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血液内科医が父子家庭になっちゃいました。

2013年11月23日 00時05分 JST | 更新 2014年01月22日 19時12分 JST

某大学病院血液内科

single father hematologist

2013年11月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  

今時、離婚は珍しくないのですが、3人の子供の父子家庭になるとは思いもよりませんでした。とある大学病院の血液内科で勤務すること7年が経過し、移植もずいぶん上手にできるようになり、3人の子供を授かった家庭は自分では円満と思っていたのですが、前妻にとっては苦痛の年月であったらしく、突然の告白が ありました。「恋人がいます、子供を連れて出て行きます。」そこから心労の離婚協議になり、体重10kgを落としました。同僚の助けもあり、3人の子供を引き取ることができ、仕事も続けることができています。

どうして仕事を続けていられるかは一重に職場の皆様のご理解とご協力に尽きます。移植病棟の一員として従事しており、離婚前は平日12-15時間くらいと 休日も毎日3時間程度は勤務しており、月に当直が3-4回、急変での呼び出しが2ヶ月に一回くらいありました。小さい子供3人の面倒を見ながら、この勤務での生活は不可能だと考え、一時は仕事を辞めるつもりでした。離婚協議での心労、慣れない家事、睡眠不足でふらふらでした。患者の急変で夜中に呼ばれた時 に、子供3人を家に残して病院に向かった日もありました。さすがに心配でならず、仕事よりも子供を大切にしなければと痛感した夜でした。周囲は再婚を勧め るのですが、子供にとっては私が唯一の親なので、子供の育児に自分のたくさんの時間をかけたいと思うのです。父子家庭で4人まとまった方が家族の絆が深まると思い、父子家庭で子供を育てることを決意するのでした。

私は現在の病棟にて現場スタッフのひとつの柱であったため、教授は組織の大きな変革をしてくれました。私の仕事から当直業務をなくし、私の勤務を9-17 時の定刻どおりに収めてくれました。私の仕事量が限られるため、メディカルアシスタントを病棟に一人雇ってくれました。これにより指示入力、カルテ記載な どの業務をすべて口頭で済ませることができ、時間の大幅な短縮につながりました。急変時の呼び出しがひとつの課題でしたが、患者の看取りを含めてすべて当直対応となりました。仕事の効率化を大幅に改革することで、現在は10人の移植患者さんを担当することができています。

家庭のケアも私の大きな仕事です。朝は2時に起き、洗濯、夕食の準備などの家事をこなし、朝食後、幼稚園と保育園への送りをします。前と後ろに子供を乗せ られるママチャリに3人の子供を乗せて押していきます。子供乗せママチャリが売れる理由が分かります。その機動力と運搬能力たるや絶賛です。勤務を17時 に終えると、子供達を迎えに行き、夕食の準備、夕食、風呂、寝かしつけと忙しい時間に入り、20時に子供達を寝かしつけています。何より料理に一苦労です。急に上手にはできませんが、小田真規子さん著作のきほん料理帳を片手に特訓中です。レシピはプロトコールと似ていて、学生時代に教わった実験の様です。小田さんは料理のベストティーチャーですね。いわしの蒲焼、牛丼、唐揚げなどの家庭料理が初心者でも上手に作れます。週末は今まで以上に子供と過ごすことができるので、大いに遊び、育児、教育をしています。塞翁が馬なのかもしれませんが、仕事と家庭の両立ができているのが不思議です。

父子家庭となってから数ヶ月が経過し、主夫として父親として生活を回すことができるようになってきました。家で仕事をする時間を取れるようになったのが大きな進歩です。4時に洗濯機を回しながら、学問に取り組むのもなかなか趣深い時間です。現在の職場で必要とされる間は移植医療に携わっていられるかなと、 一日一日を大切にして生きております。そして何よりの3人の子宝を愛して幸せに暮らしています。

(※この記事は2013年11月22日発行のMRICVol.287「血液内科医が父子家庭になっちゃいました。」より転載しました)

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