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限界まで挑戦を続けない限り、成長なんてありえない -- マイク・スタッファーさん

2015年11月18日 16時03分 JST | 更新 2016年11月15日 19時12分 JST

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撮影:Michael Holmes Photo

英語と日本語で、しかも台本なしの全くの即興で舞台を作る"海賊"たちを率いるアメリカ人、マイク・スタッファーさんとのインタビューは、実はこれが2回目です。約2年前、私たちが水道橋で当時行っていた英語朝活の一環で、東京の即興コントグループ「パイレーツ・オブ・東京湾」のリーダーを務めるマイクさんをお招きし、東京で、そしてその前に大阪で、何のコネクションもネットワークもない状態からどのように、そしてなぜ即興コントグループを立ち上げたのかをお話しいただきました。

*その時の内容はこちらをクリック!

そして2015年、パイレーツ・オブ・東京湾は創立5周年を迎えます。来る11月29日には六本木にあるライブハウス「スーパーデラックス」で、5周年を記念する特別ショーが行われます。2010年の立ち上げ以来、日本だけでなくアジアやアメリカを駆け回ってきたこの5年間を、東京にいる人たちと共に爆笑の渦に巻き込まれながらお祝いするというものです。

そこでMy Eyes Tokyoでは、彼らがどのようにして5年間活動を続け、グループを維持し、大きくしてきたのかを聞きました。

*インタビュー@渋谷

*マイクさんとの1回目のインタビュー(2014年1月@水道橋):こちらをご覧ください!



即興コント、こんな感じです(日本語)↓



■「マンネリ化」との闘い

僕がリーダーを務める即興コントグループ「パイレーツ・オブ・東京湾」(以下「POTB」)は、おかげさまで結成5周年を迎えます。しかし2010年の立ち上げ以降の道のりは決して平坦ではなく、中でも一番キツかったのは「常に新鮮なショーをお届けすること」でした。

まず東京は全体的に、台本なしで、その場その場の流れで舞台が作られていく"即興"というジャンルが盛んではありません。しかも他の即興グループはPOTBよりも小規模です。さらに定期的に公演したり、海外ツアーに積極的に出るのは、東京ではPOTB以外に見当たりません。僕たちはだいたい年に4回、海外公演を行います。

即興コントコミュニティーが小さい東京では、他のグループの公演を見て参考にし、僕たちのスキルを上げるということが難しい。これが欧米だと、即興グループは至るところにあります。僕の故郷、アメリカのミネアポリスでさえも、20以上の即興グループがあります。つまり毎週10個のショーを楽しむことができ、そこから新しいスタイルや技術を学んだり、素晴らしい俳優たちのパフォーマンスを堪能することができます。このような機会は、なかなか東京では得られません。

だから一番キツいのは・・・僕たちのスタイルが過去のものになってしまうのではないかという不安に、いつもさいなまれることです。もし新しいスタイルを取り入れず、そのままのPOTBでいたなら、きっと僕たちのステージはマンネリ化するでしょう。

即興は、常に新鮮でなくてはならない。僕たちはショーを毎回、新鮮な状態でパックに詰めてお届けしたいのです。お客さんを惹きつけ、毎月僕らのショーに来てくれるようにするためには、それが必要不可欠ですから。



■ そうだ、海外行こう

いつも新鮮でいるために、そして東京の小さな即興コミュニティから出て外の空気を吸うために、僕たちはこれまでの5年間、10回の海外ツアーを行い、シンガポール、北京、上海、香港、マニラ、ニューヨークで公演してきました。来年はクアラルンプール(マレーシア)、シンガポール、シカゴに行きます。これらの海外公演が、僕たちにいろんな即興グループとの共演の機会を与えてくれました。そしてそのおかげで、新しい即興ゲームや即興技術を学ぶことができました。それに、海外で行われるコメディフェスティバルに、日本代表として参加できることを、とても誇りに思いました。

僕たちパイレーツが、他の日本国内の即興グループと比べて特にスペシャルだと思う部分は「海外で公演したい!」という思いが強いことです。先ほども申したように、僕たちは年4回、海外ツアーに出ます。海外ツアーで僕たちは居心地の良い場所から抜け出し、新たなことに挑戦し、世界中に友人を作って帰ってきます。

僕たちがツアー中に出会う人やグループも、東京で僕たちと共演したいと言ってきます。だから海外の人たちとの共演も多いです。今年10月は、テキサスから来た2人の即興コメディアンと共演しましたし、3ヶ月前はオーストラリアから来たコメディアンと共演しました。来年初めにはカナダのグループと共演します。

しかも共演だけでなく、彼らが東京に来た際には、僕たち向けにワークショップもしてくれます。これも僕たちのコメディスキルの向上につながっています。

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パイレーツ in ニューヨーク! *写真提供:マイク・スタッファーさん



■ 笑いのスキル以外に得られるもの

一部のメンバーは本業と並行して、週1〜2回のPOTBの活動に参加してくれます。仕事以外の時間をPOTBに割くのですから、当然忙しくなります。それでも僕たちと一緒に活動するメリットは、きっとあると僕は思っています。人前で演じることや人を笑わせること、ちょっとだけお金が得ること以外の「第2の目標」を据え、「第2のスキル」をPOTBの活動を通じて得てほしいと思っています。

例えばウェブサイト構築が好きなメンバーにはPOTBのウェブサイト制作を任せます。そうやって彼は本業にも活かせる経験ができます。

SEOが好きなメンバーは、POTBウェブサイトのSEO対策を担当します。彼は今、テック系のグローバル企業でSEOを任されています。これもメンバーのPOTBの活動への参加を促すきっかけになっています。舞台で演じるだけではない、日常生活で起こる様々な問題や要求に、建設的かつ効果的に対応するために必要な能力を、POTBの活動の中で得られる。しかもそれを職場で活かすことができるかもしれません。

しかも、ここなら失敗が許されます。もし皆さんが日本の大企業で働いていたら、ミスは許されません。でもPOTBなら、少しくらいミスしたからといって、大した問題ではありません。このような環境で学び、成長し、本業で活かせる経験を積むことができるのです。

さらに言えば、ビジネスで必要なスキルを、即興を通じて学ぶこともできます。チームワーク、コミュニケーション、チーム作り、問題解決、チーム内の信頼醸成・・・これらは、実は即興を通じて学ぶことが可能です。

このようなことを東京にある企業さんにお伝えする試みを、今年から始めました。取引成立に持ち込むために即興のスキルをどのように活用するかを、営業チーム向けにお伝えするようなものです。

すでにいくつかの大使館さんにお声がけいただき、そこでは職場での異文化コミュニケーション研修をさせていただきました。来年はさらに積極的に、企業さんにお伝えできればと思っています。



■ 英語が苦手?全然OK!

POTBには今、16人のメンバーがいます。このくらいの人数であれば、それぞれが強みとする種類の即興やゲームを考えながら、実際のショーでのメンバー配置ができますし、普段の稽古でも柔軟なスケジュールを組むことができます。

僕たちは毎週日曜に稽古する一方で、月1回の日曜のショーだけでなく、時々土曜日にもショーを行ったりします。だからとっても忙しい。でもこれだけのメンバーがいれば、稽古やショーに参加できない人がいたとしても、そこまで大きな問題ではありません。

ショーでは、僕たちはいろんなゲームをします。メンバーがそれぞれ強みと弱点を持っていますが、ある程度の規模のグループであれば、それぞれの強みを生かした配置ができます。例えば、もしあるメンバーが英語または日本語が苦手な場合、僕たちはその人が一番自信のある言語でゲームに参加できるように采配します。

僕たちが東京で5年間活動を続けることができた大きな理由は、パイレーツが本当の家族のように機能したことにあります。僕たちはステージの上でもステージを降りても、お互いが支え合ってきました。できるだけ活動に参加し、POTBを東京でNo.1のグループにしよう - メンバーはそう思ってくれています。

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撮影:Michael Holmes Photo



■ 日本人の力が必要

僕の目標は、日本人メンバーを今以上に増やすことです。今日本人メンバーは5人います。うち4人が女性、1人が男性です。もし日本人メンバーがさらに増えれば、僕たちはさらに強力なグループになれます。日本でPOTBを確固たるものにしたいなら、単なる「外人グループ」になることだけは避けなくてはなりません。僕たちは「東京の素敵なエンターテインメント集団」と皆さんに言われるようになりたい。そうなるために「外国人半分、日本人半分」または日本人の方が少し多いくらいにしたいと思っています。

より多くの日本人に参加していただきたい理由は、他にもあります。東日本大震災の後、大半の外国人メンバーが日本を離れ、母国に帰って行きました。そのようなことは突然起こり得ます。語弊があるかもしれませんが、僕たちは、いつ母国に帰るか分からない外国人に依存したくない。その代わり日本人メンバーを増やせば、POTBは安定を確保し、将来の計画をきちんと練ることができるのです。



■「多様な観客の写し鏡」でありたい

僕たちはあらゆる国の出身の方々に門戸を開いています。

僕が来日してから大阪で立ち上げた「パイレーツ・オブ・道頓堀」には、以前は韓国、チリ、中国出身のメンバーがいました。中でも中国人メンバーには北京公演の時に助けてもらいました。彼のおかげで中国語で少しだけ演じることができました。お客さんはめっちゃ驚いていましたが、とっても喜んでいました。

だからもし僕たちのメンバーにシンガポール人や中国人、台湾人、フィリピン人がいれば、海外公演の時でも、東京でのショーでも、もっとお客さんと一つになれると思います。

POTBのコンセプトは「コメディのお弁当箱」。僕たちは東京のような国際都市でショーを行うに値する、多様なグループになる必要があります。僕たちのショーを見に来てくれる100〜200人のお客さんは日本、アメリカ、イギリス、カナダ、シンガポール、中国などの出身です。

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POTB4周年特別ショー(2014年)*撮影:Michael Holmes Photo

☆5周年記念特別ショー(2015年11月29日)の詳細はこちらをクリック!

もし僕たちがそれらのバラエティ豊かな観客層を、そのまま舞台に反映できれば、お客さんが僕たちとより一体になり、誰もが笑えるような舞台を提供できるのではないか - そう期待しています。



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【関連記事】

マイク・スタッファーさんインタビュー Part1(2014年1月):

www.myeyestokyo.jp/48247

中村あやさん(即興女子@POTB):www.myeyestokyo.jp/48627

(2015年11月11日「My Eyes Tokyo」に掲載された記事を再構成し掲載)