休暇も取らなかった。ゆっくり眠ることもなかったし、遊びの約束をすることもなかった。ドイツ人がやって来る!ドイツ人がそこに!そうだ友よ、俺たちのファシスト(ドランプ!)がやって来る!君はこんな心構えでいなくちゃいけない。これからは、子供たちには自分でサッカーに行かせるんだ!夫婦間の問題は12月に後回しだ!ホットヨガをしてる時間はない!フランスのレジスタンスのメンバーは「今日は風邪で気分が悪いからナチスの列車を爆破できない」なんてことは絶対に言わなかった。

3. 君は悲観的な有権者を励まさなくてはいけない。

本当に多くの人が社会のシステムを見捨てている。それはシステムが彼らを見捨てたからだ。政策、政治家、選挙、すべてが戯言だと彼らは知ってる。中間層はボロをまとっていて、4700万の貧困層にとってアメリカンドリームは悪夢だ。はっきりさせよう。アメリカ人の半分が11月8日に投票しないつもりだ。ヒラリーの支持率は36%だ。CNNは支持率36%で大統領に当選した人はいないと報じている(トランプは30%だ)。最新の世論調査でも60%がヒラリーは"大統領となるには信頼できない人物"と答えている。失望した若者たちは毎日俺を呼び止めて、投票へは行かない(または第3の政党へ投票する)と言う。これは問題だぞ、みんな。見て見ぬふりをするのはやめよう。奴らに耳を傾ける必要がある。激しく批難したりバカにしたりしても無駄だ。

確かにヒラリー・クリントンはベストな候補者じゃない。でも奴らの言うことにも一理あると認め、11月9日の政治革命に参加させるんだ。そしてクリントンに政策を実現させろと要求するのが、彼らを投票に行かせるのに多いに役立つかもしれない。奴らがヒラリーについての意見を変える必要はない。若者たちはいやいやでも投票する必要がある。そして奴らがそのことをつらいと思うのは許してやるべきだ。そして選挙後、若者たちの側に立って闘うのはとてもいいことだ。

4. ヒラリーは討論中、トランプに笑いの刃を突き立てるべきだ。

これについてはビル・マーと俺が力になれる(ヒラリー、電話をくれ!)。エイミー・シューマーとクリス・ロックも力を貸してくれるだろう。ヒラリーには笑いのセンスがある。でもほとんど隠してる(90年代に共和党の議長とやり合った時の様子がここにある)。 トランプはすごく怒りっぽい。皮肉をきかせて完璧に愚弄すれば、あいつは自滅する。生放送のテレビ番組でだ。そして、友よ、それがトランプが終わる瞬間になる。舞台の下から歓声を送ってくれるファンの野郎どもがいない中、あいつの頭は完全に崩壊する。ドッカーン!

5. 俺は君を地域の、学校の、職場の選挙区幹事としてここに任命する。

そう、君だ。みんなにはマイケル・ムーアに個人的に指名されたと言ってくれ。俺にその権限があるわけじゃない。ただ俺がそう言ったからだ。そして君がそう言ったからだ。どうか友よ、11月を成功に導くため"民主党"にすべてを任せるのはやめよう。君の住んでる場所にもよるが、アホばっかりいる組織やジャーナリスト、高校の生徒会がそれを認めないことも多い。

急いで君の住む郡の地元の民主党の代表の名前を挙げてくれ。そいつらは大衆の味方じゃない。そいつらだけに頼っていたら負けてしまう。だいたいそんなもんだ。オバマにはすばらしいキャンペーンチームがあって、人気のある候補だった。奴はそれで勝てたんだ。ヒラリーのキャンペーンは、ポケットの中に髪をとかすくしも50ドルも入っていない、俺とバーモント州のヒッピーたち以外には知られていなかった74歳の社会主義者を相手に、22州で敗北したんだ!

ハハハ!ヒラリーの"トップアドバイザー"で、"キャンペーン・フォー・アメリカン・プログレス"の代表が、こんなツイートをして、ヒラリー陣営について教えてくれる。

マイケル・ムーアがトランプを勝たせたくてしょうがないように見えるのは奇妙だ。私が彼の声明を誤って解釈してるのか、それとも他の人も私と同じ意見なのか?

というわけで、トランプを阻止するのに彼らだけに頼ることはできない。それが現時点で、"打倒ドナルド・トランプのための影のキャンペーン"(短く言えば"レジスタンス")の代表に俺が就任することにした理由だ。それから俺は君たち一人一人を、君たちが住んでる地域、職場、大学の選挙区幹事に任命する。この瞬間から、君は自分が住んでるブロック、街、地域、寮、職場、お祈りのための場所を組織化するんだ。訊かれたら、"打倒トランプ連合の地区代表"だと答えればいい。他の誰かが"代表"になりたがったり、自分が"代表"だと言ったりしたら、2人でその地位を分け合えばいい。そしてもっと多くの選挙区幹事を任命する。ミーティングは開かなくていい。行動するんだ。ユーモアを駆使しろ。フラッシュモブをやれ。かく乱するんだ。クリエイティブな、危険な思考をしよう。楽しんでくれ。トランプを倒すんだ。

なんでかって言うと、ご存じの通り、俺たちには他に選択肢はないからだ。俺たちはトランプ・レジスタンスに参加している。

共に革命を起こし、選挙後に遊ぼう

マイケル・ムーア

追伸 トランプにまつわる悪いニュースに、まだ有頂天になっていないか?それならもう1回、冷や水をぶっかけてやろう。トランプはフロリダ、バージニア、コロラド、ニューメキシコで負けるかもしれないが、それでも当選する! 奴に必要なのはさびれた工業地帯、イギリスのEU離脱みたいに何でもいいからぶっ壊してやれっていう"ブレグジット・ステーツ"のオハイオ、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンで勝つことだけだ。ヒラリーは予備選でその4つのうち3つで負けている。甘く考えちゃいけない。もう一つ言おう。すべては11月8日に誰が選挙へ行くかにかかってる。現在の世論調査でどっちが優勢かは関係ない。ミシガン州での予備選の朝、WJBK/TV2のデトロイト調査でヒラリーはバーニーより22ポイント優勢だった。12時間後、彼女は負けた。妄想は今すぐ捨てるんだ!君は選挙区幹事だ!君にはやるべき仕事がある!

ハフポストUS版より翻訳しました。

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