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小胞体ファジー受容体の存在場所

2015年06月20日 15時44分 JST | 更新 2016年06月19日 18時12分 JST

小胞体は膜で作られた複雑なネットワーク構造で、タンパク質や脂質の合成、イオン恒常性、タンパク質の品質管理、細胞小器官の間での情報伝達に関わっている。小胞体はまた、オートファゴソームと呼ばれる膜で囲まれた小胞の供給源でもあり、この小胞はオートファジーという細胞の自己消化過程で輸送媒体として使われている。

今回、小胞体自体がオートファジーによる分解の標的となる仕組み、つまり細胞での必要性に応じて小胞体の定常的な代謝回転を確保する過程が、2つの研究によって明らかにされた。I Dikicたちは、FAM134Bタンパク質が小胞体に常在する受容体であって、「小胞体ファジー」を促進していることを見いだした。

ヒトではこのタンパク質に変異が生じると感覚神経障害が起こることがあるが、マウスでこのタンパク質の発現を低下させると、小胞体構造の拡大と感覚神経の変性が起こる。

一方、中戸川仁(東京工業大学)たちは同じような現象が酵母でも保存されていることを明らかにした。酵母では、小胞体ファジー受容体であるAtg40が細胞膜近傍および細胞質に存在する小胞体に選択的に集積していて、小胞体のこのような領域をオートファゴソーム中に送り込んでいる。また、もう1つの受容体Atg39は核辺縁にある小胞体(つまり核膜)に局在し、核の一部をオートファジーのために取りのける過程を誘導して、窒素欠乏条件下での細胞の生存確保に関わっていることが分かった。

Nature 522, 7556

2015年6月18日

原著論文: 

Receptor-mediated selective autophagy degrades the endoplasmic reticulum and the nucleus

Regulation of endoplasmic reticulum turnover by selective autophagy

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