個別化がんワクチンの臨床試験

結果は、個別化ワクチンは改良と調整が可能であり、がん免疫療法として臨床的な利益をもたらし得ることを示唆している。

ネオアンチゲンは、抗腫瘍ワクチンの最適な標的だと長い間考えられており、最近のコード領域の変異解読技術および予測技術は、それらの発見や選択の効率化を目的としてきた。今週号には、がん患者での個別化ネオアンチゲンワクチンの臨床試験に基づく結果を示した2本の論文が掲載されている。

C Wuたちは、20種類に及ぶ患者ネオアンチゲンを標的とした、個別化がんワクチンの第I相試験の結果を報告している。このワクチンは安全であり、腫瘍抗原特異的な免疫応答を誘導することが示された。6人の患者のうち4人は25か月間にわたり再発を起こさず、プログレッションの起きた患者は、チェックポイント阻害剤による追加治療に応答した。

一方U Sahinたちは、黒色腫患者を対象に行った個別化ネオアンチゲンワクチンのヒトでの初めての試験について報告している。彼らのワクチン接種戦略は、患者由来のネオアンチゲンの配列決定と計算による特定、および治療のためのポリアンチゲンRNAワクチンの設計と製造からなる。13人の患者で、このワクチンは個々の患者由来の選択した腫瘍抗原のいくつかに対する免疫を増強し、また2人の患者では腫瘍反応性T細胞の浸潤が見られた。

これらの結果は、個別化ワクチンは改良と調整が可能であり、がん免疫療法として臨床的な利益をもたらし得ることを示唆している。

Nature547, 7662

2017年7月13日

原著論文:

doi:10.1038/nature22991

doi:10.1038/nature23003

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