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ロシア見聞録(その1)-モスクワの「七姉妹」と「地下鉄」:研究員の眼

2016年04月05日 15時24分 JST | 更新 2017年04月05日 18時12分 JST
ser-alim via Getty Images
Night view of the Moscow Kremlin, Red Square and St. Basil's Cathedral from the residential house rooftop.

先日、初めてロシアを訪れた。1991年に"鉄のカーテン"に包まれたソビエト連邦が解体、ロシア連邦が誕生して四半世紀が経過したが、未だに私にとってロシアは馴染みの薄い国だ。

日本の45倍もある広大な国土に1億4千万人余りの人が暮らすロシアについて、わずか1週間足らずの滞在で何が分かると言うわけではないが、ロシア旅行初体験の感想を記してみたい。

まずは、私の興味があるロシアの建築についてだ。

ロシアと言えば宮殿や美術館、劇場、駅舎など公共建築物が立派であることがよく知られている。特に、モスクワにはスターリン様式の「七姉妹」(Seven Sisters)と呼ばれるひときわ目立つ尖塔型の超高層ビルが7つある。

これらはソビエト連邦のスターリン政権時代の1950年前後にニューヨークの摩天楼に対抗して建てられたもので、社会主義の権勢を誇示し、労働者を鼓舞するものだったという。

「七姉妹」は、モスクワ大学、ロシア外務省と鉄道省、民間高級ホテルやアパートとして今も健在だ。スターリン様式はシンメトリックで垂直に伸びたデザインが特徴で、低層部に大きな両翼が広がり、レリーフ状の装飾が多く施されている。

モスクワの中心部にあるクレムリンを取り囲むように点在し、現在もモスクワのランドマーク的存在だ。その威容はソ連時代の国家権力を象徴するようでもあり、今日モスクワ市民がそれらをどのように受け止めているのか一度尋ねてみたいと思った。

モスクワの建築のもう一つの目玉は、宮殿のような鉄道駅舎だ。地上の駅舎だけでなく、地下鉄の駅も長いエスカレーターで地下深くに降りていくと、そこには大理石の壁や柱でできた豪華な装飾が施された地下宮殿が現れ、高い天井から吊り下げられた華麗なシャンデリアが目に飛び込んでくる。

モスクワの地下鉄は現在12路線、数分間隔で列車を運行し、年間輸送人員は東京に次いで世界第2位だそうだ。宮殿の中を多くの人が足早に行き交う通勤風景は、日常と非日常が不思議に交差している。

その他にもモスクワにはクレムリン内のウスペンスキー大聖堂や旧国営のグム百貨店、ボリショイ劇場など素晴らしい建築が目白押しだ。ただ、その巨大なスケール感や過剰な装飾性など、見る人によっては好き嫌いがあることも確かだ。

社会主義のソビエト連邦から市場経済を導入したロシア連邦へと大きく社会経済制度を転換した新生ロシアが、多くのレガシー(遺産)をどのように活かしながら新たな国家を作ってゆくのだろう。

今後のロシア国民の意識や価値観の変化が、モスクワなどの都市景観にどう反映されてゆくのか、歴史の流れを興味深く見守りたいと思う。(つづく)

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(2016年3月29日「研究員の眼」より転載)

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社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄