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鉄触媒を用いた水の酸化

2016年03月18日 14時57分 JST | 更新 2017年03月17日 18時12分 JST

水の酸化は、植物の光合成経路における最初のタンパク質複合体である光化学系II中の酸素発生錯体によって効率よく触媒される。

しかし、太陽光や電気によって合成化学的燃料を生産する場合、水の酸化段階が大きな障害となり続けており、水の酸化触媒の設計に努力が注がれるようになった。今回、岡村将也(分子科学研究所ほか)たちは、鉄原子を5つ持つ錯体が、効率と安定性に優れた水の酸化触媒となることを示している。

この触媒の設計には、電荷蓄積と電子移動を可能にする電子柔軟性の存在と、分子内O-O形成を可能にする隣接活性部位の存在という2つの重要な特徴がある。鉄は地殻中に最も多く存在する遷移金属であり、安価で入手しやすいので、鉄を使用することが重要である。

この戦略をさらに発展させて適用することで、実用的で効率の良い水の酸化触媒が得られる可能性がある。

Nature530, 7591

2016年2月25日

原著論文:

A pentanuclear iron catalyst designed for water oxidation

doi:10.1038/nature16529

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