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第4次産業革命への期待~高齢期の生活改善に向けて:研究員の眼

2017年06月06日 14時58分 JST | 更新 2017年06月06日 14時58分 JST

昨今、新聞や雑誌などを眺めていると、「AI」「IoT」「ビックデータ」「ロボット」といった文字を見ない日がないくらいこれらの文字が頻出している。

AIはArtificial Intelligenceの略、「人工知能」のことであり、IoTはInternet of Thingsの略、「モノ(製品等)のインターネット化」のことである。こうしたメディアの報道を見て、いま世の中(市場)で何が起きているのか、と思われている人は少なくないのではないかと想像する。

これらの新しい技術が注目されるきっかけとなったのは、ドイツ政府が2011年から推進する「Industry4.0(第4次産業革命)」と呼ばれる競争力強化に向けた政策である。この中で、前述の技術を活かした産業革新が推進されているのである。

日本はこれに遅れること4年、「『日本再興戦略』改訂2015(2015年6月30日閣議決定)」に、これらの技術革新の必要性について明記され、これを皮切りに、2016年1月には「第5期科学技術基本計画(2016-2020)」において、第4次産業革命を反映させた「超スマート社会(Society5.0)」の実現を目指すことが提起され、また2016年4月には、産業構造審議会・新産業構造部会から「第4次産業革命をリードする日本の戦略」の中間整理(*1)がまとめられたところである。

その後も政府主導の関係会議(経済財政諮問会議、産業競争力会議、未来投資会議等)で検討が深められ、おそらく来月(2017年6月)公表される「経済財政に関する基本方針(通称:骨太の方針)」では、「第4次産業革命への対応」を通じた「Society5.0の実現」がこれからの成長戦略の中核に位置づけられることが予想される。

AI等のこれらの技術を活かせる分野は幅広く、上記の中間整理の中でも変革が期待される有力分野として、①ものづくり・流通・小売、②金融(金融とITを融合したサービス:Fin Tech)、③住宅・エネルギー(スマートハウス等)、④医療・健康・介護、⑤教育、⑥農業、⑦観光などが挙げられている。

ジェロントロジー(高齢社会総合研究)を専攻する筆者として注目するのは、高齢期の生活に関連深い「医療・健康・介護」の領域などになるが、具体的にどのような変化が期待できるのだろうか。

中間整理にある例では、ビックデータの解析とAIを活用した本人の特性に応じた確度の高い健康支援サービスだったり、効果的な医療診断などが挙げられている。予防の効果が高まり、また疾患の早期発見レベルも向上し、より患者にあった医薬品を提供できたりと、国民の健康長寿の延伸に貢献していくことが期待されているのである。

こうしたことだけに止まらず、AI等の技術は多くの可能性を期待させるが、素人ながら考えると、例えば、「老化の進行速度の判定」、「認知症の可能性判定」、さらには「寿命の測定」など、個人として関心は高いものの技術的に確立していないこうしたこともAI等で実現していくのではないかと想像する。

また、こうしたことを含めて健康に関して何でも相談と診断ができるロボットもいずれ登場するのではないかと考える。ドラえもんの世界のような話ではあるが、今後予想だにしないことが起こるかもしれないという期待がある。

暮らしの良し悪しは技術が全てではないものの、技術が生活の質の改善に貢献することも確かであろう。

第3次産業革命はインターネット等の情報技術の高度化(自動化)であったが、今では多くの人にとって携帯電話やインターネットの利用は生活に欠かせられないものになっている。第4次産業革命が果たして私たちの生活をどのように変えていくのか、期待をもって今後の動向を注視していきたい。

また筆者としては、これらの技術を高齢期の生活課題・ニーズにどのように活かしていけるか研究を深化させていきたいと考えている。

(*1) 産業構造審議会・新産業構造部会「新産業構造ビジョン~第4次産業革命をリードする日本の戦略(中間整理)」(2016年4月27日) http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160427007/20160427007.html

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(2017年5月26日「研究員の眼」より転載)

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前田 展弘