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うるう年で押し上げられる2月の個人消費:研究員の眼

2016年01月26日 16時07分 JST | 更新 2017年01月25日 19時12分 JST

今年は4年に一度のうるう年にあたる。2月の日数が平年よりも1日多いため、今年の2月の経済活動の水準は前年よりも嵩上げされることになる。

もちろん、年(あるいは半期)単位で計画を立てることの多い設備投資のように日数の影響を受けにくいものもあるが、個人消費は少なからず日数増の影響を受けるはずだ。

たとえば、人は毎日食べたり飲んだりするので、日数が増えればその分だけ食費が増えることになる。食費以外にも日数増が消費の増加につながるものは多い。

(うるう年で3%程度押し上げられる2月の個人消費)

ここで、日数増により個人消費がどれだけ押し上げられるかを簡単に試算してみよう。

まず、2月について、うるう年の影響を単純に日数で計算すると3.6%(28分の1)となる。しかし、実際の消費支出への影響はこれよりは小さいだろう。

たとえば、飲食料品、ティッシュペーパー、洗剤などの家事用消耗品、ガソリン、灯油、化粧品などは、日数が増えればその分だけ支出額が増えるが、家賃、定期代、駐車場代、月謝などのように月極めで毎月の支払額が決まっているものについては、基本的に日数の影響は受けないと考えられるためだ。

「家計調査(総務省統計局)」によれば、消費支出全体の約4分の1が月極め払い(年払いも含む)となっている。月極め払い以外の品目は日数の影響を受けるとして試算すると、うるう年における2月の消費支出は2.7%押し上げられるという結果になる。

実際、1970年以降の11回のうるう年における2月の消費支出の伸びを見ると、平均で前年同月比4.1%と前後の月に比べて突出して高い伸びになっている。前後3ヵ月平均との差は3%程度で、簡便的な試算とほぼ一致している(図1)。

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現在、家計調査をはじめとした消費関連指標の多くは季節調整をかける際にうるう年調整を行っているため、季節調整値を前月比で見ればうるう年の影響を除いた消費の基調を判断することができる。

しかし、新聞などで経済指標の結果が報道される際には原数値の前年同月比が用いられることが多く、その数字を額面通りに受け取ってしまうと、実力を過大評価してしまうことになる。

2月の個人消費関連指標は前年同月比では高い伸びとなることが予想されるが、実勢を判断する際には日数増による嵩上げ分(3%程度)を割り引いて見る必要がある。

(GDP統計の個人消費はうるう年調整されず)

月次統計の多くはうるう年調整が行われているが、マクロベースの消費動向を把握する上で最も重要な指標ともいえるGDP統計の個人消費は季節調整の際にうるう年調整が行われていない。内閣府による推定ではうるう年効果が有意に検出されないためだ。

GDP統計は四半期統計のため月次統計よりも日数増の影響が薄まることはあるだろう。しかし、問題は現在の季節調整モデルの選択が1994年1-3月期以降の限られたデータをもとに行われていることだ。

この間、うるう年は1996、2000、2004、2008、2012年の5回で、うるう年効果がないと結論づけるのに十分なサンプルとは必ずしも言えない。

うるう年調整のオプションを入れた季節調整モデルを用いて、個人消費(GDP統計)の季節調整値を試算したところ、うるう年における1-3月期の個人消費(季節調整値)の前期比は公表値よりも低く、4-6月期の前期比は公表値よりも高くなった(図2)。

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公表値との差は1994年以降の5回の平均で1-3月期が▲0.4%、4-6月期が+0.4%である。日本の潜在成長率がゼロ%近くまで下がっていることを考えれば、うるう年調整の有無がプラス成長かマイナス成長かの決定打になることもありうる。決して無視できる大きさではないだろう。

(個人消費の基調判断がより難しい局面に)

昨年来、個人消費の実態把握を巡る議論が高まっているが、今年の2月(1-3月期)は新たにうるう年という撹乱要因が加わることになる。

特に、うるう年調整が行われていないGDP統計の個人消費は、2016年1-3月期が実力以上の高い伸びとなる一方、4-6月期は実力よりも低い伸びとなる可能性がある。

もともと、個人消費の基調を判断することは容易なことではないが、うるう年でその難易度はさらに上がりそうだ。

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(2016年1月25日「研究員の眼」より転載)

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株式会社ニッセイ基礎研究所

経済研究部 経済調査室長

斎藤 太郎