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飽食ニッポンの「食料廃棄」を1万人規模で考える -- 世界食料デー実行委員会

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日本列島、まだまだ暑い日々が続いています。熱気と湿気のダブルパンチで、食べ物が傷みやすいこの時期。ついつい買いすぎてしまった食べ物を、止むなく処分してしまうことも、きっと増えてきているのではないでしょうか。私たちMy Eyes Tokyoも決して例外ではありません。

そんな不快指数100%の東京に、2人の若者が颯爽と現れました。女子大生起業家の城宝薫さんと、20代にして複数の会社を経営する柴田雄平さんです。お2人とも"食"にまつわる事業に携わっています。

その2人が今、静かに企んでいることがあります。それは「革命」。もちろんかつてのような暴力的な意味を含んだものではありません。むしろ一般市民と共に楽しみながら、企業を動かし、やがては国をも動かしていく・・・決戦は10月中旬の"世界食料デー"、革命の武器は"イベント"。「世界食料デーフェスティバル」を計画し、1万人規模の動員に向けて秘かに刃を研いでいるお2人に「若者が考える"How to change the world"」についてお聞きしました。

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左:城宝薫さん 右:柴田雄平さん



■ 人を良くする"食"

城宝:「食」という漢字は「"人"を"良"くする」と書きますよね。食べることで人は元気になる。つまり「"気"の"元"が"良"くなる」のが食です。だから私は途上国の子どもたちの食のサポートをさせていただきたいし、私自身も食べたいものをたくさん食べたいんです。

私は大学3年の時に起業しました。そして今年3月に社会貢献型グルメアプリ「テーブルクロス」をリリースしました。「飲食店予約で途上国の子どもたちに給食を届ける」ことを可能にしたアプリです。詳しくはこちらをご覧いただければと思いますが、途上国の食の問題に自分なりに取り組みたいと思い、毎年10月16日の"世界食料デー"の時に「日本と世界の食料問題を、たくさんの人たちと考えるイベントを開きたい」と思いました。それが今年の4月でした。

そこで私は、すでに別事業でご一緒させていただくことを考えていた(柴田)雄平さんに、私の考えを伝えました。雄平さんは飲食店事業や、飲食に関するメディア運営など、私と同じく「食」に関係する分野で起業した人。それに私よりもずっと経験も知識も豊富だから、ぜひ一緒にイベントをさせていただきたいと思いました。それで声をかけさせていただいたら、あっという間に雄平さんからいろんな人を巻き込んでいただきました。

柴田:先ほど城宝が言った"別事業"とは、彼女が関東と関西に展開している学生団体のことですが、「一緒にもっと盛り上げて行こうよ!」と意気投合しました。その際に彼女から「学生団体の学生たちと主体的にこの企画を一緒にやりたいのですが、力を貸していただけませんか?」と言われて提示された企画が、この「世界食料デーフェスティバル」でした。



■ 道端の草を食べた原体験

柴田:私自身は現在、食に関する事業を複数営んでいます。飲食店の経営や食に関するメディアの運営、さらには大手食品関連企業のマーケティング戦略のコンサルティングもさせていただいています。その原点が19歳頃に体験した、ヨーロッパへのバックパック旅でのギリギリの体験でした。

それまで都内の高級料理店で忙しく働いていた私は、ヨーロッパの家庭料理を学ぶため、そして"理想の働き方"を見つけるために、フリーランサーが多いと聞くヨーロッパに半年間の旅に出ました。その間ほぼ全て野宿で、お金が無くて道端の草とかを口にしたことがありました(笑)最高で3日間、何も食べなかったこともあります。そんな経験をしたから、食の大切さが骨身に沁みています。今は多くの従業員を抱える身になりましたが、彼らを一人たりとも貧乏にさせたくないんです。

そんな思いがあるから、私は城宝からの提案に乗りました。世界食料デーという日があることを、それまでほとんど知らなかったにも関わらず、です。普通なら無謀な計画と思っても不思議では無いかもしれません。まだ企画書も無い段階で「ひとりでできることは限られているけれど、ひとりでも多くの人と世界の食問題について考えるイベントを開きたい」と言われ、しかもそれを「半年後に実施する」と聞いたら、「無理だよ」と言う人も多いでしょう。でも私は不可能だとは思いませんでした。私は「実施できるようにするには、どうしたら良いか」を考えるタイプですから。

そのような経緯から、城宝と私で共にこのプロジェクトを進めて行くことにしました。それから企画書をすぐに作り、城宝は全国の学生を集め、私は企業スポンサーを集めました。また一般財団法人日本国際飢餓対策機構との共催も決まり、その他、外務省や国連食糧農業機関駐日連絡事務所からの後援も決まりました。

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撮影:土渕正則



■ 考えるべきは「食料廃棄」

柴田:10月中旬の世界食料デー前後には、様々な国でイベントが行われるでしょう。恐らく"飢餓"をテーマに据えるものも多いと思います。一方で私たちがイベントを通じて参加者の皆さんにお伝えしたいのは、飽食であることの副作用として深刻な"食料廃棄"の問題が日本で起きているということです。

食品メーカーや食品を扱う流通企業には、食料廃棄の問題が潜んでいます。日本だけでも膨大な量の食品が、賞味期限前のものにも関わらず廃棄されています。そういう企業にもCSR(企業の社会的責任)部門はあると思いますが、食料を廃棄しているうちは本当のCSR活動は出来ていないのではないか、とすら思います。

私個人は"年間○トン以上の廃棄食品を出した企業は、法律により罰せられる"という法律があっても良いと思っています。それを機に、例えばあるコンビニチェーンがおにぎり1個の廃棄を無くしたら、1日にして数十万個のおにぎりの廃棄が無くなりますよね。

「それなら廃棄食品を海外に売ればいいじゃないか」という声もあるようですが、「果たしてお金で解決するような問題なのか?」という問いが、このイベントのテーマになると思っています。食料は、お金で考えるようなものではない。食料は"買う""買わない"のようにお金と引き換えに得るものではなく、"心"と引き換えに得るもの - 僕自身はそれくらいに考えています。何故なら食べものは本来、生産者が時間をかけて、丹精込めて作るものだからです。それをイベントにお越し下さる方々に感じていただけたらと思っています。

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「世界食料デーフェスティバル」のロゴ。食料問題と向き合い、そしてそこから生まれたコミュニティの創造を願って作られた。



■ 学生の力で国を動かす

柴田:このイベントは、関東と関西の同時開催です。関東は東京・葛西臨海公園、関西は京都・梅小路公園での開催を予定しています。

城宝:世界食料デーは、言うまでもなく世界中同じ日です。日本だけでなく、世界中の人たちがこの日に何らかのアクションを起こすでしょう。私たちが実際にイベントを開催するのは世界食料デーの2日後、今年の10月18日ですが、そんな日に関東と関西という日本の2大拠点でイベントを同時に開催すれば、世界に対して大きく発信できるのではないか - それが関東・関西同時開催の狙いです。

"1万人"という数字に、特に根拠はありません。ただ、その規模でイベントを行う学生団体はこれまでいませんでした。また、農林水産省と学生がコラボして食に関するイベントを行うところは過去にもありましたが、学生が主体となってゼロから立ち上げる大規模イベントは、これまでに聞いたことはありませんでした。「若者から世界を変える!」という言葉は聞いたことがありますが、果たしてそれに向けてどれだけの学生が実際に動いているんだろう・・・だから私は、それに挑戦したいという思いがありました。

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撮影:土渕正則

柴田:このイベントは、大きく3つに部門が分かれます。①それぞれが食料問題について取り組む活動内容の紹介②飲食の販売や物販 ③ステージショーです。

販売については、レストランによる飲食ブースの出展や、生鮮食品や果物などの販売ブース、飲料販売ブース、他にもコーヒーや雑貨、衣類などの物販ブースなども入ってくると思います。

展示については、世界の栄養問題に取り組まれているNPOさんや肥満問題に取り組まれているNPOさん、それに食育や食料廃棄、飢餓などの問題に取り組まれているNPOさんのご活動を、写真やレポートなどでご紹介します。つまり"世界の食の現実"をお伝えする場です。

ステージについては、協賛してくださる企業の社長さんや、食について長らく問題提起しているような方々、あとは食料の生産に従事されている方々をお招きして、現場の声を聞いたり、グループディスカッションを行う場を設けたいと思っています。もし時間が許せば、ライブも入れたいですね。



■ 新しい価値を創る

柴田:すごく偉そうに聞こえるかもしれませんが「企業の意識を変えるんだ」くらいに思っています。協賛していただける企業さんが多く集まって下さればもちろん嬉しいですが、その前に企業の方々に問題提起をさせていただけたらと思っています。

企業さんから協賛金をいただく代わりに、廃棄問題などについて考えるきっかけをご提供させていただく・・・偉そうに聞こえるかもしれませんが、この考えに賛同して下さる企業さんに、協賛をお願いしたいと考えています。

城宝:このイベントを通じて"世界食料デー"の存在を訴えかけ、そして365日のうちの1日は食について真剣に考える機会をつくりたいと思っています。もちろん、楽しむことを忘れずに!

柴田:運営者の目線、参加者の目線、企業さんやNPOさんの目線で、それぞれが何かしらの"価値"を見つけられる。そしてその3者の共通の価値を見いだしていく。これまでに無かったイベントから生まれるものだから、必然的にそれは新しい価値になると思います。このイベントを通じて新しい価値を創りたいですね。そのような"共創"を目指しています。

スローガンは「食問題への理解と解決のためのフェスタ」。現実に起きていることを理解しないと何もアクションを起こせないし、問題解決まで考えられないと、現状は何も変わりません。

よく"BtoC"(企業から消費者へ)という言葉を聞きますよね。でもこの概念は、このイベントの企画書には入れませんでした。その代わりに提案しているのは"CtoB"(消費者から企業へ)です。消費者から企業に提案するくらいにならないと、日本は良くならないと思うのです。

そして最終的には"CtoBtoC"を目指したい。最後の"C"は"Country"、つまり"国"です。これの正反対の例は地デジで、国が地デジ放送を決め、それに従って企業が地デジ対応テレビを作り、消費者にそれを買わせる。そうではなく、消費者が企業を動かし、そして最終的に国が動く。消費者が声を上げ、企業がそれに応え、国全体がその動きに従わざるを得なくなる。いわば"革命"ですね。そのきっかけになれたらと思っています。




【関連リンク】

世界食料デーフェスティバル1st(2015年10月18日 開催)
・Facebookイベントページ:こちら

世界食料デー実行委員会
・Facebook:https://www.facebook.com/world.provision.ec
・Twitter:https://twitter.com/worldfooddayvo1

城宝薫さん
・テーブルクロス:http://tablecross.com/
・ボランチ(学生団体):http://www.volante-tsunagu.com/
・インタビュー on My Eyes Tokyo:こちら

柴田雄平さん
・onakasuita株式会社:http://onakasuita-food.jp/
・株式会社mannaka:http://mannaka-mk.jp/
・ケノコト:http://kenokoto.jp/
・インタビュー on another life: こちら

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