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民間図書館の存続危機を救ったクラウドファンディング

2014年03月09日 23時37分 JST | 更新 2014年05月09日 18時12分 JST

15日間で150万円の支援が欲しいという無茶なお願いに対し、多くの方のご協力のおかげで164万4千円もの支援をいただきました。閉鎖やむなしと諦めかけていた民間図書館を救った、クラウドファンディング「READYFOR?」での取組みについてお話させて頂けたらと思います。

■そもそも民間図書館って何?

僕が主宰する「情報ステーション」という団体は約10年前に千葉県船橋市で生まれたまちづくりをテーマとする団体です。地域情報を集めたWEBサイト運営やイベント開催などの事業からスタートし、2006年に地域の交流空間として誰もが気軽に集える場所を作ろうと、民間図書館事業を立ち上げました。

皆さんのご自宅にもあると思いますが、読み終わってずっと本棚に眠っているような本を寄贈いただき蔵書とします。その本を「何か役に立ちたい」「本が好き」といった気持ちをお持ちの方にボランティアとして参加して頂き、誰でも無料で利用できるように貸出します。こうした民設民営の公共図書館を現在までに25か所開設・運営してきました。

■存続の危機からクラウドファンディングまで

寄贈本やボランティアに支えられていますので公立図書館ほどではありませんが、継続運営にはそれなりのコストがかかります。我々の民間図書館は、商店街の空き店舗や老人ホーム、マンションなどの中にあり、それぞれ商店街振興組合、ホーム運営会社、管理組合などから運営費をいただき、必要な経費を捻出しております。つまり情報ステーションは、図書館を売っているのです。

しかし、全館での蔵書の共有や相互貸借など各館の機能を保つためには、書庫や事務所など図書館全体の中で、中核となる機能を擁する場所が必要となります。それらについては、空き物件を借り上げ、すべて自前で図書館を開設運営しますので多くの経費が掛かります。

昨年の夏までは、運営費を頂きながら続ける事ができる黒字の図書館と、すべて自前の赤字の図書館でちょうどバランスが取れ、収支が合っていたのですが、いくつかの図書館が残念ながら閉館する事になり全館を維持するのは難しい状況となりました。そこで最も赤字額の多い「船橋北口図書館」の閉鎖を検討し始めた時に、最後の悪あがきとして取り組んだのが「ネーミングライツの募集」と「クラウドファンディング」でした。

■ヤフオク!での民間図書館ネーミングライツ出品

年明け早々から対策を検討し、遅くとも2月末までには結論を出す、という方針のもと、最初に取り組んだのはヤフーオークションでのネーミングライツ出品でした。2月1日から実際に始めましたが、年間の家賃と光熱費などの固定経費を念頭に、150万円スタートで出品しました。

1週間で1600ものアクセスを頂き、地元紙でも取り上げられるなど多くの注目を頂きましたが、残念ながら入札はおろか問合せすら1件もなく終了しました。しかし、それを見て多くの方から応援やアドバイスを頂き始めたのがクラウドファンディング「READYFOR?」です。

■クラウドファンディングでの再チャレンジ

2月13日夜から28日までの15日間で、目標額は同様に150万円。WEBでお名前を紹介させて頂く権利付の1口1000円から、ヤフオク同様「船橋北口図書館」のネーミングライツの120万円まで8種類の引換券を用意しスタートしました。

日頃図書館をご利用いただいている方などが中心となって、ツイッターやfacebookで多くの方がPRをしてくれた事で小口の寄付だけで20万円ほどがあっという間に集まりました。中にはご自身のブログなどで丁寧に活動紹介と支援のお願いをしてくださる方も何名かおり、残り1週間ほどという所で30万円を超えたのです。

そこで我々は、120万円のネーミングライツとは別に100万円のネーミングライツを用意し、再度そのPRに努めました。すると最終日前日にとうとうネーミングライツを購入してくださる方が現れたのです。情報ステーションのメンバーが誰一人面識のない方でした。民間図書館は日々利用者の方と顔を合わせ直接対話できる双方向コミュニケーションの空間ですが、今回のクラウドファンディングでは、まだ見ぬ誰かに向けて僕らの活動や志を訴え続けるアウトプットが主で、それを受け共感して頂いた数%の方が返してくれる空間です。「日本中探せばきっと応援してくれる人はいるはず」「ともかく想いや活動を知ってもらいたい」そう信じ続けて取り組んでいましたので、支援の申し出があった時の感動はひとしおでした。

■目標額を達成したいま

100万円の支援のおかげで、総額が140万円ほどになり最終日を迎えました。あと少し、という事でさらに多くの方が支援をしてくださり、最終的には89名の方から164万4千円の支援をいただけることになりました。現在は運営会社が決済作業を行っており、手続きが済むのを待っている状態です。

今回の支援で図書館を存続させることはできますが、根本的な問題解決には至っておらず、約1年の猶予を貰ったに過ぎません。このチャンスを活かしこの先ずっと図書館を続けていく為に図書館でのミニ講演会「船橋みらい大学」という取り組みを始めました。今月だけで12回の講演があり、その参加費は図書館の維持運営費に充てられます。

こうした取り組みを増やしながら、地域の皆さまに愛される図書館として、継続的な運営ができる様に今まで以上に民間図書館事業の発展に取り組んでいきたいと思っています。

船橋市内に急増する民間図書館