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お医者さんからの領収書が当たり前になったのはなぜ?

2016年01月15日 00時28分 JST | 更新 2017年01月13日 19時12分 JST

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医療費不正請求をきっかけに

今回は、連合が長年取り組んできた「お医者さんにかかったら領収書をもらおう」運動について話します。

この運動が始まったのは1997年11月です。この年の9月に患者の自己負担割合が1割から2割に上がりました。その一方で、1995年度の医療機関による過剰請求(不正請求)が3222億円に上ったことが明らかになりました。医療費の不正請求とは、「自分はその月にお医者さんに行っていないのに、行ったことになっていた(架空請求)」とか、「実際は1回の検査だったのに、数回に分けて検査した(水増請求)」かのように診療報酬を請求することです。

そこで連合が始めたのが、お医者さん(医療機関)にかかったら、確実に、その都度、領収書をもらうという運動です。今は、病院の窓口で支払いをすると、こちらから言わなくても明細書の付いた領収書を無料で出してくれます。「金を払ったんだから、領収書をくれるのは当たり前」と思っている方も多いと思いますが、その頃は、それが当たり前ではなかったのです。

運動が実を結んで完全義務化へ

当時、私たちが払った保険料や窓口での支払いが不正に使われるのは許せないという率直な怒りから、運動は始まりました。まず、自分たちができることとして、お医者さんにかかったときには必ず領収書をもらう、そしてその領収書と医療費通知を照らし合わせようと、組合員に呼び掛けました。

病院の窓口では、露骨に嫌な顔をされ、「何に使うんですか」とか「500円かかります」と言われたりして、不愉快な思いをする人も多かったのです。そこで、「領収書をください」カードを作って組合員に配布し、窓口で保険証と一緒に出すというやり方を取るようにしました。写真は、私がずっと手帳に挟んで使っていたものです。

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診療報酬を決める中医協(中央社会保険医療協議会)の場でも、連合選出の委員が、「領収書発行を義務化すべし」という発言を何度も述べました。そうした努力が実を結んで、2006年から、徐々に領収書の無料発行や、明細書発行が義務付けられてきました。そして2015年の4月から、すべての病院と薬局での診療明細書の発行が完全義務化されました。19年目でようやく運動が実を結んだことになります。

よく、「医は仁術」といいます。医者は仁徳を施すという意味ですが、中には不届きな医者もいて、不正が見つかって姿をくらましたりします。こういう輩を「医は忍術」というのですね。

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2016年1月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。