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ディズニープリンセスの自己発見と自己解放――浦島花子が見た日本

2014年04月16日 21時16分 JST | 更新 2014年06月16日 18時12分 JST

子どもの春休み中にディズニー映画「アナと雪の女王」をみた。英語が第一言語の我が子にとって、英語で映画を見ることは本当に楽しい事らしい。心から嬉しそうな我が子の姿を見るのは、親としても嬉しいひと時だった。

主題歌の「Let It Go」もマスター済みで、テンションが上がりっ放しの子ども。その横で冷静に映画を観ていた私も、「You can't marry a man you just met. -- 出会ったばかりの男と結婚するもんじゃないわよ」とプリンセスエルサがクールに言い放った時は、思わず「Thank You!」と口走ってしまったため、子どもに注意される始末であった。

ディズニープリンセスで今も人気の高い白雪姫もシンデレラも眠れる森の美女も、一目惚れされただけで結婚し「いつまでも幸せに暮らしました。おしまい」である。結婚だけがゴールインの人生では本当におしまいだ。

もっとも、上記のディズニープリンセス達は約60年前にデビューしている。白雪姫は1930年代の作品だ。アメリカでも当時は、女性は男性の所有物だった時代である。プリンセスも選ばれたらNOも言わずについて行く。彼女達の気持ちは棚の上に上げられたままでプリンスにとっては大いにハッピーエンドなのだ。

アメリカでも日本でも、今までどれだけ多くの女の子達がこんなプリンセスに憧れて、また男の子達もこれが幸せな結婚と思い込んで失敗をしただろうか。結婚すること、いや「結婚式」が幸せの最頂点となるなら、その後の人生は下り坂のみである。

「愛があればお金なんて」とか「人生一度の事だから」という思いにつけ込む日本の結婚式ビジネスは金儲けがうまいと思う。あの歯痒いほどの演出は、見世物にされる新郎新婦もさることながら、見ている方も恥ずかしくなる程だ。

幸せの定義は人それぞれである。「人生一度の事」なのに、歩き方から拍手のタイミングまで型通りに演出された結婚式も、本人達が幸せと思うならそれでいい。欲しいものを手に入れるだけで幸せを満喫できる人もいれば、物質的なことよりも自分らしく生きることで幸せを追求する人もいる。他人のために働くことに幸せを見出す人もいるだろう。

そんな幸せ捜し中に、人生のパートナーが現れるもよし、現れないのもよしである。そして、結婚するもよし、しないもよしなのだ。

「アナと雪の女王」は従来ディズニーが描いてきたハッピーエンドから一歩踏み出し、自分のありのままの姿を、まずは自分自身が受け止めることから始まる自己発見の旅に焦点を当て、恋愛より家族愛を重視した。子供の付き添いで来た多くの親たち、特に幼稚園から「比べ合い」が始まる競争育児の中で自分の子どもの本質を見失ってしまいがちな親達の心にも、「アナと雪の女王」には何かグッとくるものがあったのではないだろうか。

親が子どもの夢の実現のために応援するのは、その子の幸せにも繋がるはずだ。だが、その「夢」が本当に子供本人の幸せのためなのか、実は親のエゴなのか、しっかりと見極めていないと、応援のはずがその子自身を踏みにじる行為にもなり得るのだ。気がついたら不登校になり引きこもっていたということにならないためにも、子どものありのままを受け入れるのが、親ができる最高の応援ではないだろうか。

そんな応援があったからこそ今がある私も両親には大変感謝している。そして自分が応援する側になった今、目標を達成した後には常に次のステージがあることを子どもに伝え、その心構えを促すこともしていきたいと思っている。

格差社会がどんどん広がるであろうこれからの時代を生き抜くためには、自尊心と自立心、そして楽観性が必要ではないかと思う。特にこの逆走まっしぐらに見える今の日本社会の中では、いろいろと知れば知るほど鬱に陥りそうだし、現実逃避か完全無視で殻に閉じこもるかになってもおかしくない。だから楽観性はとても大切なエレメントだと思う。

情報と教育のコントロールによって人はどんどん偏っていくだろう。前回にも書いたように、ランキングや流行に踊らされて自分で考えることを忘れてしまうのは、権力者に対して「どうぞ私を自由にお使いください」と自分の権利を放棄しているようなものである。

残念ながら日本の教育方針では、自尊心も自立心も楽観性も育ててもらえなさそうだ。だからこそ、家庭が子供の心の基地になるのが理想だとは思うが、労働者の家族を顧みない職場がスタンダードである限り、それも難しいのが現実だろう。

嬉しいこと楽しいことだけではなく、悲しいことも失敗や挫折も経験せずには、自尊心も自立心も楽観性も育たない。だからこそ、かわいい子には旅をさせる必要があるのだろう。しつこいようだが、前のブログにも書いたように「みんな」が主語のライフスタイルを脱ぎ捨てて、親自身が自分を解放してあげることも必要だ。

なんだか「親は子どもの幸せを常に望むべき」と説教がましく聞こえてしまう人もいるかもしれないが、そんなことを言うつもりはない。様々な理由で子どもの幸せを素直に願えない人もいる。でも、自分が幸せを感じていないからという理由で、子どもの幸せを奪うのは間違っている。せめて、子どもが自身の幸せを追求する時の邪魔はしないで欲しい。たとえ親であろうとも、子どもの権利を奪う権利はないのだから。

「アナと雪の女王」の二人のプリンセスは、本当の自分とは何者か、自分の幸せはなんだろう?そんな問いをさりげなく投げかけてくれた。自分はこうだと決めつけていたところから自身を解放し、ありのままの自分を受け入れることは、正直言って難しい。自分の中で決めつけて自身を縛り付け、場合によっては愛する家族をも締め付けてしまっているルールや思い込みがあるならば、そこから一歩踏み出す勇気を大人がまず持ってほしい。

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