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丸10年のクールビズ――本当にクールな企業はやっていない?

2015年06月08日 14時09分 JST | 更新 2016年06月07日 18時12分 JST

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今年は、5月1日から環境省主導の「クールビズ」が始まっており、6月1日からは「スーパークールビズ」期間に入っています。

東京は毎年ゴールデンウィーク明けから、街を歩く半袖の人が見られるようになりますが、東北はまだ涼しい所多いだろうし、日本全体で一律の実施時期というのはいささが現実的ではないような気もします。

気候変動、異常気象などのグローバル・リスクに関心はあるものの、企業の環境活動意識は、そこまで熟成されていない気がします。ただ、世界のトップ企業は、エコとか省エネというカジュアルなワードではなく、ガチな社会的インパクトを出せる取組みを徐々に始めています。

ということで本記事では、クールビズを始め、環境省の企業環境活動調査データ、世界トップレベルの事例(アップル、イケア)などの環境経営の最新動向をまとめます。

■クールビズの取組み

クールビズとは、夏期に過ごしやすい服装で仕事をするという衣料軽装化キャンペーンのこと。冷房時の室温を28℃にしても快適に過ごせる軽装を推奨する取り組みであり、環境省が中心に啓蒙活動を行い、2005年に当時の総理大臣・小泉氏によって提唱されました。名称は一般応募によって決まり、同年、流行語大賞にもノミネート。今年で丸10年です。

環境省(2006)や内閣府(2007)の認知度調査でも9割を越える割合となっており、現在ではほぼ100%に近いのではないかと思います。クールビズの実践が、企業の環境活動といえるかは微妙ですが、その副次的効果としての、働きやすさ向上、省エネ、従業員の環境意識向上などがメインの効果かと思われます。

ただ、現実問題として、営業職の方は先方のドレスコードに合わせるのがセオリーであり、特にBtoB企業の新規営業の場合はスーパークールビズだからといって、「ノーネクタイ・ノージャケット・半袖ポロシャツ」とはいかないでしょう。政府がリーダーシップを取り"本気のトップダウン"をしなければ、元々の口実であったはずの「環境配慮にむけた省エネ対策」の社会的インパクトは見込めないでしょうね。

クールビズに関しては、先日まとめた『クールビズを利用しCSRの社内啓発をしよう』もあわせてお読みいただければと思います。

■アパレル側からみたクールビズ

2015年の「スーパークールビズスタイル」白やガウチョパンツがトレンドに

昨日、代々木公園で行なわれた環境相主催のイベント「スーパークールビズファッションショー」のレポート記事です。

実際のファッションスナップは参考リンク先で確認していただきたいのですが、女性はまだいいものの男性のハーフパンツとか、無理でしょ...、ってレベルに見えます。そもそも、スーツ着用が暗黙の了解である企業の場合、カジュアルな服がNGだからスーツを着ているのであり、意味もなく煽られても対応できませんよね。

通常、スーツにネクタイのお堅い企業の営業担当者が「6月になったのでハーフパンツ・スニーカーで来ました!」って、スーパークールビズのファッションで来たらどうします?特にBtoB企業の場合は怖くて想像できません...。

ファッション業界はこれまで例年クールビズ商戦を組んできています。ところが、今年はどうも様子が違います。あの日本最大のアパレル企業が、ひそかにクールビズへ「見切りをつけた」からです。柳井正会長兼社長率いるファーストリテイリング。言わずと知れたカジュアル衣料品店「ユニクロ」です。

ユニクロの「決別」にクールビズの限界を見た

ファーストリテイリングのクールビズ商品の考え方についての記事です。売る側から見ると、クールビズ商品の旨味や新鮮さがなくなってきているのでは?と。そういう意味では記事の指摘のとおり、カジュアル衣料のメーカーやブランドは、クールビズに見切りを付けてもいいのかもしれません。

昨今のクールビズは「手段の目的化」といいますか、クールビズを実施することが目的となっており、本来のコンセプトである電気代節約等の「省エネ」というアウトカム(成果)からズレてしまってきているのではないでしょうか。

■環境にやさしい企業行動調査

では、次にクールビズより大きな枠で企業の環境活動について考えてみましょう。

環境省の「Fun to Share」という取組みをご存知でしょうか?多分、一般ビジネスパーソンのほとんどが知らないのではないでしょうか。「低炭素社会を目指そう!」というプログラムなのですが、サイトを見ても何をすればよいかよくわかりません。ドラゴンボールとコラボしたり、食育運動支援などの記事がありますが...申し訳ないですが「だから何?」と感じてしまいます。

またその取組みの中で「Cool Choice」というプログラムを7月から実施するとのことですが、クールビズ同様、実効性のあまりない取組みになってしまわないか心配です。

さて、一方、企業としては環境配慮についてどう考えているのでしょうか。環境省の「環境にやさしい企業行動調査」(2015年発表)によれば、回答企業の79.4%が環境活動は「企業の社会的責任としてやっている」というデータがありました。「重要な戦略である」や「ビジネスチャンスである」といった回答は1割程度です。能動的な対応ではなく"社会貢献"としてやっている、ということなんでしょうね。

また「環境課題に対応する上で重視する事項」に対する質問項目では、「戦略的対応」(65.3%)でトップ、「ステークホルダーへの対応」(54.4%)、「組織体制とガバナンス強化」(45.9%)と続きます。年々、「言われてるからやっている」から「やるからには戦略的に取り組む」という姿勢に移行してきているようにも感じます。

では、戦略的な取組みとして大きな社会的インパクトを出している、アップルとイケアの事例の戦略的対応について紹介します。

■環境経営事例:アップル

○アースデイの取組み

アースデーを迎え、東京と大阪にあるアップル直営店「Apple Store」の店舗には、大きなアピールポイントでもあるおなじみのリンゴの葉が緑に染められた。同時に、アップルは環境配慮に関する情報を提供するためのウェブサイトとムービーを公開し、同社の取り組みを紹介している。世界最大のデジタル機器メーカーとして、これらの課題にどのように取り組んでいるのかを明らかにし、ユーザーである我々がどの様な基準で製品を選ぶべきか、という新しい尺度を作り出そうとしている。

アップルが緑色に!「環境経営」の本気度

4月22日のアースデイの時のアクションです。昨年の2014年4月22日のアースデイも同様の取組みがされました。これは日本だけの取組みではなく、世界の直営店のAppleストアで行なわれています。

また昨年は新聞の一面広告でも、アースデイの日にAppleの取組みが紹介されていました。キャッチコピーは「すべての企業に真似してほしいアイデアがあります。」です。ブラックジョークみたいですが、それなりの自信があってのこと。素晴らしいですよね。

参考:Apple|環境(日本語)

○森林の購入

米Appleは5月11日(現地時間)、中国における再生可能エネルギーおよび環境保護に関するイニシアチブの拡大を発表した。同社は3週間前、中国西南部、四川省の紅原県にソーラーファーム(太陽光発電所)を建設中であることを発表している。この発電所では、中国にあるすべての自社施設とApple Storeが消費するエネルギーよりも多い量の再生可能エネルギーを生み出すとしている。

Apple、中国での環境保護の取り組みを発表──100万エーカーの森林を保護

先月の発表ですが、Appleは世界中で森林を保護等の目的で買っています。森林の購入からソーラーファーム(太陽光発電エリア)建設など、本業とはまったく別領域での社会貢献的な環境配慮施策のように見えますが、CSR経営の視点からいうと、現地で活動する環境系NGOと協業することで、ステークホルダーエンゲージメント(利害関係者の対話)としてリスクヘッジをしているのです。

後々、莫大な費用の環境訴訟をされるより、先手を打ってソーシャルセクターやパブリックセクターと良好な関係を築いていく。まさに戦略的CSRです。

■環境経営事例:イケア

スウェーデンの家具大手イケアは4日、再生エネルギーの導入と貧困国の気候変動対策の支援に10億ユーロ(11億3000万ドル)を投じると発表した。地球温暖化の進行を遅らせる各国政府の努力のお株を奪うような企業の取り組みの最新例。

イケア、温暖化対策に10億ユーロの投資を公約

記事によれば、イケアの昨年の売上高は300億ユーロで、2020年までに店舗や工場で使用する全ての電力をクリーンなエネルギー源で賄う方針とのこと。確かにイケアはCSR推進企業としても有名で、エネルギー対策にも積極的に取り組んでいるのはしていましたが、まさかこのレベルなのか...。

気候変動への対応は、世界レベルの重大リスク対応であり、日本も国も企業も総力戦で関る姿勢が必要です。マネは絶対できないと思いますが、これぐらい本気の企業もあるよ、ということで紹介させていただきました。

■社会的なインパクトにフォーカスする

アップル、イケアは、クールビズと関係なくクールな企業のようです。

日本企業の上場企業や大企業のほとんどは、まだまだダイナミックな環境活動はできていません。クールビズですら、ほとんどの企業で実践できていないようなので当然の結果ではあります。

ちなみに、私はクールビズ賛成派であり、可能であればノーネクタイ・ノージャケットが望ましいと思っています。ただし、上記でまとめた通り、理想と現実のギャップを埋める抜本的な取組みが環境省側から提示されない限り、社会的インパクトも含めた実現性は低いままだと思います。

あなたの会社では、どんなクールビズ活動をしていますか?

せっかく取り組むのであれば、言われたからやるではなく、今一度その意義を考えて実施していただきたいと思います。

(2015年6月8日「丸10年のクールビズ--本当にクールな企業はやっていない?」より転載)