グラフ理論が切り開くナノスケールの3Dプリンティングへの道

DNAを組み立てる方法は、DNA固有の特性に起因する制約によって大きく制限される。このため、DNA折り紙のような方法で複雑なDNA構造体を実現しようとする場合、かなりの部分を手作業で調節する必要がある。

DNAを組み立てる方法は、DNA固有の特性に起因する制約によって大きく制限される。このため、DNA折り紙のような方法で複雑なDNA構造体を実現しようとする場合、かなりの部分を手作業で調節する必要がある。

今回E Bensonたちは、既存の手法では非常に実現しにくかったと思われる複雑なDNA構造体の設計と作製を可能にする一般的な方法を提示している。この方法では、高度に折りたたまれたらせん鎖の束ではなく1本のらせん鎖を構成要素として用いている。得られたナノ構造体は、バイオアッセイに用いる一般的な条件下で、従来のDNA折り紙よりも安定である。また、設計過程全体の高度な自動化が容易であるため、実用的なナノスケール3Dプリティングの可能性に一歩近づいた。

設計したDNAナノ構造体モデルを、サイズを大きくしてプリントしたもの(左からウサギ形、ボール形、らせん形)。

Credit: Erik Benson and Björn Högberg

Nature 523, 7561

2015年7月23日

原著論文:

doi:10.1038/nature14586

【関連記事】

DNAの動的構造を可視化 Nature 519, 7543 2015年3月19日

DNA損傷とスプライシング調節の連繋 Nature 523, 7558 2015年67月2日

注目記事