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ヘルスケア・バイオ系ファンドが復調?~2017年2月の投信動向:研究員の眼

2017年03月11日 16時56分 JST | 更新 2017年03月11日 16時57分 JST

国内株式と外国REITの資金流出が続くが金額は縮小

2017年2月の国内公募追加投信(ETFを除く)の資金の流出入の推計値を見ると、1月から引き続き国内株式と外国REITの資金流出が大きかった【図表1】。

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ただし、流出金額自体は1月と比べてやや小さくなった。その一方で、外国株式に大きく流入し、金額は4,000億円に迫った。

国内株式については、アクティブ・ファンドからの資金流出は1,400億円強と、1月と比べて100億円ほど多かった。

一方、パッシブ・ファンドからは1月に700億円弱資金流出していたが、2月は200億円強の流出に収まった。

3月に入っても国内株式は上値の重たい展開が続いているが、パッシブ・ファンドを中心に資金流出が収まっていくか注目である。

新設のAIファンドに人気が集中

個別ファンドへの資金流入を見ると、上位ファンドのうち5ファンドが外国株式の新設ファンドであった【図表2】。

特に、1位と5位の「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」が合計で1,400億円以上、2位と3位の「野村グローバルAI関連株式ファンド」が合計で1,600億円以上の資金流入であった。

この2つのAI(人工知能)関連ファンドに3,000億円以上の資金流入があり、2月の外国株式ファンドの資金流入の大半を占めていたといえる。いかに投資家の注目が高いかが分かる。

その他については、分配金が期待できるファンドへの資金流入が1月から続いていた。

ここでAI関連ファンドと言っても、2つのファンドで中身は大きく異なる。「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」は、投資する銘柄を決める際にAIやビッグデータ解析を活用している。

その一方で、「野村グローバルAI関連株式ファンド」は、AIなどのテクノロジー系の企業に投資するテーマ型の株式ファンドといえる。

2つはまったく異なる運用スタイルであり、一緒くたにAI関連ファンドと認識しないほうがいいかもしれない。

ヘルスケア・バイオ系ファンドのパフォーマンスが良好

2月にパフォーマンスが良好であったファンドを見ると、上位ファンドの多くが国内外のヘルスケア・バイオ系企業に投資するファンドであった【図表3】。

特に、2月はやや円高が進行したため為替ヘッジをしているファンドのパフォーマンスが良好であった。

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上位ファンドの2月の収益率は7~10%となっていた。グローバル全体の株価動向を示すMSCIワールド・インデックスの収益率が2%程度であったことを踏まえると、2月はヘルスケア・バイオ系企業の株価上昇が大きかったことが分かる。

過去1年の収益率に眼をやると、ヘルスケア・バイオ系で為替ヘッジしていないファンドは16%以下となっていた。一方でMSCIワールド・インデックスは21%程度であった。

ヘルスケア・バイオ系の株式ファンドは、2月に大きく上昇したものの、過去1年だと市場全体に劣後していた。

そのため、2月の上昇は足元出遅れていたヘルスケア・バイオ系株式に、買いが入った結果に過ぎないと見ることもできる。

ヘルスケア・バイオ系ファンドの長期のパフォーマンスはどうだったのか。

そこで、2月末時点で純資産残高が10億円を超えていたヘルスケア・バイオ系ファンドの中で、2月にパフォーマンスが良好で設定が2014年以前のもの(【図表3】の4ファンドを含む)の年次収益率を集計した。

なお、集計対象は為替ヘッジしていないファンドに限定し、比較のためMSCIワールド・インデックスの年次収益率も合わせて示した【図表4】。

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2013年と2014年はMSCIワールドと比べてヘルスケア・バイオ系ファンドの収益率が高く、投資家の期待に応えるパフォーマンスを上げていたことが分かる。

2015年はやや失速し、2016年はMSCIワールドに劣後し、収益率自体もマイナスであった。

足元では米トランプ大統領が薬価改定について言及するなど不透明感がましているが、2013年や2014年のように再び力強く上昇するのか、それとも一時的な見直しによる反発で終わるのか、今後の動向が気になるところである。

加えて、見てきた過去のヘルスケア・バイオ系ファンドのパフォーマンスは、注目が集まっているAI関連ファンドに対して参考になるのではないだろうか。

テーマ型の株式ファンドといえども長期的に安定して市場平均を上回ることが難しいことや、投資タイミングによっては元本を毀損する可能性があることが示唆されるからである。

テーマ型ファンドへの投資は、それら踏まえた上で検討した方がよいだろう。

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

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(2017年3月9日「研究員の眼」より転載)

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前山 裕亮