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「車社会からエコの街へ」LAにも"サードウェーブ・コーヒー"の波

2014年05月10日 18時06分 JST | 更新 2014年05月10日 18時19分 JST

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2014年4月撮影

 ゴキゲンな太陽と果てなく続くビーチ、鮮やかなグラデーションが映えるサンセット、エンターテイメント産業の世界的中心地ハリウッド、ビバリーヒルズの豪邸で暮らすセレブたち…

 ロサンゼルスというと、こんなイメージがあるのではないでしょうか。おそらくそのどれも間違っていませんが、同時にロサンゼルスは様々な人種、言語、価値観が街に渦めく、多民族国家アメリカを象徴する大都会です。映画『Crash』に描かれたように、様々なバックグラウンドを持つ人々が生活を営み街を行き交い、ときに交わりときにすれ違い、それが当たり前の風景となって日々が刻まれて行く…そんな都市です。

 『Crash』はフリーウェイで起こった一件の交通事故からはじまる物語ですが、ロサンゼルスといえばアメリカの多くの都市と同様に車社会です。片道MAX8車線くらいあるLA中心部のフリーウェイは、アメリカでの運転に慣れていないと最初は少し怖いです。

 さて、そんな“天使の街”が今、未来に向けて「エコな街」に生まれ変わろうとしている!かもしれません。

 車社会とはいえアメリカ第二の都市であるロサンゼルスには、ロサンゼルス郡都市交通局(MTA)が運営する市内バスと近郊鉄道が走っており、これが実はロサンゼルス全域をほぼ網羅しています。また、平日にダウンタウンやハリウッドを巡回するDash Busや、ロサンゼルス国際空港(LAX)からサンタモニカ周辺をカバーするBig Blue Busといったものもあります。つまり、これらの公共交通機関を駆使すれば、車がなくてもロサンゼルスの街を(論理上は)充分に満喫することができるのです!

 実際に満喫することができるかどうか、無駄なことが大好きな僕は試してみました。

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 まずは、ダウンタウンのUnion Stationをターミナルにロサンゼルスの各エリアへとつながる近郊鉄道、Metro Rail。ハリウッド&ハイランドやユニバーサル・シティに行くRed Line、パサデナへのGold Line、ロングビーチへのBlue Line、そしてLAX周辺まで延びるGreen Lineなどがあります。

近年拡大を続けるMetro Railの路線について説明してくれる歌「LA's Got Lines」。コーラスのおっさん声が何かシュール…

 ロサンゼルスのMetro Railは、ニューヨークの地下鉄のように不衛生で薄汚い感じではなく、日中は駅も車内もクリーンで明るい印象です。各路線はダウンタウンの一部を除き地上を走ります。僕が利用した限りでは、平日の日中は10〜20分間隔くらいで運行しています。

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↑Blue Lineの駅。ちょっと都電みたいな雰囲気

 乗車料金は確か一律$1.50で、Day passや7-day Passもありました。TAPというプリペイドカードがあり(Suica的な)、駅にあるマシンでチャージします。TAPはバスでも使えるので便利です(バスの乗車料金はキャッシュでも払えますが、お釣りがないことがほとんどです)。

 Metro Railを利用して印象的だったのが、車内に自転車を抱えた若者がたくさんいたこと。今時のLAっ子はダウンタウンまで電車で出て、チャリで街を走るようです。この車社会にも「エコ=カッコイイ」の価値観が浸透しつつある様子が伺えます。

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 ハリウッドやパサデナ、ロングビーチなどに行くには、Metro Railはとても便利だと思います。そして、Metro Railではカバーできない細かいストリートまで網羅するのが、ロサンゼルスの街を網の目のように走るMetro Busです。

 Metro Busはとても複雑で、はじめて利用する人はまず混乱します。そもそも路線が多すぎる上、曜日や時間帯によって運行の有無や間隔が大きく異なります。地元の人に聞いても、大体わかりません。やはり基本はマイカーであり、バスを利用するにしても通勤時などに特定のルートだけ、という人が多いのでしょう。

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↑Metro Busの路線図。初めて見る人にはカオス

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↑乗換案内的な公式アプリもある

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↑バス停でヒッチハイクしようと頑張っていたもののガン無視されていたおっさん…

 アメリカで公共バスというと貧困層が利用するものというイメージがありますが、ここロサンゼルスではそのような印象も受けませんでした。普通にサラリーマンやOLが通勤していたりします。こちらもやはり「毎日酷い渋滞で高いガソリン代を払うくらいならバスで通勤しよう」という“エコ”な人が増えているのかもしれません。

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 エコといえば、ダウンタウンのすぐ北にEcho Park(Ecoではない)という公園があります。Echo Parkは公園周辺のエリアの名前でもあり、ここはおそらくメルローズやシルバーレイクを凌ぎ今LAで最もヒップなエリアです。MLBロサンゼルス・ドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムも、このすぐ近くにあります。

 Sunset Blvd.をメインストリートとするこのエリアには、面白いカフェや本屋、レコード屋、ヴィンテージショップなどが並んでいます。もともとはヒスパニック系の移民街だったようですが、ニューヨークにおけるブルックリンと同じように、安い家賃を求めてアーティストやクリエイターたちが移り住んできたのかもしれません。

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↑「時空を超えた」商品を揃え集めた、その名もTIME TRAVEL MART。恐竜の卵も売っている!

 一際ヒップな人々で賑わっていたのが「STORIES」というブックストア。新書から古本、さらに雑貨まで店のこだわりを感じさせる商品が所狭しと並び、奥にはオーガニックカフェ。サンフランシスコを発信源とする、いわゆる“サードウェーブ・コーヒー”の店です。

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 店の一角にある“SEX GENDER STUDIES"というコーナーを見れば、この店のエッジィぶりは充分に伝わるかと。確かオカルトとかマーシャルアーツとかのコーナーもありました。

 現在世界を席巻し始めているサードウェーブ・コーヒーは、単にダイレクトトレードのコーヒーをハンドドリップで丁寧に淹れて提供するというだけでなく、ある思想を有したローカルな空間を作ることによって生まれる“コミュニティ”に着目したムーブメントだと思います。

 サードウェーブ・コーヒーの発信源がサンフランシスコであることは、サンフランシスコがIT産業の世界的中心地であることと無関係ではないでしょう。webでのバーチャルコミュニケーション技術が成熟すればするほど「結局face to faceのリアルコミュニケーションに勝るコミュニケーションはない」ということに鋭敏な人々は気付き始め、その結果「ローカル」「リアル」への回帰を志向した動きのひとつがサードウェーブ・コーヒーなのだと思います。東京にも最近この手の店が増えてきましたが、まだ表層的な“お洒落感”だけが消費されているような店が多い印象を受けます。

 スターバックスが、大量生産のコーヒーを忙しく喉に押し込む20世紀型ビジネスマンの場所であるならば、そのアンチテーゼとしてのサードウェーブ・コーヒーは21世紀のクリエイターが集まる場になるのでしょう。

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(2014年5月5日「Splash Hits」より転載)