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ふるさと納税制度拡充の功罪

2015年01月01日 16時17分 JST | 更新 2015年03月01日 19時12分 JST
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「ふるさと納税制度」は2008年から始まった制度です。名前はふるさとへの納税となっていますが、実質的には任意の自治体に寄付をした場合、寄付金控除が受けられるという寄付税制の制度です。生まれ育った故郷を離れて暮らしているものの、故郷に何らかの貢献をしたいと思う人は多いはずで、そうした人の気持ちを汲み取る制度として徐々に定着して来ました。

政府与党はこの制度を拡充する方向で税制大綱をまとめており、控除額の上限の引き上げと、確定申告が不要なワンストップ制度の導入を明記しました。これにより、さらなる制度利用の拡充が見込まれます。総務省の統計によりますと、平成25年には、ふるさと納税制度を利用した人の延べ人数は10万人を超え、寄付総額は130億円を超えていますので、各自治体が躍起になって寄付を得ようとするのも無理はありません。

もっとも、税制大綱や総務省の指導でも指摘されているように、近年ふるさと納税を受けようと、自治体が高額の特典を寄付の見返りに提示している例が散見されます。全国の特典一覧がホームページで確認できることもあり、制度の拡充によって規制とは裏腹に今後益々競争は激化するのではないでしょうか。

ふるさと納税には功罪の両面があります。マイナスの側面の一つは、寄付をする人が住む自治体のダメージです。ふるさとに寄付をするということは、その分住んでいる自治体への税金の支払額は減りますが、公共サービス自体は住んでいる自治体が負担しているので、受益と負担のアンバランスが発生します。実際、納税の内訳を見ると、東京都民が寄付している金額は全体の26%で最も多くなっており、実際には東京都の税収を減収させる用途になっていると言えます。もちろん東京都あるいは都内の自治体が積極的に他の地域から寄付を募れば良いのですが、現実的には難しいと言わざるを得ません。

プラスの側面は、東日本大震災などの大規模災害が発生した折に、ピンポイントで被災自治体に寄付が出来るという点です。大規模災害などで都道府県や赤十字が募る募金は、都道府県単位ごとの「義援金分配委員会」で各自治体への分配が決められるため、自分が募金したものがどこにどう使われるかが見えにくいという声がありました。この点、ふるさと納税制度を利用すれば、寄付が出来る上に控除も受けられるということで、義援金を集めやすいというメリットがあるのです。

私は、ふるさと納税制度は寄付を受ける自治体が原価を発生させないものに特典を限るべきではないかと考えています。私のふるさとの上越市がまさにそれで、市内施設の入場券のプレゼントという内容になっておりますが、特産品などの特典のために寄付を行うということであると、実質的にはその原価分寄付が減ることになってしまい、やはり制度本来の趣旨を逸脱しているのではないかと思うのです。その意味で、与党の税制大綱は踏み込みが甘いと言わざるを得ません。