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北朝鮮の建築家に未来予想図を描いてもらったら

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北朝鮮の人々にとって、未来の世界はどのようなイメージだろう? 政治体制も違い、出入国や外国の情報へのアクセスも統制されているから、韓国人とは想像力の基礎が全く違うだろうとは想像できる。

中国・北京にある北朝鮮専門の旅行会社、高麗(コリョ)ツアース(Koryo Tours)は最近、ある若い北朝鮮の建築家と興味深いプロジェクトに取り組んだ。一度も北朝鮮から出たことのないこの建築家に、観光施設を含めた未来の北朝鮮の建築デザインを注文したのだ。

北朝鮮の代表的な設計研究機関、白頭山建築研究院所属の彼に与えられたデザインのコンセプトは「持続可能性」。西欧の持続可能なデザインコンセプトや最新技術に接する機会がなかった彼は、この注文をどう消化したのだろうか。

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太陽電池パネル、風力タービンや水力を動力源にする北朝鮮の未来の養蚕の協同農場。伝統的な糸車からデザインのアイデアを得たという。団地内の交通手段は空中モノレールだ

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旅行客のための空飛ぶ家

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川に囲まれた円錐型の宿泊施設。屋上にはヘリポートがあり、あちこちに太陽光パネルが見える。建物の外部には空中庭園が造成され、建物と建物はパイプ状の通路でつながっている

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団体旅行客向け、金剛山(クムガンサン)の滝周辺の観光用マンション

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金剛山(クムガンサン)観光マンションの内部。オープンテラスで宿泊客同士が交流できる

彼は自身の知識と想像力を総動員して、ホバークラフト(空中浮遊船)のような空飛ぶ家、樹木からインスピレーションを得た円錐型マンション群、太陽光や風力、水力をエネルギー源とする養蚕の協同農場、朝鮮半島の伝統的な様式を反映したゲストハウスなど、多様な施設を描いた。設計した北朝鮮の建築家は、建築のコンセプトについて「私たちはひとつの村(共同体)に住んでいて、共に仲むつまじく過ごさなければならない」と話したという。実際に彼の作品をみると、すべてのデザインで非常に強い集団性が感じられる。空間配置でもプライベートな空間の確保より、常に誰かと交流が可能なようにした点が目につく。

このプロジェクトを企画したKoryo Toursのニコラス・ボナー代表は「最新技術の情報は不足しているが、樹木と伝統的な建築様式、自然冷却など自然の資源を活用することにおいて、驚くべき想像力がみられる」と説明した。この作品は7月から開かれている第14回ベネチア建築ビエンナーレで展示されている。

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鳥の巣を幾重にもつなげたようなゲストハウス。朝鮮半島の伝統的な建築様式にならった

北朝鮮の建築家のデザインは実際の建築を念頭に置いたものではなく、単なる想像の結果だ。ボナー氏は建築費や実現可能性に関係なく、思いきり想像の翼を広げるよう求めたという。北朝鮮の観光施設の建築にも関心があるというボナー氏は、様々なデザインの中から「鳥の巣を幾重にもつなげたような、森に向かって3方向のテラスがある川辺のゲストハウスを建てたい」と述べた。

北朝鮮の建築家の作品を見た人々は、どう反応したのか。ボナー氏によると「復古的でレベルが低い」と切り捨てる人もいれば、「独創的で面白くて役に立つアイデアだ」と言う人もいた。もはや歴史の中に消えた旧ソ連時代の表現技法が感じられるという意見もあったという。

Koryo Toursは10月、平壌の現代建築をテーマにした北朝鮮ツアーを募集する。観光コースには、1989年に開かれた世界青年学生祭典に合わせて建てられた青年ホテルと祖国解放戦争勝利記念館などが含まれている。今回の未来建築デザインプロジェクトはこのプレイベントのようだ。ボナー氏は「平壌全体が朝鮮戦争で焼失し、総体的に再建された」ことを強調し、個別の建物よりも社会主義下で都市を再建するマスタープランとして見てほしいとした。

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7月、平壌市内観光のため、トロリーバス(北朝鮮では「無軌道電車」と呼ぶ)に乗る前に記念撮影する観光客。平壌市内の観光は最近、主にトロリーバスが利用されるという。Koryo ToursのFacebookページから

ところでKoryo Toursとはどんな会社か。この会社のウェブサイトによると、代表のボナー氏はイギリス人で建築家出身。1990年代初頭に中国旅行中、平壌(ピョンヤン)で宅配会社を運営していた友人と一緒に平壌観光に行ったのがきっかけで、のちに北朝鮮人の友人から旅行会社の運営を提案され、1993年に北朝鮮旅行事業に乗り出したという。旅行業以外に「千里馬(チョンリマ)サッカー団」など、北朝鮮のドキュメンタリーも3本制作した。北朝鮮の美術作品の収集家として、2012年にハワイとカナダ・トロントで開かれた北朝鮮美術展の共同キュレーターも務めた。旅行会社としてはこれまで1カ月に一回のペースで北朝鮮観光のツアーを組んでおり、年間約2千人の西欧観光客を北朝鮮に送っているという。

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妙香山の吊り橋。観光客がまるで雲の上を歩くような気分にするコンセプトの橋だ

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北朝鮮の建築家が描いた未来予想図
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