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円安加速と購買力平価-98年以来の円買い介入の可能性を考える

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(現在の円ドル水準はかなりの円安、120円超えで円買い介入は現実味)

為替市場で久々に介入、しかも円買い介入を意識しなければならない局面に来ている。

2012年12月のアベノミクスから円ドルレートは円高トレンドを脱し、急速に円安が進んだ。黒田日銀による異次元緩和という要因もあるが、円ドルレートの反転時期は、米国経済がリーマンショック後の大底を打ち、ドルの実質実効レートが反転した時期と一致する。

今後も日米の金融政策の方向性は真逆だ。米国は今年も寒波で経済活動が停滞するとの懸念があるが、ファンダメンタルズは強い。米国の利上げがこの先にあるというシナリオが崩れない限りドル高・円安のバイアスは弱まりそうにない。

しかし、足元の円安進行は過去の局面と比べても速すぎる。2年程度で40円の円安が進んでいる(図表1)。その水準は実質実効為替レートでみると、かなりの円安になってきている(図表2)。

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また購買力平価で円ドルレートの水準を見ると、85年のプラザ合意後、企業物価基準と輸出物価基準とのバンドの中で推移していることが分かる。円安が問題となり円買い介入を行った98年当時は、企業物価基準の購買力平価に近い水準で行き過ぎた円安の是正が行われている。

足元の状況を見ると、企業物価基準の購買力平価水準を超え、消費者物価基準の購買力平価の水準を目指しているように映る(図表3)。これは、30年前のプラザ合意前の状況に近い。

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現在の消費者物価指数をベースにした購買力平価は約130円である。円ドルレートが120円を超え、130円を目指す展開がでてくれば円買い介入の可能性は相当高いと見ておいていいだろう。

(選挙戦での円安の評価と円安進行のポイント)

円安に対する評価という点で注目されるのは、選挙戦を通じて円安阻止へのトーンがどうなるかだ。円安進行に対して「政府は何としても阻止する」とのコンセンサスになるのか、選挙戦からも目が離せない。OPECが減産を見送ったことによる原油価格の動向も円安に対する評価に影響しそうだ。

さらに円安が進行するのかについては、いくつかポイントがある。

一つはECBの動きだ。ドラギ総裁は11/17日、「国債購入も含め、ECBは追加策を講じる用意がある」と表明している。今まではどちらかというと口先介入で本格的な量的金融緩和に突入することを先送りしてきたが、年明け以降、国債大規模購入に踏み切り、本格的な量的緩和に動く可能性がでてきた。もしそうなればユーロ安となり、円安圧力が和らぐ可能性がある。さらには、地政学リスクの高まりや中国経済の急減速などからリスクオフの動きが出てくると円高が連想されやすい展開も予想される。

一方、ドル高・円安がもう一段進む要因として、「日銀の追加緩和前倒し+米国の利上げ前倒し」観測もある。11月28日公表された日本の10月分コアCPI(消費税の影響を除く)は13年10月以来の1%割れとなった。また10月鉱工業生産も生産に力強さはなく、在庫も高水準であり回復を印象付けるほどの強さはない。日銀の追加緩和観測が再燃する可能性も高い。米国で利上げ前倒し観測が強くなれば円安がもう一段進む展開もあり得る。

日本政府は98年以来、円買い介入を実施していない。もう一段円安が進めば介入を意識せざるを得ない展開になりつつある。

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株式会社ニッセイ基礎研究所
経済研究部 チーフエコノミスト
矢嶋 康次

(2014年11月28日「研究員の眼」より転載)

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