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クリエイティブ産業に同性愛者が多い理由

2014年11月13日 15時50分 JST | 更新 2015年01月12日 19時12分 JST
ONOKY - Eric Audras via Getty Images

ファッションや音楽、映画などのクリエイティブ産業には同性愛者が多いと、よく言われる。

その理由について、よく「(同性愛者の人々は)美意識が高いから」などと語られる。美意識が高いからこそ、社会的なジェンダーの枠組みを超えてしまうのだろう、と。

もしそうだとすると、なぜ同性愛者の人々は美意識が高いのだろうか?

それは彼等彼女等が社会的マイノリティであるからだと、僕は考えている。

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同性愛者は、日本に限らず世界の多くの場所で、未だ社会的マイノリティである。

社会的マイノリティの特徴は「人と違う」部分が多いことだ。厳密に言うと、マジョリティの人たちと違う部分が多いこと。それは、ジェンダーだったり国籍だったり宗教だったり、あるいは食事や音楽の趣味だったりする。

「人と違う」部分が多いと、必然的に「人と同じ」部分に敏感になる。

たとえば、共通点が多く何でも話が合う友人と一緒にご飯を食べていて、そこでお互い卵かけご飯が好きだと気付いたところで大した感動はない。一方で、言葉も信仰も文化も違う人と一緒にご飯を食べていて、価値観が全然噛み合ない中でお互い卵かけご飯が好きだと気付いたときは、たぶん結構盛り上がる。

つまり、他人と共感し合えることが少ない人ほど、他人と共感し合えることに敏感になる。そして、この"共感センサー"の高さこそが、クリエイターとして活躍するための重要な素養なのだと、僕は考えている。

『私をスキーに連れてって』などの作品制作で知られるホイチョイ・プロダクションズ代表の馬場康夫さんが以前、こんなお話をされていた。

レイモンド・チャンドラーに「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない」という言葉がある。それになぞらえて言うなら、「人と同じでなければものはつくれない、人と違わなければものをつくる資格がない」というところだろうか。

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"ものをつくる"クリエイターにまず必要なのは、人と違うユニークな視点や感性から生まれるアイデア。そのアイデアを世の中に受け入れられる形で表現するために必要なのは、人が自分と同じように共感するポイントを理解すること。お笑い芸人だったら、ユニークなネタに加えて人が笑うツボをわかっていなければ、人を笑わせることはできない。奇抜なアイデアだけでは、人の心は動かせない。

社会的マイノリティである同性愛者は「人と違う」部分が多く、それ故に想像力を持ってユニークなアイデアを生み出しやすい。一方で「人と同じ」部分に敏感であるから、それを世の中に上手に伝えることができる。これこそ、彼等彼女等がクリエイティブ産業で活躍できる理由なのだと思う。

もっともこれは、同性愛者に限った話ではない。『「運命を狂わさないほどの恋を、女は忘れられない」のかもしれない』でも書いたが、伝統的に日本人男性が中心の社会である日本では、女性も社会的マイノリティである。だから日本の女性は、男性よりも想像力豊かで、かつ共感センサーの高い人が多いと感じる。

マイノリティの人々は、美意識が高いからマイノリティになるのではなく、マイノリティだから美意識が磨かれるのではないだろうか。

2014年11月12日「Splash Hits」より転載)