痛みを標的とするデザイナーオピオイド

小分子であるPZM21は痛みの情動的要素を低減するようで、反射行動には検出できるほどの変化は引き起こさず、呼吸抑制もほとんど見られない。

ケシから採れるモルヒネなどのアルカロイドは、μオピオイド受容体のアゴニストで、何世紀にもわたって痛みの治療に使われてきた。

今回、計算科学の手法を使い、300万個以上の小分子についてμオピオイド受容体への結合状態が調べられた。そして、最も有望な構造群を選んで構造を基盤とする最適化を行い、強力なアゴニストであるPZM21が見つかった。PZM21はμオピオイド受容体に対して非常に高いサブタイプ選択性を示す。

PZM21はマウスで強力な鎮痛作用を発揮し、この作用はμオピオイド受容体ノックアウトマウスでは完全に失われる。小分子であるPZM21は痛みの情動的要素を低減するようで、反射行動には検出できるほどの変化は引き起こさず、呼吸抑制もほとんど見られない。

Nature537, 7619

2016年9月8日

doi:10.1038/nature19112

【関連記事】

新しい薬剤が狙い撃つ3つの熱帯病 Nature537, 7619 2016年9月8日

新薬開発につながる抗腫瘍標的 Nature535, 7611 2016年7月14日

明らかになった死細胞処分機構 Nature507, 7492 2014年3月20日

関節リウマチ薬の標的を探す Nature506, 7488 2014年2月20日

注目記事