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自動運転の普及と駐車場:研究員の眼

2016年12月31日 00時13分 JST

-完全自動運転が普及した社会を想像する。その2

今回も想像力を膨らませて、完全自動運転が普及した社会のまちづくりについて考えたい。

前回:自動運転の普及と津波避難対策-完全自動運転が普及した社会を想像する。その1

完全自動運転が普及した社会では、需要に応じて最適な台数のクルマが常に走行している。利用者を乗せて目的地へ到着し降車したらすぐに次の利用者のもとへと駆けつける。

そのため路上や駐車場に長時間停車するクルマを見かけることはなくなる。ということは、駐車場がいらなくなることを意味する。

例えば現在では、母へのプレゼントを購入したいと思って自家用車でショッピングセンターに行くと、まずはショッピングセンターの駐車場に自家用車を止める。プレゼントを購入したら駐車場から自家用車を出して帰宅する。

当たり前だが買い物をしている間、自家用車は駐車場にとどまり続ける。

しかし、誰もが完全自動運転のクルマでショッピングセンターに来るようになれば、駐車場はいらない。買い物が終われば、別のクルマがショッピングセンターの車寄せまで来て自宅まで乗せていってくれる。

したがって、ショッピングセンター側で駐車場を用意する必要がない。

ショッピングセンターは、駐車場が必要なくなった分のコストを削減できるばかりか、売り場面積を広げることも可能になる。

集客施設に限らないが、全国の法人が所有する駐車場の敷地面積は約196㎢(*1)あり、これは東京ドーム約4,180個分である。

もちろん移送サービスを提供するためのクルマの待機場所やメンテナンスするドックのような場所は別に必要であろうから、全てが売り場などに取って代わることはないと思う。

ただ、少なくとも個々の集客施設がそれぞれにドックを用意する必要はないと思われる。

現在大型の集客施設には、床面積に応じた台数の駐車施設の附置が義務付けられているが、こうした制度も必要なくなる。

ならば、その全てを売り場にするのではなく、一部を公共に貢献するアメニティ空間へと誘導し、立地エリア全体の価値を高めることに活用することも考えられるのではないか。

営業時間中は自動車が埋め尽くし、営業時間を過ぎると何もない空間が現れる駐車場は、どうしても必要ではあるが、それ以上ありがたみのある空間ではなかった。それを変える可能性があるのである。

(*1) 「平成25年法人土地・建物基本調査 確報集計」国土交通省より

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(2016年12月26日「研究員の眼」より転載)

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株式会社ニッセイ基礎研究所

社会研究部 准主任研究員

塩澤 誠一郎