近い将来に新たな氷期が訪れることはなさそうだ

北半球の日射パターンが、他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていた近年に、地球が氷期に入らなかったのはなぜなのだろうか。

数十年にわたる研究にもかかわらず、氷期を開始させる条件はまだよく分かっていない。

例えば、北半球の日射パターンが、他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていた近年に、地球が氷期に入らなかったのはなぜなのだろうか。

今回、氷床コアの証拠から絞り込まれた中程度に複雑な気候モデルを用いて、任意の大気中CO濃度について氷期のきっかけとなるのに必要な日射量が定量化された。その結果、例えば、後期完新世のような高いCO濃度の条件で氷期に入るには、日射量が異常なほど小さなレベルにまで落ち込む必要があることが分かった。

また、ヒトが気候システムに擾乱を及ぼさない場合には、現在の間氷期は今後数万年持続すると思われることがシミュレーションから示唆されている。

ヒトは炭素を排出しているため、新たな氷期に入る可能性は今後10万年にわたってほとんどないと思われる。

Nature529, 7585

2016年1月14日

原著論文:

doi:10.1038/nature16494

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