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謎の恐竜デイノケイルスの全貌が明らかに

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長く謎に包まれていた恐竜デイノケイルスの全身骨格が発見され、巨大化と共に奇妙な特徴の数々を獲得した、極めて個性的な姿が明らかになった。

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Michael Skrepnick

1965年の夏、モンゴル南部のゴビ砂漠で、長さ2.4mもある巨大な恐竜の前肢の化石が発見された。この前肢の化石には3本指であったことを示す指骨やかぎ爪、肩帯などが含まれており、これらの特徴から新種の獣脚類恐竜であることが明らかになった。

前肢の長さが既知のどの二足歩行動物のものよりも長い(ただし翼竜などの飛翔動物の翼は除く)ことから、「尋常ではない恐ろしい手」を意味するデイノケイルス・ミリフィクス(Deinocheirus mirificus;Deinocheirusはギリシャ語で「恐ろしい手」、mirificusはラテン語で「尋常ではない」を意味する)と名付けられたが、前肢と肩帯の骨以外では肋骨や椎骨の小さな破片しか発見されておらず、その全体像は約半世紀にわたり謎に包まれていた。

今回、2006~2010年に行われた発掘調査で、北海道大学総合博物館の小林快次および韓国地質資源研究院(テジョン)のYuong-Nam Leeらの国際チームにより、新たにデイノケイルスの全身骨格が2体発見され、その詳細がNature 2014年11月13日号257ページで報告された(参考文献1)。

それによれば、デイノケイルスは、ティラノサウルスに匹敵する巨体を持ち、頭部は前後に細長く、背中にはスピノサウルスに似た帆があり、腹部が大きく突き出た、まるで複数の恐竜のパーツを組み合わせたかのような異様な姿をしていたという。

ほぼ完全な骨格

今回発見された化石標本2体は、共に今から約7000万年前のものとみられ、1体は2006年、もう1体は2009年に、いずれも1965年に最初の標本が発見された地点の近くで発掘された。この場所からは、それ以前にもデイノケイルスの頭骨と手足の化石が発掘されていたが、それは密輸目的で行われたものであり、盗掘されたこれらの化石は違法に売却され、個人のコレクションとなっていた。

幸い、この貴重な化石は後にモンゴルに返還され、調査の結果、2009年の標本と同一個体のものであることが判明した。この盗掘標本を含めると、発見されたデイノケイルスの標本は全骨格の約95%になるという。

約50年前の研究では、デイノケイルスは獣脚類オルニトミモサウルス類(Ornithomimosauria;「鳥に似た竜」の意味)に分類された。この系統群は、ティラノサウルスやアロサウルスなどのどう猛な肉食恐竜と比較的近縁にあるとされている。

ところが今回発見された骨格は、他のオルニトミモサウルス類のものとはいくつかの点で異なっていた。例えば、デイノケイルスの椎骨の大部分には長い突起(神経棘)が上向きに付いており、重い腹を支えるための靭帯がここに付着していたと推測される。研究チームは、デイノケイルスの体長を約11m、体重を約6.4tと見積もっているが、これは既知のオルニトミモサウルス類の中で最も大きい。

同号で今回の論文に関するNews & Views(参考文献2)を執筆したメリーランド大学(米国カレッジパーク)の古脊椎動物学者Thomas Holtz, Jr.は、「他の一般的なオルニトミモサウルス類に比べ、腹部が非常に大きく膨らんだ、実に異様な恐竜だったと考えられます」と言う。

くちばしとたくましい足腰

長さ1mに及ぶデイノケイルスの頭骨には歯は生えておらず、水平に広がった上下の顎の形状と表面の凹凸は、この恐竜が代わりに角質のくちばしを持っていたことを示している。また、深い下顎には巨大な舌があったようだ。その腹部からは、大量の胃石と共に魚の背骨やうろこが発見されており、この恐竜が植物だけでなく相当量の魚類も食べていたことが示唆される。

デイノケイルスの骨盤は幅広で、後肢は太くて比較的短く、3本の趾骨(末節骨)はいずれも太い。末節骨は平らで先端が丸くなっているが、これは他の獣脚類にはない特徴だ。研究チームによると、これらは不安定な湿地帯をゆっくり歩くのに適した特徴だという。オルニトミモサウルス類最大のこの恐竜は、その奇妙な外見もさることながら、走行性を捨てて巨大化を成し遂げた、実に興味深い種といえる。

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150102

原文: Nature (2014-10-22) | doi: 10.1038/nature.2014.16203 | Fossils reveal 'beer-bellied' dinosaur

Sid Perkins

参考文献:
  1. Lee, Y.-N. et al. Nature http://dx.doi.org/10.1038/nature13784 (2014).
  2. Holtz, T. Jr. Nature http://dx.doi.org/10.1038/nature13930 (2014).

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