北欧スウェーデンの育休パパはかっこよすぎた

なぜスウェーデンではママが「当たり前に」「しなやかに」「ハッピーに」働けているのか?
Mirika Suzuki

2017年の1月、クラウドファンディングで視察渡航費を募り、長年のあこがれの地、スウェーデンのストックホルムに行ってきました。現地では主に子育て中のファミリーや働くママを訪問して、なぜスウェーデンではママが「当たり前に」「しなやかに」「ハッピーに」働けているのか?ヒントを探りに行ったわけなのですが、私なりの一つの結論は、「これらのキーはパパにある」ということでした。(&国の賢い政策はいわずもがな)

実は渡航前は、"働くママのライフハック in Sweden"をたくさん持ち帰ってこれるんじゃなかろうかと思っていたんです。

でも行ってみて感じたのは、スウェーデンでも日本でも、働くママが仕事と子育ての両立に奮闘したり、パパと喧嘩したり、出産のタイミングとキャリアの間で揺れたり・・・女性ならではの悩みは変わらないんだなあということ。別に取り立ててライフハックなんて無いんです。いかに効率良く、マルチタスクで自分のやるべきことをこなしていくか。スウェーデンのママだって日々試行錯誤の連続で、話していて共感ポイントがたくさんありました。

・・・ただ、「パパ」がとにかく違う!!!

そんなスウェーデンパパのリアルをまとめたいと思います。

①平日日中の児童館がパパだらけ。

スウェーデンでは多くのパパが育児休業を取得してます。しかも平均取得期間は3か月。しかもしかも、今、スウェーデンでは「なんでパパはたった3ヶ月しか育休を取らないんだ!ママとおんなじくらい取るべきだろう!」って議論がされているとか。(議論が日本の先の先を行き過ぎていて、わけがわかりません笑)それゆえ、平日日中であっても、メトロで、バスで、児童館や街中で、パパがベビーカーを押している姿を目にしました。それがまたかっこいい。黒くてゴツいベビーカーをスタイリッシュなパパたちが颯爽と走らせているのです。

それから"カフェでパパ会"する姿もちらほら。"パパが子育てする日常"を街のそこかしこで目の当たりにし、それはとても微笑ましく感じられるものでした。

Mirika Suzuki

②ママとキャリアで張り合わない

正直、日本のパパはまだまだ「俺が家族に飯を食わせてる」あるいは「食わせなきゃ」みたいな感覚が根強くあると思うんです。

でも、今回渡航先でお会いしたパパとプレパパたちはママの「仕事が好き!仕事をがんばりたい!」という想いを支えようと、「思う」だけでなく「行動」でしっかり示せているなと感じました。

例えばスウェーデンのグローバルアパレル企業にお勤めのパパ。奥様は外科医だそうで、第一子・第二子とも育休を6か月ずつ取得したのはもちろん、職場復帰後も子どもの急な発熱時や保育園の送り迎えはパパの役割だとか。ママが外科医という特殊な職業であることもありますが、自身も会社で責任あるポジションについているにも関わらず、それだけのことをコミットし実践できているなんて、とにかくかっこよいです。

それからある働くママにインタビューしたのですが、彼女よりも旦那さんの方が長く(1年ちょっと)育休を取得したそうです。理由を尋ねると、「私は仕事が好きで、彼の方が家庭的だったから」とさらっと答えてくれました。スウェーデンでは本当に、"女性だから・男性だから"みたいな仕切りが無いんだなあとビックリしました。

③飲み歩かないで早くおうちに帰る

渡航前、ヨーロッパの国だしバーやクラブ文化も盛んに違いない、と思ってました。でも行ってみると、未婚・既婚問わず夜が早い。まず、同僚や上司と仕事終わりの「今晩、いっぱいどう?」ってのが無いそうです。多くの会社で自分の裁量で仕事ができて、"上司が帰るまでとりあえず残る"なんて皆無なので、「やることさえやっていれば、あとはご自由に」というスタイル。労働時間も短いです。(しかも労働生産性はめちゃくちゃ高い。)

Mirika Suzuki

それでたっぷりある余暇時間に何をしているのか聞いてみたところ、個人的なプロジェクトを複数抱えていたり(趣味やボランティア、ライフワーク的なことがら)、とにかく自宅に帰って家族との時間を過ごしたり、友人を招いて小さなホームパーティをしたり、とても慎ましやかな生活を送っているようです。そもそも、お酒も外食も高いし、お酒を販売できるお店や時間が政府のルールで決められていたり、(スーパーには度数が低いお酒しか置いていない)、毎晩飲み歩くようなライフスタイルは成立し難いようです。家で過ごす時間が長いからこそ発達した北欧デザインやインテリアのお話はあまりにも有名ですが、北欧の「慎ましく温かなライフスタイル」についても、参考にすべきところがたくさんありそうです。

④家事と料理は標準装備

今回、スウェーデンでお会いした男性陣はみなさん家事や料理は朝飯前の方々でした。滞在中、もうすぐ第一子が産まれるというお宅にお呼ばれしたのですが、旦那さんお手製のスウェーデンの伝統料理を振舞ってくれました。

Mirika Suzuki

ミンチ肉にキャベツもたっぷり入ってとってもジューシー。アップルベリーソースを付けていただきます。料理してくれた旦那さんいわく、「外食は高い割にたいして美味しくないんだよ~だから基本は自炊だよ、その方が美味しいし。」とのこと。

そして、インタビューしたどの家庭も、家事は基本、妻と夫で50:50が多かったです。

それもこれも、やはりパパの労働時間の問題が大きいなあと。スウェーデンでは男女問わず労働時間が短い(9時~17時や日によって早上がりしたい日には7時~15時のように勤務時間を調整したり。)ので、家族時間が確保しやすく、家庭の中での役割をコミットしやすいようでした。ママは本当に大助かりです。

やる気はあっても、今の日本のパパのお仕事偏重な生活スタイルに家事タスクを追加したらパンクしちゃいますね・・・。

働き方改革だなんだといっても、いち企業戦士としては思うがままに働き方を変えるなんてハードル高すぎるよ、というのが現実だと思います。私の夫もよく言ってます。どうにも家事タスク時間を捻出できそうにないパパは、家事を細分化して、例えばせめて脱いだ服を裏返しのままにしない、とか、洗濯機をまわすボタンを押す、レベルでも良いので担ってもらえるだけでもママは助かるんだよ、と伝えたいです。実際、地味にすごく助かる・・・

日常的に家事や育児がママの仕事になりがちなパパは、そういう"数秒でできる"家事フォローからトライしてみてはいかがでしょう?

⑤育休パパの親世代はひと昔前の日本とおんなじ感じ

なぜゆえここまでスウェーデンでは当たり前に育児するパパが増えたのか?育った家庭環境はどうだったのか質問してみたところ、スウェーデンもほんのひと世代前は男性が外で働く専業主婦の世帯がほとんどだったそうです。

インタビューしたうちの一人の男性の父親は、全く家事をしない人だったとか。そんな環境で育ったけれど、今は女性も自立して働いているし、女性だから・男性だからという役割分担はナンセンスだ、とお話してくれました。

もともと人口が少なく(東京都23区と同じくらいです)、労働力不足が社会課題であったスウェーデンでは、「これからは女性も働いてくださいね!」「そのためにこれからは男性も家事育児参画していきましょう」「そしてスウェーデン全体をホームとして、皆で育んでいきましょう」

そんな国のメッセージがうまく機能して今に至ります。

まとめ

ー育った環境や既存の価値観に縛られず、家族のスタイルは自分たちで柔軟に築いていく-

親世代とは全く異なる環境下で子育てをしている以上、わたしたち子育て世代はもっと柔らかい頭でオリジナルな家族設計をしていく時代なのかもしれない。

スウェーデンでは、仕事、夫婦、子育て、ライフスタイルと、実は誰もが秘めているわくわくするような可能性を感じることができ、なんだか自由な気持ちになって帰国しました。

ママがもっとハッピーに仕事と子育てを両立できるように・・・スウェーデンのパパと日本のパパの現状をついつい比べて嘆いてしまうけれど、まずは自分の身の回りから、動き出そうと思ってます。

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