「児童養護施設を巣立つ若者への奨学基金」の募金を始めます

世田谷区で、児童養護施設等を退所した若者に対して進学時の学業と生活を応援する「せたがや若者フェアスタート」が始まります。
Young girl walking under sakura blossom, Osaka, Japan.
Young girl walking under sakura blossom, Osaka, Japan.
setsuna via Getty Images

2016年4月1日から世田谷区で、児童養護施設等を退所した若者に対して進学時の学業と生活を応援する「せたがや若者フェアスタート」が始まります。そのため、区は2016年度(平成28年度)予算で5000万円を拠出して「世田谷区児童養護施設退所者等奨学基金」をつくりましたが、社会全体で幅広く支援にご参加をいただき応援の輪を広げたいと願い、区民及び一般の皆さんへ募金の呼びかけを始めました。この基金への寄付は、「ふるさと納税」(ワンストップ特例も可)の対象にもなります。(基金への寄付の詳細は、こちらを御覧下さい→)「児童養護施設を巣立つ若者を応援します」(世田谷区)

昨年から、『ハフィントンポスト』にブログを書くようになって、もっともよく読まれて社会的影響も大きかった記事が2つあります。いずれも「児童養護施設等を出た後の若者たちの支援」をテーマとした記事でした。まず最初に、区営住宅を提供する「住宅支援」を打ち出したことを紹介しました。

児童養護施設を出る「18歳の春」を孤立させない住宅支援を開始(2015年9月29日)

世田谷区内で、児童養護施設を退所した若者たちに向けて、高齢者用区営住宅の空室(旧管理人室)を5ヶ所、月額1万円程度の低廉な家賃で提供する住宅支援を開始することを決めました。また、若者たちが過ごしてきた児童養護施設とも連携して、地域に居場所をつくり、きめ細かな自立支援を行なうように準備を始めています。

さらに、私自身が児童養護施設等を出る若者たちの支援を考えてきた経過も記しました。国会議員だった当時に立法に携わった、議員立法の児童虐待防止法制定に中心的に関わり、児童虐待の早期発見を呼びかけてきました。児童虐待の通知件数は増加し、親から離れて「社会的養護」の仕組みの中で過ごす子どもたちも多くなりました。社会的養護の枠組みに入るということは、「親に代わり、社会が養育に責任を持つ」ということです。とすれば、大学や専門学校への進学率が低い上に、せっかく進学しても多くの若者が中退をしていくという部分を見逃すことはできません。次に大きな反響を呼んだブログ記事は「給付型奨学金」の創設を打ち出した記事でした。

世田谷区の児童養護施設や里親のもとを巣立つ若者たちが、大学・専門学校に進学する場合に利用できる「月額3万円の給付型奨学金」をスタートさせる準備が整いました。「貸与型」と違い、「給付型」は返済の必要がありません。

この「給付型」というところに反響がひときわ大きかったのが、この記事の特徴でした。世田谷区という一自治体の問題提起も、社会全体に大きな波紋を呼んだものと受けとめています。世田谷区内の児童養護施設である福音寮の飯田政人施設長は、今回創設された奨学基金について次のように語っています。

「世田谷区のこの取り組みは、児童養護施設や里親のもとで暮らす子どもたちにとって大きな支えとなる制度です。当施設においても高校卒業後に大学で学びたいという子は多くいますが、自分で工面しなければならない生活費と学費があまりにも大きく、進学を断念せざるを得ない状況もあります。また、資金計画を立て進学しても卒業できた子は、この10年で3割ほどで、働きながら学業を続ける難しさを物語っています。この事業が世田谷区から発信されることは、全国の子ども達にとっても大きな希望をもたらすものと思います」

この事業は3年前に世田谷区役所に新設された若者支援担当課の努力の集積から生まれました。「生きづらさを抱える若者への支援」を検討する中で、児童養護施設にいる若者たちの現在にスポットライトをあてて、何が有効な支援となるかを考えたものです。

そんな若者支援担当課の仕事のひとつが、18歳で支援の糸が途切れる「児童養護施設」を出る若者たちへの支援でした。今回のレポートは、若者支援担当課の活動の主な部分を伝えましたが、全貌を語るにはなお紙数が必要なので、ここまでとします。専門所管が出来たことで、若者支援の具体策はぐんぐん進みました。

日本の社会が、長いこと注視せずに具体策を持たなかったのが、児童養護施設を巣立つ若者たちの進路を広げ、フェアなスタートラインを築くことでした。いよいよ、この事業も4月1日から、「住宅支援」「居場所支援」「給付型奨学金」をセットにして始まります。まずは小さく細い流れであっても、後に太く力強い流れとなるように、皆さんのご参加をお待ちしています。

[参考]

「世田谷区児童養護施設退所者等支援基金」への寄付の仕方は、大きく分けて3つあります。

1つ目の方法は、【金融機関窓口からの寄附】です。世田谷区内の各金融機関の窓口で、「児童養護施設退所者等支援基金・専用振込用紙」をお使いいただき窓口でお振込ください。

金融機関名 口座番号

(1) みずほ銀行 世田谷支店 普通 1508578

(2) 昭和信用金庫 本店 普通 0725680

(3) 世田谷信用金庫 本店 普通 1246260

(4) 東京中央農協 千歳支店 普通 0039434

上記金融機関の区内「本・支店の窓口」で、同一金融機関の口座に振り込む場合、手数料は無料です。

※みずほ銀行 および 東京中央農協は、区外支店等の窓口から振り込む場合にも、手数料は無料です。

※「専用振込用紙」は、上記金融機関の区内窓口に設置しています。または、区ホームページよりダウンロードが可能です。(ダウンロードの際は、(1)カラー印刷のうえ、(2)周囲太枠線で切って、使用されるようお願い致します。

2つ目の方法は、【ATM、ネットバンキングからの寄附】です。

上記(1)の金融機関【指定口座】に、ATM(現金自動預払機)、インターネットバンキング、コンビニエンスストアのATM等から振り込むことができます。ただし、 その場合に手数料は有料となります。

3つ目の方法は、【区指定の納付書を使用し金融機関(銀行・郵便局等)での寄附】です。

手続きの流れは以下の通りです。

1.区役所の若者支援担当課までご連絡ください。(電話・ファクシミリ、メールアドレスは、最下部の「お問い合わせ先」をご覧ください。)

2.『寄附申出書』(区ホームページよりダウンロードが可能です)に必要事項をご記入のうえ、ファックス・メール等で若者支援担当課へお送りください。

3.区指定の「納付書(振込用紙)」を郵便でお送りします。銀行や郵便局などの指定金融機関で寄附金をお振込ください。※振込手数料は無料です。

なお、寄付金は「ふるさと納税」(ワンストップ特例も含む)と対象になります。くわしくは、ホームページをご覧ください。

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