9割の京都人も知らない京都 --- 祇園祭の秘密

国内外に京都ファンが多い。祇園祭にまつわる穴場を紹介したい。

お神輿三基が鎮座する八坂神社の御旅所(筆者撮影)

7月の京都。

7月1日に吉符入りから始まり、31日の疫神社夏越祭まで、1ヶ月間かけてほぼ毎日のように京都で祇園祭の行事が行われる。

それまでシーズンとオフシーズンは比較的わかりやすかった京都も、インバウンドがその凹凸を和らげた感ある。だけど、この街はやはり、桜の季節と、紅葉の季節、祇園祭の時期は特に混む。

2014年から後祭(あとまつり)が復活し、祇園祭の見物客を分散させたと言っても、それでも今年(2017年)の前祭(さきまつり)の宵々山(7月15日)と宵山(7月16日)のホテル予約率も99%だった。

見物客は京都府警によると、宵々山で23万人、宵山で32万人、山鉾巡行は昨年より3万人多い22万人であった。1週間後に控えている、後祭の宵々山、宵山と巡行(21~23日)期間も前祭ほどではないにしてもこちらもやはり混む。

国内外に京都ファンが多い。誰もが、京都には行きたいが、人混みは嫌との矛盾に常に苛まれている。そして誰もが、京都は人が多くない穴場はないか知りたがる。もちろんありはしないのである。

しかし、なくもないなとも思う。祇園祭にまつわる穴場を紹介したい。

17日に前祭の山鉾巡行が終わると八坂神社から3基の神輿が御出ましになり、神輿会によって街を練り歩き、四条寺町の南側の八坂神社の御旅所に収められる。神輿は1週間こちらに鎮座する。

3基の神輿と奉祀する神様は次の通りである。

お神輿三基が鎮座する八坂神社の御旅所(筆者撮影)

●西御座神輿

「素盞嗚尊櫛稲田姫命の御子神、八桂御子神を奉祀している(屋根に鳳凰をいただく八角の神輿が特徴である。)錦神輿会が奉仕する。

●中御座神輿

「主祭神である素盞嗚尊が奉祀する(屋根に鳳凰をいただく六角形神輿が特徴である。)三若神輿会が奉仕する。

●東御座神輿

「素盞嗚尊の御妃神、櫛稲田姫命を奉祀している(屋根に擬宝珠をいただく四角形の神輿が特徴である。)四若神輿会が奉仕する。

3基の神輿が御旅所に鎮座している1週間は、24時間体制で宮司が滞在し、神様のお世話をする。夜は人もまばらで、朝方に関しては、人は皆無である。

実は、花街の芸妓や舞妓を中心に密かに行われていることがある。人が寝静まる中、こちらの御旅所にお参りをするのである。決まり事が一つあり、それは無言でお参りすること、つまり無言参りである。置屋と御旅所の間は無言に往復し、その間、願い事に集中する。

これを一回でも良いのだが、1週間欠かさず続けると願い事が成就すると言われる。

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