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「父親・母親の年齢」と出生率 脱少子化へ・都道府県別データが示す両者の関係性:研究員の眼

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はじめに

2015年10月に発足した現政権によって発表された「一億総活躍社会」宣言。急速に進行する少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持することを目標としている。

具体的には、同時に発表したアベノミクスの新しい「3本の矢」である、経済成長、子育て支援、安定した社会保障の実現を目指している。

この中の「子育て支援」では、2014年現在1.42である合計特殊出生率(以下、出生率)を1.8まで回復することを目標としている。

昨年発表した「第一子出産年齢上昇はそんなに問題なのか? - データでみる少子化との関係性 -」において、筆者はOECD諸国の各国の出生率と「母親の第一子出産年齢」との間には強い関係性があるというデータ分析の結果を示した。

それでは、日本国内だけでは一体どうなのか。

今回は、最新の2014年厚生労働省「人口動態統計」の都道府県別調査結果を用いて、日本における母親のみならず、父親の出産時年齢と出生率の関係性について考察する。


日本における第一子出産時の父親の年齢と出生率

図表1は、各都道府県における夫婦の最初の子どもが産まれたときの父親の平均年齢とその都道府県の出生率の相関関係を分析した結果の相関図である。

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右下がりの非常に綺麗な強い「負の相関」関係が示されている。

2つのデータの相関係数は実に-0.74であり、この-0.74という数値は、2つのデータが「強い負の相関をもっている」(強くマイナスに影響しあっている)ことを示している。

つまり分析結果からは、日本における第一子出産時の「父親の年齢」と「出生率」は強いマイナスの関係をもっていることがわかり、それは「日本においては、お父さんの年齢が上がると出生率が下がる可能性が非常に高くなる」ということを示している。


日本における第一子出産時の母親の年齢と出生率

次に各都道府県における第一子出産時の母親の年齢とその都道府県の出生率の相関分析を行った結果が図表2である。父親と同じく非常に綺麗な負の強い相関関係が見て取れる。

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相関係数はこちらも高く-0.71であった。

つまり、こちらも「日本においては、お母さんの年齢が上がるほど出生率が下がる可能性が非常に高くなる」という結果である。


若いカップルを増やす取り組みへの示唆

図表1と図表2は、日本においては「お父さんもお母さんも若い方が、出生率が高くなる」可能性がとても高いことを示している。

ちなみに年々、歳の差カップルが減少し、夫婦の年齢差が縮小し続けている(図表3)。2014年の調査では、初婚夫婦の年齢差の平均は1.7歳であった。

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別の民間調査でも、男女とも4歳くらいまでの歳の近いパートナーを希望する傾向が強まっており、この流れが変わらないという前提をおく限りにおいては、「日本に若いカップルを増やす」ことが出生率上昇への強いアクセルになる、という示唆を都道府県別データは明らかにしていることになる。

出生率の変動には様々な変数(要因)が関与してはいる。

しかし、出産時の父親・母親の年齢と出生率との強い相関関係から、他の要因をうごかすことで結果的に出生時の父母の年齢を下げることができるならば、効果的な出生率の上昇が望めることはデータから明らかである。

例えば、結婚にはお金が不足している、「まだ結婚には早い」という前提から来る企業の人材育成・労務管理コースがある、保育場所がない、未婚者が増えている、など、いろいろな出生率低下の要因は考えられるが、どれにてこ入れをかけるとしても、結果として父親・母親の年齢が若くなる方向につなげると、出生率上昇への効果は大きくなるということがわかる。

何よりも、若いカップル候補生をとりまく社会全体が「まだまだ結婚には早い年齢だ」などという全くデータに基づかない「結婚には時期尚早という思い込み」をまずは捨てることが大切であろう。

なぜなら、社会全体を覆う思い込みの修正こそ、あらゆる社会システムを変える原動力となるだろうからである。

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第一子出産年齢上昇はそんなに問題なのか? - データでみる少子化との関係性 -

(2016年5月9日「研究員の眼」より転載)
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