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【赤ちゃんにやさしい国へ】保育士さんたちがきっと世界を変えていく〜イベント型保育活動・asobi基地〜

2014年05月09日 16時07分 JST | 更新 2014年07月08日 18時12分 JST

1月の記事「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。」が転載されたハフィントンポストで16万いいね!になったことをきっかけに【赤ちゃんにやさしい国へ】のシリーズでいろいろ書いてきた。

3月18日の「子育てはやっぱりみんなでするものだ〜二人のママさん訪問録〜」はそのひとつなのだが、これもけっこう多くの人に読まれて多くの反響があった。メールをもらった中に「asobi基地という活動をやっています。よかったら遊びに来てください」というものがあった。asobi基地?どんな活動だろう。もらったURLを見てみると、素敵なサイトで活動を紹介していた。日々子供を預ける保育所ではなく、不定期で開催するイベント的な活動のようだが、書いてあることがどうもこれまで取材してきた自主保育共同保育所とシンクロするものがある。とにかく行ってみようと、2回に渡って取材したことを今日は書いておく。

asobi基地の活動は、イベントに呼ばれてその中にスペースを作って行うことが多いようだ。最初に訪れたのは、赤坂アークヒルズのカラヤン広場で開催されるヒルズマルシェだった。

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これがヒルズマルシェの会場の様子。この催し自体素敵なイベントで、関東各地から集まった出店者が、自分たちが作った野菜や手づくりの加工品を売っている。食いしん坊としては、歩いているだけで次々に買い物をしてしまいそうだ。

そんなお店たちの並ぶ中央に、緑のシートが敷かれたスペースがあった。それがasobi基地だった。

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こんな手づくりの看板が出ている。「楽しんでいってね」とある。右側の4つのルールも気になるなあ。

そのうち、ちらほら親子が集まってきた。asobi基地の人と子供たちで遊びはじめる。

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さっきの4つのルールにはこんなことが書かれている。

asobi基地4つのルール

  1. ここはオトナもコドモも全ての人が平等です。
  2. (ダメ!)等の否定する言葉は禁止!
  3. 何か言う前にオトナもコドモと同じ目線になり、やってみる。
  4. 自分の価値観を押し付けずフェアに対応する。

ふむふむ。これはたんなる遊び場の注意書きではない。何しろこれ、子供ではなく大人へのメッセージだ。何らかの考え方に根ざした理念的なものを感じるなあ。どうやらasobi基地とは、ただ親子に遊び場を提供するだけでなく、世の中へのメッセージを含んだ活動のようだ。

代表の小笠原舞さんに話を聞くことができた。まだ20代だと思うが、遠くをまっすぐに見つめる眼差しを持つ、しっかりした女性だった。

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大学で福祉を学んで、卒業後就職したが思うところあり保育士になったそうだ。保育現場で働きながら、もっと子供たちを生き生きと、伸び伸びと遊ばせられる場を作りたいとはじめたのがasobi基地だった。

毎日預ける保育所ではないが、保育所とは別のもうひとつの保育の場だ。

保育所ではどうしても時間を決めて保育を行わざるをえない。何時になったのでお昼ごはん。何時になったら運動。何時になったら今度はお昼寝。時間に子どもたちを合わせるよう仕向けることになる。

子どもたちは「もっとこの遊びを続けたい」「ゆっくりごはんを食べていたい」とそれぞれ感じている。でも大勢を預かっている中で子どもたちがやりたいようにさせることは難しい。保育園はどうしても団体行動を規律に沿ってさせる、ようになってしまうのだ。

asobi基地は保育園ではなかなかできないことを主眼にする。子どもたちがやりたいことをやりたいようにやらせる。主役は子ども。何をするかは、子どもたちの気持ちで決める。伸び伸び遊ばせる、伸び伸び育てる場なのだ。

WEBサイトをみた時に感じた予感はこれだった。これまでに取材した自主保育"野毛風の子"や共同保育"たつのこ"と考え方がとても近い。保育園ではなかなかできない伸び伸びと自由な子育ての場をめざしている。さっきの4つのルールも、こうした考え方を反映してできたものなのだ。

asobi基地が特徴的なのは、中心が保育士たちであることだ。子どもたちを迎える側をasobi基地では"キャスト"と呼ぶ。そのおよそ半分が保育士で、ふだんはそれぞれ保育園で働いている。やりがいを持って保育に取り組んでいるが、どうしても保育園ではできない自由な保育を、asobi基地なら実践できる。そのために参加しているのだ。

半分は保育士ではないが、保育士をめざす学生だったり、asobi基地に共感して参加する若者だったり、保育に興味を持つ人たちが集まっている。

参加する親子の側は、asobi基地の楽しさに共感するお母さんたち、子どもたち。お父さんたちもけっこう参加している。何度か参加してくれているメンバーたちが、あちこちのイベントでasobi基地を開くたびに集まってきて、また少しずつ増えている。ゆるやかなコミュニティが形成されているのは、ソーシャルの時代らしい形だろう。

代表の小笠原さんはあちこち飛び回っていて、この日も途中で別の催しに向かった。代わりにお話ししてくれたのが、支部代表の相原里紗さん。各地にいくつかの"支部"ができていて、相原さんはその東京支部を支えている。

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彼女もやはり、最初は一般企業に勤めていたのが、思うところがあり保育に転じた。保育士の資格は持っていなかったが、保育所で働きながら勉強してめでたく保育士になった。その上で、この春からはasobi基地にさらに注力するために保育園の勤務を非常勤にした。大変だが、理解してくれる夫が応援してくれているそうだ。

相原さんに聞いて驚いたのだが、保育士になったら収入は2/3に減ってしまったそうだ。保育士は厚生労働省が所管する資格なのだが、一般企業より給料が安いのは奇妙ではないだろうか。子どもを預かる大事な大事な仕事なのに。

asobi基地の活動には、保育士たちの立場を向上させたい、という目標もある。そこで"保育士のマーク"を考案したそうだ。お会いしたあと、サイトもできたと連絡があった。

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これがそのマーク。

これを実際にプリントして志を共有できる保育士さんたちに配布して使ってもらいたい。そのための資金40万円をクラウドファンディングを使って集めようとしている。こちらのサイトだ。→ https://readyfor.jp/projects/asobikichi3

実は目標金額はすぐに集まってしまったそうだ。でも理念に共感してくれるならまだ参加できるので見てみてほしい。

このマークにはいろんな意味があるのだが、いちばんのポイントは「私は保育士です!」と表明して、子育て中の親を助けたい、ということにある。例えば子どもを抱えて電車に乗る時、ベビーカーで階段を上がり下りする時、このマークをつけた人には助けを乞うていいのだな、と認識してもらいたい。保育士の側も「手伝いましょう!」と申し出た時、変に遠慮されずに「この人はプロだから手伝ってくれるんだな」とパッと意志疎通できる。そういうメリットがあるのだ。

もちろん、保育士じゃなくても手伝っていいし、助けを願っていいのだが、やはり"保育のプロ"をはっきり表明しておくとお互いに頼みやすい頼まれやすいということだ。

ぼくがこのマークにもうひとつ感じたのは、保育士さんたちが社会でもっと前に出ることができそう、という点だ。

子育てについて取材して考えを進めていくと、保育士さんがこれからますます重要になるだろうと思い至る。一方、これまで保育士さんはあまりスポットライトが当たらずにいたのではないか。イメージとして、短大を出て保育園に勤めて子どもたちの世話をしてそのうち結婚とともに退職する。そんなキャリアスタイルになっているのではないか。学校の教師が定年まで勤めるのが普通であるのに対し、なぜか"若い女性の職業"になってしまっていると思う。そこには、職業として低く見られている気配がある。保育士の側もこれまではそれをよしとしてしまっていた人が多かったのではないか。

だが、保育所が足りない、待機児童を減らせ、少子化対策どうする、というこの時代にそれではいけない気がする。そんな中、小笠原さんや相原さんのように、保育の現場にあとから入っていく人たちが出てきた。そして彼女たちは自己主張をしはじめた。

保育士さんたちは、もっと前へ出ていいのだ。自分たちの価値をもっと社会に感じてもらえるように。自分たちが人びとの役にもっと立てるように。給料だってもっと高くていいはずだ。ずっと続けるのが当たり前の仕事であっていいはずだ。私は保育士です。そう、胸を張って世の中に言っていこう。

保育士マークにはそんな意志が込められているのだと思う。そしてそれはいま、この時代にあるべき考え方だと言っていい。だって保育士さんに助けてもらいたい人は大勢いるのだ。保育士さんたちが自分を高めることで、健やかに成長していく子どもたちが増えるはずなのだ。

などと熱く書いているうちにけっこうな文章量になってしまった。asobi基地はもう一回取材しているので、別の回にこの続きを書こうと思う。

コミュニケーションディレクター/メディアコンサルタント

境 治

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