京都の中心が動く。外国人が京都を動かす。

京都のインバウンドの中心地は、むしろ洛外にある。

日本において地域活性化は大きなテーマになっている。活性化のキーワードとして3つ「若者、馬鹿者、よそ者」をよく聞く言葉である。そしておそらくこのキーワード3つとも網羅できている存在は「外国人」である。

そんな中、「地域活性化に外国人の視点を」というテーマでの講演依頼を受けた。それを機に、外国人によって実際に活性化された日本の地域などについて少し調べた。他にもあるが、中でも京都で今起きている現象が興味深い。

京都。1200年の都。今でもこの街はこの国の都だと考えている人は少なくない。天皇陛下が京都にお越しになられている時などは、「天皇陛下が帰って来てはる」という人が実に多い。天皇位を象徴する高御座は京都御所にあることなども背景にあるだろうか、特に年配の中では、天皇陛下はあくまでも東京の副都市に行幸中であり、いずれ還幸されると言うのはいわば常識のようなものである。

そんな京都の中心は言わずして御所である。御所中心にして街ができている。都があった土地ならではであるが、この街には洛中と洛外という区分がある。もうほとんど風化してもおかしくないが、でも実際には現在も歴史の延長線にある。土地の値段などにもこのことが現れている。やはり御所の周りの上京区や中京区などは土地が高い。逆にいうと、御所から離れるに従って、土地の値段も徐々に下がっていく。

そんな京都の中心が変わってきている。最近、「Center of Kyoto(センター・オフ・京都)という言葉を見かけることがある。京都でインバウンドの中で使われている言葉だが、そこに登場する京都の中心はむしろ御所ではない。京都のインバウンドの中心地は、むしろ洛外にある。

外国人が京都にやってくる時は、必ずと言っていいほど京都駅(下京区)を利用する。交通の便から考えると京都駅は外せない。しかも最近、京都駅そのものが観光スポットとして人気ができている。2017年のトリップアドバイザーのランキングで京都駅は全国で29位、京都の中では6位に選ばれた。次に来るのはトリップアドバイザーのランキングでの4年連続日本1番に選ばれている伏見稲荷(伏見区)である。その次に来るのは全国のランキングで6位、京都で2位次にランキンクインする清水寺(東山区)である。

実は、京都インバウンドの人気エリア、つまりcenter of Kyoto(京都の中心)は、この3者を結んだ三角を指すことが多い。京都駅を中心に、伏見稲荷、そして清水寺をはじめてする東山祇園エリアが飛び抜けて人気がある。

実は、これらは全て洛外に位置していることになる。さらに言うと、トリップアドバイザーの上位30位内に入っている京都の観光スポット7箇所、つまりインバウンドの主な資源は、長年京都人が考えている京都の中心から離れ、全て洛外に立地している。

伏見稲荷(伏見区)京都1位 /全国1位、清水寺(東山区)京都2位 /全国6位、金閣寺(北区)京都3位/全国8位、永観堂(左京区)京都4位 /全国12位、サムライ剣舞シアター(東山区)京都5位 /全国15位、京都駅ビル(下京区)京都6位 / 全国29位、三十三間堂(東山区)京都7位 / 全国30位

繰り返しになるが、京都の中心は、京都駅(下京区)、伏見稲荷(伏見区)と清水寺(東山区)の三角を中心とした一帯に移動している。この新しい京都の中心地での経済活動が目立って盛んになっている。それを証明したのは、土地代の上昇である。京都市は商業地の土地の上昇率は政令指定都市の中で全国1位となった。

外国人観光客に一番人気の伏見稲荷大社(伏見区)近くの地点が29.6%上昇し、上昇率では全国1位となった。次に東山区が27.3%上昇、下京区25.3%上昇と昨年に引き続き大幅な上昇が目立った。

京都にとって長年の洛内外の地域格差が大きな問題だった。外国人は、1200年続く京都の格差だけではなく、この街の中心ごと変えているようである。京都で今起きていることは、地域活性化にとって外国人が大きな原動力になることを示す何よりの証である。

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