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「子どもの幸福度」を考える-少子化対策には、「子どもが幸せ」になる政策が不可欠(土堤内昭雄)

2014年01月11日 02時28分 JST | 更新 2014年03月11日 18時12分 JST

国連児童基金(ユニセフ)が発行する報告書『先進国における子どもの幸福度』(Innocenti Report Card 11)では、これまで日本は多くの指標に関するデータが欠落していたため調査対象ではなかった。しかし、昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所は、オリジナル版の枠組みをできる限り維持しながら日本のデータが入手可能な指標のみを使い、先進国と日本を比較した「特別編集版*1」を公表した。

それによると『子どもの幸福度』を、「物質的豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活上のリスク」「住居と環境」の5分野で測定した結果、日本は31か国中、それぞれ21位、16位、1位、1位、10位、総合では6位となり、日本の『子どもの幸福度』はトップクラスに位置づけられるとしている。また、同報告書はトップクラスのフィンランド、アイスランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデンは、各分野の順位にあまりばらつきがない一方、日本はばらつきが大きいことが特徴だと指摘している。

日本の順位が21位と低迷する「物質的豊かさ」は、「相対的貧困率*2」「貧困ギャップ*3」「剥奪率*4」によって算定されている。日本は相対的貧困率が14.9%(22位)と貧困状態にある子どもの割合が高く、かつ貧困ギャップが31.1%(26位)と貧困の程度も深刻であると分析している。また、剥奪率は7.8%(18位)で、子どもにとって必要と思われる物が欠如した子どもの割合が高いことを示している。

日本社会は成熟し、物質的に豊かになり、もう欲しいものは何もないと感じられる昨今、この結果はやや意外に思われる。しかし、近年では非正規雇用者の増加が所得格差を拡大、健康保険にも加入していない子どもがいたり、生活保護受給世帯数も戦後最多を記録するなど、子どもを持つ世帯の貧困状況が子どもの相対的貧困を惹起しているのである。

今日の日本は深刻な少子化問題に直面しているが、将来の少子化を真剣に危惧するのであれば、結婚と子どもを望む若者が、結婚し子どもを育てられる経済基盤を築くための雇用支援を行うとともに、子どもを持つ世帯の社会保障を充実することが必要だ。そうでなければ、たとえ子どもの数が増えても、子どもの相対的貧困率は上昇し、『子どもの幸福度』は低下する一方だろう。

村上龍さんの『希望の国のエクソダス』には、『この国には何でもある。だが、希望だけがない』とある。この国の多くの若者は希望を灯す「物質的豊かさ」も失ってしまったのか。少子化対策には、「子どもが幸せ」になる政策が不可欠だ。それが子どもの帰属する子育て世代に希望を与え、ひいては少子化問題を解決し、持続可能な社会づくりを実現するのではないだろうか。

 

*1 ユニセフイノチェンティ研究所・阿部彩・竹沢純子(2013)『イノチェンティレポートカード11先進国における子どもの幸福度-日本との比較 特別編集版』公益財団法人 日本ユニセフ協会(東京)

*2 等価世帯所得が中央値の50%未満の世帯で暮らす子ども(0~17歳)の割合

*3 貧困ラインと貧困ライン未満の世帯の世帯所得中央値との隔たり(貧困ラインに対する割合)

*4 子ども(1~12歳)が必要とする特定8品目のうち2つ以上欠如している子どもの割合

(参考) 研究員の眼『少子化政策めぐる議論への疑問~"待機児童ゼロ"の「子育て」・「子育ち」支援』(2013年5月27日)

(2014年1月6日ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」より転載)

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