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「シルバー民主主義」克服に向けて-適切な"意見集約ルール"活かそう!:研究員の眼

2015年06月10日 23時54分 JST | 更新 2016年06月09日 18時12分 JST

最近、シルバー民主主義という言葉をよく耳にする。人口の高齢化に伴い、高齢者の意見が政治に強い影響力を及ぼすからだ。しかし、それは多数意見により意思決定される民主主義が機能している証左でもある。

ここでの問題点は、社会保障制度の抜本改革がなかなか進まないように、将来世代の意向を十分汲み取らずに重要政策を考えると、社会自体が持続可能でなくなる懸念があることだ。

現在、国会では選挙権年齢を18歳に引き下げる法案が審議中で、若者の声がより政治に反映されることが期待されている。国政選挙等では一人一票の多数決制度が採られるが、それ以外にどのような"意見集約ルール"があるだろう。

例えば、複数の候補者に、支持する順に応じて点数を与え、最多の累積点の人を当選者にする"ボルダルール"という方法もある。

自民党や民主党の党首(代表)選挙では、選挙人種別ごとに持ち点が異なる。また、1回目の投票で獲得ポイントが単独過半数に達する人がいなければ、上位2名による決選投票を行い当選者を決める。単純な多数決では類似する考えの候補者がいる場合、票が割れて、結果的に過半の意向と異なる人が当選してしまう恐れがあるからだろう。

今年3月のフランス県議会選挙では初めて男女のペアに投票するという選挙が行われた。市民生活に密着した政策立案にあたる県議会に女性議員が少なかったために、社会の実態を反映した男女同数になる選挙制度を採用したのである。

フランス国内にも賛否両論があるようだが、北欧諸国をはじめ議席数や候補者数を男女別に割り当てるクォータ(Quota)制を採用している国は少なくない(*1)。

私の知る東京近郊の団地の自治会では、役員が高齢者に偏っていたために若い世代の参加が低調で、多くの地域課題が置き去りにされていた。そこで、自治会の副会長を年代別に5名選出したところ、子育て、防犯、防災、地域環境など幅広い課題が共有され、自治会活動が非常に活発になったという。国や地方の議員定数を年代別に定める選挙制度も、決して荒唐無稽とは言えないだろう。

民主主義における"意見集約ルール"には様々な方法がある。社会が成熟すれば多様な意見があり、意見集約には多くの時間と労力を要するのは当然だ。民主主義は、少数意見に耳を傾け、多様な意見を集約するプロセスに重要な価値がある。

少子高齢化が社会の持続可能な意思決定を困難にし、民主主義の機能不全が懸念される今日、シルバー民主主義を克服するためにも、社会経済環境の変化に則した適切な"意見集約ルール"を活かすことが必要ではないだろうか。

*1 内閣府「平成23年版男女共同参画白書」によると、国政レベルでクォータ制の導入が判明している国の数は87カ国に上る。

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(2015年6月9日「研究員の眼」より転載)

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社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄