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ポスト"訪日客2000万人"時代-「爆買い」後のインバウンド・インフラ整備を!:研究員の眼

2016年02月03日 23時22分 JST | 更新 2017年02月02日 19時12分 JST

1月19日の観光庁の発表資料によると、2015年の訪日外国人旅行者は前年比47.1%増加し、過去最高の1,973万7千人に上った。

政府は2020年に2千万人を目標に掲げていたが、2013年に初めて1千万人を突破してからわずか2年で"訪日客2000万人"時代を迎えたのである。

その要因としては、ビザ発給要件の緩和、円安、LCC路線やクルーズ船の増加、免税店の拡大などがある。国・地域別では、中国からの旅行者が499万人(25.3%)と最も多く、次いで韓国400万人(20.3%)、台湾368万人(18.6%)で、これら東アジアの3つの国・地域で全体の3分の2近くを占めている。

同時に公表された「訪日外国人消費動向調査」によると、2015年の訪日外国人旅行消費額は3兆4,771億円と前年比71.5%の増加だ。1人当たり消費額をみても、17.6万円と前年比16.5%増である。

国・地域別では、中国が1兆4,174億円と全体の40.8%を占め、1人当たり旅行消費額も28.4万円と平均の1.6倍だ。

費目別の消費額をみると、中国人旅行者による買物代は8,089億円と全体の買物代1兆4,539億円の55.6%を占めており、中国人客の「爆買い」の実態が見て取れる。

現在のインバウンド旋風は、中国をはじめとする東アジアからの訪日客の旺盛な消費に支えられており、デパートやホテルは順調に売上げを伸ばしている。東京の大型都市ホテルや家電・衣料量販店は外国人客で溢れ、接客する従業員も外国人が目立つ。

先日、私は銀座の老舗デパートの案内所に立ち寄ったが、日本人より中国人スタッフの方が多いことに改めて驚いた。しかし、中国経済にかげりが見え始めた今、中国人客の「爆買い」はいつまで続くだろう。

インバウンド旋風を拡大するにはどうすればよいのか。訪日客が増えている一因は、リピーターが6割以上(平成27年10-12月期)と多いことだ。

さらに日本の魅力を求めるリピーターには、単に家電製品や衣料品を売るだけでは満足してもらえない。東京や京都・大阪などの大都市に加え、地方の中小都市や農漁村の魅力を伝えるなど、様々な日本の観光資源と日本文化を紹介することが重要だ。

そのため国内各地の広範な無料Wi-Fi環境の整備や道路標識・サイン・観光案内・食事メニューなどの多言語化、多様な宿泊施設の整備、免税店と外貨両替機の拡充などのインフラ整備が必要である。

日本が本格的な人口減少時代に成長の活路を見出すためには、インバウンド旋風を一過性に終わらせることなく全国各地に拡大しなければならない。

2020年の東京五輪・パラリンピック開催を弾みに、ポスト"訪日客2000万人"時代を見据えた「爆買い」後のインバウンド・インフラの整備が求められる。

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(2016年2月2日「研究員の眼」より転載)

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社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄