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バーチャルとリアルにフラット化する商業店舗

2015年01月31日 15時29分 JST | 更新 2015年03月31日 18時12分 JST

日本発のグローバルブランド創造への期待

2006年に日本語版が出版された『フラット化する世界(*1)』は、インターネットと通信の普及によって、遠く離れた海外の都市同士でビジネスが進行していく様を世界の仕組みが変わったとして描写したものだった。

商業小売の分野でも、eコマースの普及によって生じた構造変化については周知のとおりである。ただ、商業小売に関してはeコマースによる場所や時間の制約のないフラット化とは別のフラット化が進行していると思われる。

それは出店を拡大するグローバルブランドのリアル店舗へ足を運ぶことが各国各地域で可能となる商業店舗のフラット化だ。

グローバルブランドは、いわゆる高級ブランドがイメージされるが最近ではファストファッションなどの存在感も増している。その他にもアウトドア用品や生活用品に至るまでグローバルに店舗展開を図るブランドがあり、これらの店舗は主要都市に路面店を構えたり、百貨店やショッピングモールなどのテナントにもなったりしている。世界の主要都市でこうしたグローバルブランドの店舗が見られる。

店舗数の拡大を支えている要因の一つのが、ショッピングモール等の商業施設開発だ。

モール型の商業施設は米国やオーストラリアで発展したもので、これらの国では上場リートの大型銘柄によるモールの開発・運営も多い。最近では他のアジアの都市でも都心部と郊外の双方でショッピングモールの開業・開発が進んでいる。モール型施設の開発が遅れていた欧州でも中欧も含め開発が進んでいる。

こうした施設にはローカルなテナントに加えてグローバルブランドが入居しているのが常であり、施設の開発・開業にともなって商業店舗のフラット化は世界で進行している。

国内に焦点を当ててみると、首都圏で購買層の支持を得たブランドや業態は、地方圏に向けて店舗を拡大しており、首都圏から地方圏へとフラット化は進行している。国内では90年代後半頃からモール型施設の開発が始まった。

店舗開発やテナント誘致を手がけたのは、大手小売業に加え、不動産会社、商社などであった。現在モール型施設には、百貨店、日用品を扱うスーパーマーケット、家電量販店、専門店を網羅した大型モールやスーパーマーケットと専門店のみ組み合わせたモール、アウトレットモールなど、複数の形態が浸透してきている。

また都心オフィスビルの低層階や主要駅ビルで商業区画に店舗誘致を行う手法も定着した。こうした手法を首都圏で確立した各社が、収益機会の拡大を目指して地方圏での施設開業にも注力しており、地方でも東京と同じ店舗テナントにアクセスできる機会が格段に増えてきている。

ファストファッションを含むグローバルブランドが路面店舗を開業するにあたっては、不動産会社や不動産運用会社が店舗を開発しテナントとして迎える例も少なくない。

各地域で拡大している商業施設の開業は、地域の雇用を生み、消費生活の充実が住民の満足度を高め地域を活性化させるなどの効果があり、おおむね歓迎されていることが多いようだ。首都圏あるいは海外のトレンドを移動距離なく体験できる身近な施設が当たり前のインフラになりつつある。

ローカルな特性が減じられ画一的になるといった懸念もあるものの、商業店舗のフラット化は今後さらに進行すると思われる。そのような時流の中では、現在ではまだ少ない日本発のグローバルブランドが新たに生まれ成長することに加え、商業拠点を創造する側としての国内勢の内外での活躍にも期待したい。

*1 原題「The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century」トーマス・フリードマン著。米国で2005年に初版、2006年に増募版が発行。日本では増補版の翻訳が2006年5月に日本経済新聞社から発行された。

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(2015年1月28日「研究員の眼」より転載)

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金融研究部 主任研究員

加藤 えり子