150年ほど前に報告されたヘーリング・ブロイウェル反射は、肺を支配する感覚ニューロン(肺の伸展により活性化される)の働きによって肺の過剰な膨張を防いでいると考えられているが、実際の分子機構や細胞機構については分かっていない。
A Patapoutianたちは今回、機械感受性イオンチャネルPiezo2(これまで皮膚の触覚に関係するとされていた)を欠失した成体マウスでは、この反射が起こらないことを見いだした。意外なことに、Piezo2は出生時の最初の肺膨張にも必要であり、このことから機械的シグナルの伝達は、マウスでは新生仔でも成体でも呼吸調節に役割を果たしていることが明らかになった。
Nature541, 7636
2017年1月12日
原著論文:
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doi:10.1038/nature20793
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