なんかおかしい......。防犯カメラの映像から"異変"を察して教えてくれる「群衆行動解析技術」

2015年11月10日 00時02分 JST | 更新 2015年11月10日 00時19分 JST

駅や街中に設置されている防犯カメラシステム。犯罪やいたずらを抑止するため、防犯カメラの設置数は、どんどん増え続けている。同時に、防犯カメラに映る光景を監視するスタッフの負担も大きくなる一方だという。

そんな中、NECの「群衆行動解析技術」が、この悩みを減らしてくれそうだ。

群衆を"かたまり"で解析する技術


「群衆行動解析技術」は、防犯カメラなどで撮られた群衆映像から、混雑状況を解析し、異変を察知して知らせる技術。人がたくさん行き交う"群衆"を"かたまり"としてまとめて解析することで人数を推定し、混雑状況が把握できる。これなら混雑していても解析でき、"かたまり"であれば個人を見ないため、プライバシーにも配慮できるというわけだ。

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人数の推定には、複数人が重なった"かたまり"の画像をあらかじめ数十万枚用意し、似ている画像を判断する。例えば、「このかたまりは5人の群衆画像に似ているから5人だろう」「このかたまりは3人の群衆画像に似ているから3人だろう」と推定していき、全体の混雑状況が把握できるのだ。

従来の技術では、「人がいない」「人がいるが混んでいない」「混んでいる」といった大雑把な分け方しかできなかったが、NECが開発した「群衆行動解析技術」では人数の推定が可能。混雑時での人数推定の誤差は1割程度に留まるため、細かい混み具合の違いを識別できるのだ。

なんかおかしい......。「異変」を検知する人の密度


人数の推定をリアルタイムに把握することで、察知できるのは群衆の"異変"だ。

たとえば、駅などの混雑した場所で人が倒れたとき、倒れた人物がカメラの映像から見えなくなってしまう。一方で、行き交う人々が立ち止まったり、取り囲んだりといった変化が起きる。

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人の流れが止まったり、人が集まったりすると、群衆密度の変化を検知して「なにか異変が起きている」と自動判断される。そのため監視員は、常に映像を監視していなくても、この"異変"が通知されて、すぐに現場へ駆けつけることができる。

このほか、たとえばナイフを持った男が空港で暴れ出して、周りにいる人々が一斉に逃げ出した、といった場合にも「集団で逃げる行動」として"異変"を検知する。その後、速やかにアラートを発信すれば、すぐさま警備員や警察官が駆けつけることができる。

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異変を判断する密度の「しきい値」は、場所や用途によって設定を変えることが可能。駅の通路など、あまり人が止まらない場所では、人の流れが少しでも止まると「おかしい」と判断し、人が集まる広場などでは、長く止まっていても異変を検知しないようにすることもできる。

ビッグデータとして混雑や危険の「予測」も


群衆行動解析技術で取得した大量のデータをもとに、混雑予測も可能になるという。たとえば、金曜日の夕方に大きなイベントがあると、この駅はここの改札やバス停がすごく混む、といった予測ができる。それにより、案内係や警備員の配置などがスムーズに行え、事前に混雑の緩和に努めることができるのだ。

東日本大震災を教訓に。東京都豊島区での導入事例


東京都豊島区では、この技術を使ったNECの「総合防災システム」をいち早く導入した。きっかけは2011年の東日本大震災における、池袋駅等の帰宅困難者対策が、課題として浮き彫りになったこと。防災カメラの映像から異常混雑や集団の滞留状況をリアルタイムに解析、自動アラート通知することで、帰宅困難者対策などの意思決定を迅速に行えるようになった。群衆行動解析技術は、犯罪や災害から私たちの暮らしの安全を守るための、大きな役割を担っていく技術といえるだろう。