24時間365日ネットユーザーと向き合う ヤフーのパトロール専門部隊、その舞台裏

ヤフーには各サービスに投稿された内容をパトロールする専門部隊がいます。担当スタッフがその舞台裏を語ります。

ヤフーには、Yahoo!ニュースのコメント機能をはじめ、各サービスに投稿された内容をパトロールする専門部隊がいます。スタッフは1日4交代制のシフトを組んでおり、24時間365日対応しています。

Yahoo!ニュースのコメント機能では6月以降、目視やシステムによって、複数アカウントからの投稿マルチポストへの対策を強化し、従来に比べ、複数アカウントによる投稿の非表示数は約7倍に、マルチポストの削除数は約5倍になりました。(関連記事:「ネットのコメント欄に変化 規制を強化、マナーも求める」7月31日、朝日新聞)

その対策の最前線にいるのも、今回ご紹介するパトロール専門部隊です。一体どんな風に働き、どんなところに難しさややりがいを感じているのでしょうか。担当者の男性スタッフに聞きました。

(イメージ:アフロ)

ネットユーザーの行動の一歩先を想像

――パトロールはどんなお仕事なんでしょうか

投稿された内容を、ガイドラインと照らしあわせて適切か否かを判断し、違反があれば削除や非表示などの対処をします。ユーザーのYahoo! JAPANへの信頼が崩れてしまわないよう、サービスごとにガイドラインを作成し、判断の統一を図っています。

(※Yahoo!ニュースのコメント機能のガイドラインに関するページ。「プライバシーの侵害にあたるコメント」など禁止事項を示している。)

――パトロール対象のサービスは

私の部署では、Yahoo!ニュースのコメント欄のほか、ヤフーのコマース系のサービスを複数担当しています。

――Yahoo!ニュース トピックスの編集部は24時間365日のシフト勤務ですが、皆さんも同じような勤務体系だそうですね。

そうです。24時間365日対応でシフトを組んでいて、複数のサービスを偏りなく担当します。自殺予告や犯罪予告が書き込まれた場合は関係部署や警察に連絡するなどの対処もパトロールの業務の一環です。

――パトロール業務を数年前から担当しているそうですね。最初はどんなところに苦労されましたか

私はもともとインターネットが大好きなのであまり苦労はなかったのですが、"ネットの文脈"を知らずにパトロール業務に就くと大変かもしれません。例えば、ゲームの海賊版に関する話題が投稿されたとして、ユーザーが使う専門用語や隠語が分からなければ、違法性が高い内容であっても気づけません。

――なるほど。"文脈"を知っているとパトロールに役立つことがあるんですね

そうです。幅広い興味や知識があれば、なぜその話題がインターネットで盛り上がっているかが分かります。

(イメージ:アフロ)

――パトロール業務の「スキル」を磨く上で気をつけているポイントはありますか

迅速な対応ができたかどうか、ガイドラインに従って正確に対応できたかどうかがポイントでしょうか。差別や誹謗中傷などの「不快な書き込み」ひとつをとっても、男性と女性で受け止め方が違ったり、年代によっても違ったりするかもしれません。スタッフによってガイドラインが異なるとサービスのクオリティを下げてしまうので気を使っています。

――とはいえ常に適切に判断し続けるのは難しいのでは。人がやるからにはその時の気分などに左右されてしまいそうです

私はパトロール業務では冷静に判断することを意識しています。書き込みに対する自分自身の感想と、サービスのガイドラインを切り分けて。なんといえば良いか......難しいのですが。自分の思いをひきずらないよう心がけています。

――パトロール業務でやりがいを感じるのはどんなときでしょうか

大きな時事ネタが起きたときでしょうか。そういうときはいろんなサービスに影響があるんです。Yahoo!リアルタイム検索が盛り上がるし、Yahoo!ニュースのコメント欄やYahoo!知恵袋の投稿も増える。そうした一連の流れを想像しながら、パトロールにあたります。

――ネットユーザーの行動の一歩先を読むということでしょうか

そうです。そのために普段から情報収集は欠かしません。新聞を毎日読んでから出社しますし、まとめサイトも良く見ています。Yahoo!リアルタイム検索の「話題なう」のキーワードに自分が知らない単語が入っていたら、調べたり。パトロールの過去事例を踏まえた研修も適宜行っています。

――Yahoo!ニュースのコメント欄ではマルチポストをより機械的に自動で検知する仕組みを導入するなど対策を強化していますが、人の目でパトロールする意義は

機械的にではなく、人の目で見ないと分からないことがやっぱりあります。日本語ってすごく難しい。同じ書き方でも人によって受け取り方が違います。人の目で見つつ、今後は社内のデータサイエンスの人たちと連携して機械にフィードバックしていくことも検討したい。いろんな手法が必要だと思っています。

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