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無形文化遺産「和紙」の魅力-漉き込まれた伝統文化

2014年12月24日 22時13分 JST | 更新 2015年02月22日 19時12分 JST
Buddhika Weerasinghe via Getty Images
FUKUI, JAPAN - JULY 04: Workers filter pulp at a mill that produces handmade paper at Iwano Heizaburo Seishi Sho Company in Echizen paper village on July 4, 2011 in Fukui, Japan. Washi paper is a tough paper, used for traditional Japanese arts such as Origami and Shodo, most commonly made from bark of the mulberry, gampi or mitsumata. The paper milling process is a traditional craft of the Echizen people dating back 1500 years which continues today along with modern paper manufacturing. Echizen city is home to many paper businesses, as well as the cultural museum of paper and papyrus centre where visitors can make their own paper. (Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images)

11月26日(日本時間27日)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、日本政府が推薦した「和紙:日本の手漉和紙技術」を無形文化遺産に登録した。

登録対象は、埼玉県小川町・東秩父村の細川紙、岐阜県美濃市の本美濃紙、島根県浜田市の石州半紙の3つの和紙をつくる伝統技術だ。いずれも国の重要無形文化財に指定されている。昨年の「和食」に続く登録で、日本の伝統文化が一段と広がりそうだ。

紙の起源は、古代エジプトのパピルスと言われているが、日本の和紙は聖徳太子の時代にコウゾの植物繊維を水に溶かして薄く漉きあげたもので、主に写経や戸籍の記録に使われたようだ。

江戸時代には活版印刷の技術が伝わり、書物のための紙の需要が拡大、米や木材に並んで活発に取引された。明治時代以降は洋紙が流入し、今日では和紙は実用品よりも伝統工芸品としての色彩が濃くなった。

和紙の特徴は、耐久性に優れていることだ。

かつて建築図面には美濃紙がよく使われた。美濃紙は鉛筆の乗りがよく、青焼きコピーが取れ、竣工図を長期に保存する上でも重要だった。洋紙は漂白のため化学薬品を使うので経年により黄ばむが、和紙は光に当たると白くなり、時間とともに趣が増すという。

最近では、手漉き和紙の便箋に手紙を書くことは少なくなったが、和紙に書いた文字は行間や余白までもが書き手の気持ちを宿しているように感じられる。

また、別の和紙の特徴は、文字などの記録だけでなく、障子やふすま等の日本の建築建具にも使われることだ。障子などは遮音性や気密性といった機能的役割は小さいかもしれないが、そこから透過する光は豊かな空間を創造する。薄い一枚の和紙が醸し出す繊細な空間は、室町時代の書院造り以降の日本建築の真髄だろう。

また、和紙は提灯や傘などにも使われており、現代では照明器具のランプシェードとして、独特のやわらかい光を創出している。

今では新聞や書籍をはじめとした印刷・情報用紙としては、低コストで大量生産できる洋紙が主流だ。日本は2012年現在、世界第3位の紙・板紙の生産国で、国民一人当たりの消費量は世界第5位である(*1)

しかし、今後は、文字などの記録用紙の多くは電子媒体に替わられるとともに、新たに用途の多様化や高付加価値化が求められるのだろう。

われわれにとって、洋紙の効率性・経済性に基づく大量生産・大量消費の時代を経て、これからは、従来以上に和紙の魅力を大切に守り育ててゆくことが重要になってくるのではないだろうか。

豊かな日本の伝統文化が漉き込まれた和紙づくりの技術は、日本の将来の社会経済が発展・成熟してゆくための針路を示しているようにも思える。

*1 日本製紙連合会「製紙産業の現状/世界の中の日本」より

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株式会社ニッセイ基礎研究所

社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄

(2014年12月22日「研究員の眼」より転載)