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外傷性脳損傷でのシス型リン酸化タウによるタウオパチー

2015年07月27日 22時57分 JST | 更新 2016年07月23日 18時12分 JST

外傷性脳損傷(TBI)は接触型スポーツの選手や軍人に多く見られ、その諸症状は急性神経機能障害に関連している。また、TBIはアルツハイマー病の主要なリスク因子の1つでもある。脳内のリン酸化タウタンパク質(P-tau)の蓄積を主病変とするタウオパチーは、慢性外傷性脳症やアルツハイマー病に関連する神経変性の明確な特徴であるが、TBI後の早期段階には観察されていない。

今回、K Luたちは、シス型リン酸化タウ(cis P-tau)によって引き起こされるタウオパチーが、TBIの患者やマウスモデルの脳損傷の早期ドライバーであり、トランス型リン酸化タウにはその働きがないことを示した。TBIマウスにシス型リン酸化タウに対する抗体を投与すると、シス型リン酸化タウの早期産生が阻止され、その後のタウオパチーの進展や拡散が防止されることから、この種の抗体の開発が進めば脳損傷後のTBIの治療につながるかもしれない。

Nature 523, 7561

2015年7月23日

原著論文:

Antibody against early driver of neurodegeneration cis P-tau blocks brain injury and tauopathy

doi:10.1038/nature14658

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